【簿記3級・2級】簿記をイメージしやすくする「記号つき仕訳法」のご紹介(会計#1)
この記事では筆者が、「仕訳がイメージできず苦手・嫌い」という理由でずっと後回しにし続けてきた日商簿記2級に三週間の学習で合格した際に編み出した、おすすめの簿記の考え方・解法を紹介させていただきます。
とにかく無機質な簿記の仕訳の考え方に、ちょっとした工夫(〇×△といった記号)を加えることにより、直感的にイメージしやすくするという方法です。
簿記の仕訳の理解に手こずっている初学者の方々や、効率的な学習法を模索している方々を対象にnoteを書きました。
簿記に習熟されている方にとっても参考の一助になれば幸いです。
簿記の「とっつきにくさ」とは
簿記の初学者にとって、おそらく最も高いハードル(取っつきにくさ)になるのが、借方貸方の概念や、資産・負債・費用などといった概念のお話かと思います。
習ってしまえば意外とシンプルなのですが、この概念的なところは全く実生活に馴染みがありませんし、「なぜそうするの?」という疑問を前に、立ち止まってしまうことも多いと思います(私も学生時代にはじめて簿記を習った際にそうなりました)。
最初に、簿記を学習したことがない方も読者として想定し、おおむね以下の図で示されるような概念があることに触れておきます。
そのうえで、簿記を習い始めてしまえば上記のような概念は体に染みついてくるのですが、一方で簿記で出てくる勘定科目は非常に無機質な単語が並びになるため、仕訳(取引の記録のようなもの)を見た際に、その取引内容をぱっとイメージにしにくいというハードルがあると考えています。
簿記の「とっつきにくさ」=仕訳が文字面でイメージしにくい
具体例として、実際の仕訳を見てみましょう。
いずれも簿記3級のテキストに出てくるものを挙げています。
現金 300 / 資本金 300
→会社を設立した際に、現金を用いて資本金を計上した売掛金 150 / 売上 150
→売上をあげたが、対価が現金で入ってくるのではなく、掛けとなった支払利息 100 / 未払金 100
→利息の支払いがあるが、支払日が未到来のため未払金とした未収入金 400 / 備品 1000
減価償却費累計額 560
固定資産売却損 40
→償却済みの備品の売却時、売却損となった
1~3の取引は非常にシンプルであるためイメージしやすいかもしれませんが、簿記の学習を進めていくうちに、4.のような複雑めの取引を仕訳で表現していくことになります。
そうした場合に、「この科目や資産だな、これは負債だな」といった形で、一つ一つの取引内容を自分の中で整理しながら仕訳を理解することが求められていきます。
勘定科目は当然ながら、ただの文字情報のため、それだけを読んでぱっと理解するには慣れが必要です。
筆者のおすすめ学習法:「記号つき仕訳法」
そこでおすすめするのが、各勘定科目の5つの属性(資産/負債/純資産/費用/収益)に応じて先頭に記号を付けていく方法です。
私が使用しているのは、「〇△☆×◎」の5種類です。こだわりとしては、以下の点を重視して選別しました。
①意味合いに沿った記号を持たせていること
②手書きの際に多少雑に書いても他の記号と見分けがつきやすいこと
※「四角=□」を採用していないのは②の観点で、四角を急いで書こうとした際に〇や△との判別性が損なわれるように感じたためです。
資産は〇「マル」
資産を持っているというのは基本的には喜ばしいイメージのため、「〇」で表現しました。また、資産の中で一番最初に学ぶであろう現金の「コイン」の丸い形に合わせています
負債は△「サンカク」
経営を学ぶと、必ずしも借入などの負債を持つことは悪いことではないと分かりますが、一般的に負債は悪いイメージがあるかと思います。それを表現できる「△」をモチーフにしました
純資産は☆「ホシ」
会社を立ち上げた際の資本金や、ビジネスを通して培った利益など、経営者にとって最も誇らしいものが純資産であると捉え、かがやく星「☆」をイメージにしました
手書きの際は、簡略化して一筆書き形式で書いています
費用は×「バツ」
費用は一過性の支出のことです。もちろん、会社にとって必要な経費等ではあるのですが、よく「コスト削減」と言われるように、出来れば少なく抑えたいという思惑が働く分野かと思います。そのイメージに合わせて、「×」を採用しました
収益は◎「ニジュウマル」
収益はお客さんに商品やサービスを買ってもらえた際に発生します。自分たちを褒めてもらえたような嬉しい瞬間をあらわして、テストで二重丸をもらえた際の嬉しさと重ねあわせて、「◎」を用いました
活用例:先ほど例で挙げた仕訳がこうなる
先ほど挙げた1~4の仕訳例を、記号つきで表現してみましょう。
(各科目の分類は以下のようになります。)
・現金、売掛金、未収入金、備品は資産なので「〇」
・未払金は負債のため「△」
・資本金は純資産のため「☆」
・支払利息、固定資産売却損は費用のため「×」
・売上は収益のため「◎」
〇現金 300 / ☆資本金 300
→〇と☆の仕訳
→資産と純資産のセットは、資本増強の仕訳であることが分かります〇売掛金 150 / ◎売上 150
→〇と◎の仕訳
→収益をあげた結果、資産が増加した場合がイメージできます×支払利息 / △未払金
→×と△の仕訳
→費用発生の対価を、負債によってまかなっている場合です〇未収入金 400 / 〇備品 1000
△減価償却費累計額 560
×固定資産売却損 40
→備品と未収金という資産(〇)の交換と同時に、負債の取り崩し(△)と費用の発生(×)が伴っていることが分かります
いかがでしょうか。
記号をつけることで、直感的に、記号同士の組み合わせによる取引の性質・特徴が浮き彫りになると思います。
私はこの方法を思いついた際、例えるならば数学の図形の問題を解く際に補助線を引くようなものだと感じました。
まとめ:無機質な簿記だからこそ、補助線を引きたい
このように、記号がない場合と、記号を付けた場合で、仕訳を直感的に理解することが出来るようになります。
上記の例の4は例外ですが、基本的に1vs1の仕訳であれば5×5=25通りの取引パターンしかありません。その中でも現実的に登場してくるパターンは半分くらいに限られるのではないでしょうか(例えば、☆/☆のように純資産同士の振り替えはほとんど発生しない)。
無機質になりがちな簿記の仕訳の世界に、記号という"補助線"を加えてイメージしやすくすると、学習しやすいと思います。
この方法は、どんなテキストを持っていても、科目名の先頭に記号を入れるだけなので、コストも掛からず、汎用的な方法として使えるという点も、おすすめしたい理由です。
今後、この方法の活用例や考え方を掘り下げていければと考えています。ぜひ、試してみてください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?