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雨あがる むこうの家は空き家かな
シリーズ・現代川柳と短文NEO 003
止んでから初めて降っていたことに気づく雨がある。同様に、聞こえなくなってから初めて鳴っていたことに気づく音がある。ノリの良い四つ打ちのバスドラやキック。それらが転調のタイミングに合わせてふと消えたときにおぼえる感覚はなにものにも代えがたい。あえて言えば、背伸びをしたあとの気持ちよさ。あるいは高原のすがしい空気。あれがいい。音楽はあれがいいんだよ。あたりまえにそこにあったものが無くなったあとに訪れる、甘美な空虚。聴きたいというより、聴きおわりたい。余韻にひたりたい。たぶん正しい音楽ファンの態度ではない。
【本日の現代川柳】
雨あがる むこうの家は空き家かな
/今田健太郎