だれひとり髪を切らない犬神家
シリーズ・現代川柳と短文NEO/046
八つ墓村と犬神家をまちがえてからなにもかもがだめになった。仕事も恋もなにもかも。気づくと、飼っていた犬も猫も小鳥も逃げていた。いいんだ。だってわたしは彼らの名前すら覚えていなかった。覚えていたつもりだが、きっとまちがえて覚えていたにちがいない。犬の名前と猫の名前をまちがえるなんて飼い主失格だ。まして、八つ墓村と犬神家をまちがえるなんて。
【きょうの現代川柳】
だれひとり髪を切らない犬神家
/今田健太郎
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