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芸術家になれぬ者が批評家になり、兵士になれぬ者が密告者になる(バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))

「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を観たのでレビューします。

【作品情報】
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:マイケル・キートン

【おすすめ度】
★★★★★★★☆☆☆(7 / 10)

【あらすじ】
かつて「バードマン」という作品で一世を風靡したリーガンは、その後ヒット作に恵まれず60歳を超え、現在は落ち目のハリウッドスターとして燻っていた。彼はは自身の再起をかけ、ブロードウェイの舞台を企画し演出・出演を務めるも、現実には様々なトラブルで思い通りに事は運ばず、次第に精神的に追い込まれていく。彼の舞台は果たして、成功を収めることができるのか・・・

【感想】
 かつて一世を風靡した落ち目のハリウッドスターが、自身が企画した舞台公演によって再起を試み、再起不能になる物語です。ワンカットという手法で撮られているので、物語の流れや展開が臨場感を伴い克明に描写されているのが特徴です。特に、主人公が自身で作り出した幻覚バードマンと対話するシーンは、美麗な映像も相まってそれが夢なのか、現なのか分からなるような、混迷を極める精神状態であることが、観ている側にもありありと伝わる秀逸な描写だと感じました。
 最終的に主人公は「無知がもたらす予期せぬ奇跡」を起こし舞台公演を大成功させます。その後バードマンと決別し、生きてるか死んでるか、夢か現か分からない最後を迎えますが、それは終焉などではなく、素晴らしき人生の第2幕の始まりを表しているのではないでしょうか。

【セリフ抜粋】
「芸術家になれぬ者が批評家になり、兵士になれぬ者が密告者になる」
代役俳優マイクが有名評論家タビサと対話するシーンにて。憧れがいともたやすく嫉みへと変わりやすいことを指すセリフ。

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