折れているかもしれない
なにもしなかった平日の夕方、なぜか右手小指のあたりが痛い。じゃんけんのグーとパーを繰り返してみる。やっぱり痛い。
折れているかもしれない。
しばらくピアノは弾けないし、部活で格上のチームに勝ってもハイタッチは禁物。どちらも予定はなかったが、できないと思うとやりたくなってくる。だが右手小指のあたりがあれだ。
折れているかもしれない。
痛みじたいより「いつから痛いのか」がはっきりしないのが怖かった。心当たりがない。いつ折れたんだろう。ああ怖い。
そしてわたしは猛スピードで回るろくろに右手を差し入れ、壺と大皿を作り、窯に入れた。
(折れているかもしれない/Might be broken)