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メンバーがひとり妖怪だってこと

シリーズ・現代川柳と短文NEO/042

 あるときから彼は友人のことを仲間と呼びはじめた。なにか様子がおかしいぞ、と思っているうち、いつのまにかファミリーと呼びはじめ、最後に会ったときはメンバーと呼んでいた。ところで最近ではクルーという呼び方がある。彼はそれを知っていただろうか。知らなかったかもしれないが、元気でいれば、独自にたどり着くこともあったかもしれない。でも、クルーよりメンバーのほうがいい。というかおもしろいぜ、と、墓石に彼の好きだった馬乳酒を垂らしながら、大きめの声でつぶやく。

【きょうの現代川柳】
メンバーがひとり妖怪だってこと
/今田健太郎


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