天才はあきらめた/山里亮太 読書感想文
2018年6月6日、深夜ラジオの中から大好きなパーソナリティー、南海キャンディーズの山里亮太さんが「天才はあきらめた」を出版すると発表した。僕はその日から一か月、発売日までとても楽しみにしていた。山ちゃんが書く自伝エッセイ。きっと剥き出しの感情、素晴らしいワードセンスが詰まっている1冊だと想像を膨らまし、早く読んで、色々感じ取り、自分の感情も爆発させたいと思っていた。
書店で積み上げられた本の帯には刺々しい書体で「劣等感は最高のガソリン!」劣等感の塊である僕はそのキャッチコピーを見てドキドキが止まらなかった。
僕が山ちゃんを知った最初のイメージはテレビにもよく出ている南海キャンディーズの人。本の中には今の地位に辿り着くまでの苦悩と葛藤が書かれていた。芸人と言う職業は人を笑顔にさせる、嫌なことを忘れさせてしまうある意味魔法使いなんじゃないかと思う、眩しいほど華やかな職業にみえた。実際に僕も日常的に救われている。でもイメージの裏側には嫉妬、恨み、相方への暴君、計り知れない努力。必死に頑張ろうとする事に必死になり過ぎ、周りが見えなくなり誰かを傷つけてしまったり。自分がドン底まで落ちてしまったり、読んでいて苦しくなり涙が出る程だった。誰にでもきっとある感情だけど、これらのマイナスの感情を曝け出すのは勇気がいる事だと思う。僕は、自分の弱いところは隠したい。ノートに思ったことを書く事もできず、自分が悩んでないフリを何度もして結局いつも心が潰れてしまう。発散するのが下手で、自分と向き合う事からも全力で逃げた事が数えきれないほどある。山ちゃんは自信を貯金する自信貯金を切り崩しながらも、自分の後悔やマイナスをプラスへのエネルギーに変換できるようになるまで、常に笑いと自分に向き合っていた。それでも、失敗を繰り返し頭を抱えていた山ちゃん。でも、嫉妬がすごいのも、一生懸命があってこそで、情熱を持ち、自分がやりたい事がしっかりあったからだと思う。
もうダメだと落ち込む山ちゃんに、手を差し伸べるような、心強い出会いがあった。僕が現在の山ちゃんの活躍を沢山観れるのは、手を差し伸べた愛のある先輩や仕事仲間のおかげかもしれないと思うと、僕も皆さんに感謝したくなる。芸人を辞めず、南海キャンディーズを続けてくれて、とても嬉しい。そして何よりも、劣等感は最高のガソリンになるんだと言う事を知れただけで、僕の気持ちは少し強くなれました。僕はガソリンを作るのは得意だと思う。あとは使い方だ。山ちゃんのパワーある言葉は背中を押してもらえると言うより、後ろで優しく支えてくれる心強さ。自分と向き合うと見えてくるものがあると言う事がわかった。悩んでも大丈夫。悩みながらパワーを貯めればいいし、悩みながら戦えばいい。僕はこの先どう生きるか、何がしたいのかまだわかりません。ただ、何かで立ち止まった時に「天才はあきらめた」を読み返そうと思います。この本はずっと、僕の味方になってくれるでしょう。そして、人との出会いも大切にしたい。山里亮太と言う人間の生き方を真似はできないかもしれないけど、自分がやりたい事、好きな事、続けたい事には全力で一生懸命になる。そう決めました。山里亮太=僕の憧れの人。おもしろい人。