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一日中家にこもっているのは不健康よ(クリーン、シェーブン)

「クリーン、シェーブン」を観たのでレビューします。

【作品情報】
監督:ロッジ・ケリガン
出演:ピーター・グリーン

【おすすめ度】
★★★★★★☆☆☆☆(6 / 10)

【あらすじ】
自分の頭の中には受信機が、爪先には送信機が埋め込まれていると信じて疑わないピーターは、施設を出た直後に実家へと帰る。だが母親からは歓迎されず、彼は実家から離れて外へ出る決意をする。頭の中で常に雑音が鳴り響くピーターは、苦しみながら自分の娘に会いに行こうするが・・・

【感想】
 統合失調症の人間がどういう世界で生きているか、常人には理解し難いリアルを描いた映画でした。主人公のピーターは精神病院と思わしき施設から退院しますが、彼はどこへ行っても歓迎されず、母親からもぞんざいな扱いを受けます。実の娘も勝手に養子に出されて容易に会うことが叶わず、直接会おうと決意しますが、ピーターには幼女殺害の容疑がかかっていて、刑事から目を付けられます。
 ピーターが本当に幼女を殺害したかどうかは明確に描かれませんが、彼は実の娘とのひと時を過ごした直後、刑事に射殺されます。真相がどうであれ社会から異物扱いされた彼は、抹殺される運命にあったように思います。常人にとって理解できない人間は得体の知れない恐怖として映るがゆえに、淘汰されてしまうのが世の摂理なのでしょう、嘆かわしいことに。
 ピーターの生きる世界観、つまり統合失調症の人が襲われるであろう絶え間ない恐怖や不快感、強迫観念などを劇中で克明に描写しているので、一見の価値がある映画だと思います。

【シーン抜粋】
母親がピーターに説諭するシーンにて。直訳すると、とっとと出ていけプー太郎なセリフ。

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