ビート板だったころまでさかのぼる
シリーズ・現代川柳と短文NEO 007
バイク事故で全身を複雑骨折したおれは、海辺の病院で白い天井を見つめ、後ろ向きなことばかり考えていた。この先大量のビート板を作らねばならなくなったとき、おれは一枚の巨大なビート板を作ってそれを分割しようと考え、作業のためどこかの体育館を借りようとするだろう。しかしそんな体育館は千葉にしかない。千葉。そんな遠くまで行く方法なんてない。なんせバイクはおれの代わりに谷底へ落ち、粉々になってしまった。
【本日の現代川柳】
ビート板だったころまでさかのぼる
/今田健太郎