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人事のキャリアについて考えてたら、サッカー元日本代表・武田修宏さんへのリスペクトが高まった話

採用担当を採用するために、noteを10本書く「帰れま10シリーズ」の第一回目です。せっかく書くなら人事の方に役立つような内容にしたいと思って考え始めたんですが、難しいですね。反応を見ながらコンテンツやトーンを変えていこうと思っているので、読んだら感想いただけますと非常にありがたいです。

エクサウィザーズというAIスタートアップで人事をしております、半田と申します。採用・労務・人事企画と幅広く人事を募集しておりますので、興味のある方は@Yoritaka21 から連絡ください。

今回のテーマは若手人事のキャリアについて、です。読者としては主に20代-30代前半の人事に興味にある方、もしくは大企業に所属しキャリアに悩んでる人を読者として想定しています。逆に言うとそれ以外の方には時間の無駄になる可能性がありますので武田さんのファンでなければ読むのをやめていただくことをお勧めします。あと全部で1万字近くになってしまったので、3回に分けます。ちょくちょくエクサウィザーズの宣伝が出てくるのはご容赦ください。

忙しい方向けの結論としては、下記になります。

1.マーケットからの需要と自分の差別化ポイントを意識しよう<この記事>
2.「未来予想力の自信」×「努力する自信」の有無で戦い方を変えよう
3.日々修行する相手の重要性に気づき「精神と時の部屋」の存在を知ろう
4.上記3つ踏まえ、勝手に力がつく環境を選ぶために師となる人に出会おう

あなたのオリジナリティは市場の需要×希少性で決まる

オックスフォード大学のオズボーン教授は2030年に仕事で最も必要とされるスキルとして「戦略的学習力」を挙げています。キャリアについて考えるときは、自分の手持ちのカードを武器にしながら、「次に新しいカードを手にするためには、どの環境に身を置けば自分のオリジナリティは上がるのか?」という観点を持つとよいのではないかと思います。

もちろん一部のスーパーマンやアーティストは、こんな面倒なことをせずに勝手にどんどん面白いキャリアを作っていけると思うのですが、僕は「実力足りないのに意識だけ高い」芸人だったので、考えざるをえませんでした。

これまでの人事キャリアの僕のカードをざっくり書いてみます

==未経験で人事に転職===
1.事業(マーケ/事業開発)と人事の両方の経験
2.ビジネスとエンジニア両方での採用経験
3.外資と日系の企業での日/英語での業務経験
4.子会社などの組織の立ち上げ経験
==スタートアップに転職===
5.大企業とスタートアップの両方の経験
6.30人-150人くらいまでの人事部長の経験

6年前、自分はマーケティングから人事にキャリアを変えました。正直「マーケティングではたぶん日本のトップになれない」白旗半分の転職でした。ただ、ポジションを変えるとマーケ出身の人事は純粋なマーケターより希少価値が高いということに気がついてからは、比較的狙って自分のハードスキルを増やすことにしました。

振り返ってみると、初期のエクサウィザーズに一人目の人事として入って一定バリューを出せたのは、採用に関してはビジネス・エンジニア/新卒・中途どっちもできたという、いそうでいない打席数の多さと、英語もできるという希少性があったからではないかと自己分析しています(あと勢い)

とは言っても、若いうちは「実績」で仕事をもらうことはほとんどありません。差し出せるのは「やりきります」というコミットメントのみで、「期待値」で仕事をもらうのが大前提。若手の間は特に新しい仕事に前のめりに手を上げ、チャレンジし、経験値を増やすことが重要です。環境としてはできるだけ打席が回ってくる、つまり成長中でチャンスを与える(人足りなくて与えざるを得ない)場所に身を置くと成長のスピードは上がると思います。

どう差別化していったのか?について、ハードスキルとソフトスキルにの二つの観点で説明していきます。

"たまたまそこにいるだけで得られることがある" ハードスキルでの差別化

6年前、リクルートに入社した際にトレーナーは元P&Gマーケの先輩でしたが、ほぼ全ての項目を自分の上位互換のような人で、絶対かなわない存在でした。「半田の強みは何か?何で勝負していくべきか?」を聞いたときに「強い好奇心」をあげてもらったことがあります。もらったFBを原文をほぼそのまま転載すると

「自分になじみのあるビジネス領域で、日本語を使い、対象が日本のマーケットであるリクルートホールディングスの採用から、自分の知らないIT領域で、決して得意ではない英語を使い、ほとんど経験のないGlobalマーケットというIndeed採用へ舵を切りたいという強い意思を持っている」

振り返ってみると、当時僕は人事として転職しましたが手持ちのカードはゼロ。そんな状況の中、リクルートの3年でやったことは「マーケ・事業経験」のカードに「Tech ×人事×グローバル(英語)」を掛け合わせてみて、人よりこの領域で時間を使ったことくらいです。

2015年、リクルートで海外エンジニアやAI研究者の採用をしにいくと言ったときの友人の反応は「何言ってんだこいつは」という感じでしたし、2018年にエクサに行くといったときもここまでAIやDXというワードは定着していない状況でした。それでもAIを軸にしながら介護・医療・ロボット・HR・金融・DXなどなど、仕事で必要なテーマを粛々と頑張ってきたら結構詳しくなっていました。

ここから言えることは、恐ろしいことに「ただその場所にいて、生きるために頑張ってるだけで筋肉がつくことがある」ということです。世間で言うところの「ごっつぁんゴール」です。マーケティング用語でカッコよく言うとすると"where to play" となります

※ちなみにサッカー界では「ごっつぁんゴール」は褒め言葉です。なぜかと言うと、「そこにポジションをとっている」ことに価値があるからです。ゴールの裏側には、ボールがこぼれるかどうかわからないけれどゴール前に愚直に詰め続ける根気があることをサッカー経験者以外はあまり知りません。一見チャラチャラしてるだけのように見える武田さんは実は偉大なのです。ちなみに、武田さんの場合の "where to play"はバブル景気頃はマハラジャ、エムザ有明、ジュリアナ東京だったとwikipediaに記載されており草

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話を元に戻すと、20代は「どんな筋肉が、どれくらいのスピードで付く環境か?」を考えることは特に重要だということです。いろいろな人事の方と話していて感じるのですが、例えば採用の筋肉を付けたいとなったときに、「誰を対象に、どんな業界で採用をやるのか?によってつく筋肉が違うこと」に意外と無自覚だったりします。

組織開発では「どれくらいの従業員規模で経営課題は何か」「組織開発とはどんな言葉を指しているのか」「ピープルアナリティクスをするならどのようなデータが溜まっているのか」「現場の意識はどこを向いてるのか」など色々なファクターがあります。

労務であれば、「社内の文化を損なわない社内規定になっているか?」
「数年後の社員数を想定して、今の給与計算のフローに課題がないか?」
「法改正に合わせた制度変更が適宜できているか?」「運用にあたっての会社のポリシーや譲れないラインや価値観に違和感を感じないか」
などです。業務の解像度を上げていき、どんなテーマを取り組むことになりそうか、どんな筋肉がつきそうか、数年後どんな仕上がりになっていそうかをイメージしながら仕事を選ぶことが大事だと思います。

長々と、書きましたが、ぶっちゃけこれまでの自分のキャリアを振り返った時のターニングポイントは20代後半に「indeedのエンジニア採用」という大きな波に乗って得たスキルを「初期のエクサウィザーズ」でレバレッジしたたことだと思います。

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"急がば(嫌われないように賢く)回れ"

少し話が変わります。振り返ると大企業にいた頃、ハードスキルや経験値を上げるために僕が意識してきたことは、「社内からの評価」と「自分のスキル獲得」のマトリックスをきり、自分の業務時間の比率を意識することでした。社内評価の有無と、スキルの獲得の有無をプロットするとこんな感じ。

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一見、”エキサイティングゾーン”の仕事をしたくなるのですが、ここは激戦です。先輩が順番待ちしてたり、エースがアサインされるので、自分がチャンスをもらえることはありませんでした。それでも頑張って仕事をしてると少しずつ評価され始めると、今度は"コンフォータブルゾーン"な仕事が増えてくるようになります。このことに無自覚だったり、必要以上に長くいすぎてしまったり自分のスキルは増えていかないのと、「XXX職人」というキャリアが待っています。このこと自体は全く悪いことではないのですが、このスキルが陳腐化してしまったり、テクノロジーに置き換えられてしまったりすると、まさにドーハの悲劇です。

ここで重要になるのが、いかにコンフォータブルゾーンの仕事のクオリティを下げず、インベストメントゾーンに舵を切れるか?ということになります。

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ここでの注意点は「ただやりたくない!」というのではなく、組織として仕事のアウトプットクオリティを担保しながら徐々に軸足をずらしていくことだと思います。ちなみにですが、コンフォータブルな仕事から意図的にマニアックなインベストゾーンの仕事に手をあげまくってきたのが、スタートアップの今になって効いてる感があります。急がば(嫌われないように賢く)回れということでしょうか。

強みに「気づき」「活かす」「鍛える」。ソフトスキルでの差別化

すみません、あと少しだけ続きます。ハードスキルの次はソフトスキルについて。成果を出すには、強みを意識して磨いていく必要があります。スポーツにおいても「背が高い」「足が速い」はただの特徴で、その特徴を使って成果を出すは、「強み」と言えるレベルに昇華させるまで活かす方法を考え、かつ鍛え続ける必要があります。

まずは「気がつく」

その前に落とし穴があります。というのも、意外とほとんどの人が自分の強みに気がついていないのです。そもそも強みは当人にとっては当たり前のことすぎて気がつかないことが多く、逆に言うと「自分は息をするように当たり前にできちゃう」ことこそが強みなのです。

リクルート時代には、お互いに強みをFBしあう仕組みがありって結果としてかなりの数のFBをもらったのですが、これが非常に役立ちました。エクサウィザーズの自分のチームでは毎月実施し、メタ認知力をあげているのですが、繰り返すと少しずつ言語化できます。(余談ですが人事は人の強み弱みを表現する言語化力が大事なので引き出しを増やすトレーニングを兼ねてます)

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自分の特徴としては、「思考・学習が好きそう」「達成欲強そう」「ミッション共感」などが挙げられてます。ただし、この段階では、ただの「特徴」なだけで、強みというレベルではないです。

次に、「使い」ながら「鍛える」

この特徴を「使う」=成果を出す、さらに強みと言えるレベルに高めるためにはどうすべきか?自分のとったアクションとしては、「達成欲」を刺激するために「高めの目標を自らセット・宣言する」という仕組みをとったり、学習欲を活かすために「高速キャッチアップすべき案件や、抽象度高めのタスクは積極的に自分でやる」などのアクションしていたりしています。

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「あなたの強みは何で、それを強みと言えるまで普段意識して"行動"していることはなんですか?」という問いを自分に問いかけると、自分の強みの鍛え方のイメージが湧くかもしれません。

また、最近では自分の強みを2倍・3倍レバレッジさせるための能力の発動条件を意識してます。具体的には「自分を好きに暴れさせてくれる守りが強い人とチームを組む」「オフェンシブなスタイルを好む経営者と働く」などです。なので意図的に16personalitiesの真逆の人を採用していたりします。

余談ですけど、サッカー選手で言うとプレースタイルとチームの戦術が合うか、って結構大事ですよね。スタートアップのカルチャーフィットのようなものに近いと思います。イタリア、ドイツ、プレミア、スペインそれぞれ求められるものが違うので、闇雲にビッグクラブにいけばいいわけではない。香川真司はクロップ監督率いるドルトムントで「あなたのハートにゲーゲンプレス」モードに突入した時は半端なかったですけど、マンチェスターUでだいぶ苦しみましたよね。

オリジナルな自分の強みを武器なのか?に向き合い続けることは、何があなたを他の人事との違いたらしめているのか?に繋がっていくと思います。

キャリア系の本でおすすめの本を紹介したいと思います。店頭に並ぶキャリア系の本もおよそ目を通してますが、圧倒的に下記3冊がおすすめです。

また、軽く次回予告をしておくと、「未来の予想力の自信」×「努力する自信」の有無で戦い方を変えると良いのではという話をしようと思います。自分のポジショニングや差別化ポイントを意識しつつも、時間軸を見据えて、どこに貼るべきか、どう努力を継続していくべくか?もスタイルがそれぞれあるのでそれについて最近考えていることをまとめてみます

1.マーケットからの需要と自分の差別化ポイントを意識しよう
2.「未来予想力の自信」×「努力する自信」の有無で戦い方を変えよう <次回の記事はここ>
3.日々修行する相手の重要性に気づき「精神と時の部屋」の存在を知ろう
4.上記3つ踏まえ、勝手に力がつく環境を選ぶために師となる人に出会おう

次回予告

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あと9回.. 結構カロリー使うので、応援してもらえると嬉しいです!また、本日の火曜日19:00-のイベントでお話しますので、お申し込みいただいていない方はまだ間に合いますので、ぜひ!

長々とお読みいただき、ありがとうございました。今後もこういったネタを発信していくので、こちらからフォローよろしくお願いします!

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