【最強コンビ】 #987
子供の頃には気付かなかった事が
大人になってから随分と分かった
子供の頃
どうしても友達と壁を感じてしまっていた
楽しいが共有できない
好きなモノが共有できない
何処かでいつも寂しさを感じていた
大人になって分かった事
それは自分の家が他の家とちょっとだけ違ったって事
普通お父さんかお母さん
もしくは両親に人間としての
感謝や反省や喜びや悲しみ
そう言った価値観を親から教わる気がするのね
例えば
「人から何かしてもらったら感謝しなさい」
とか
「お友達を困らせるような事はしてはダメだ」
とか
「人をおとしいれるような事はするな」
とか
そういった類の人間としての教え
そう言ったモノをひとつも学ばなかったし教えも無かった
どちらからもだ
なんだか家族だけでこの世の中は成立しているかの如く
他者との話題が乏しかった
冷たい人と子供ながらに感じていた
なんだかロボットみたい
それが高校生の頃になると
違う感情が芽生えた
冷たいんじゃ無くて
この人たちって
子供っぽいんだ
年齢こそいってるが
人間としての成熟を感じない
言ってる事が幼稚くさい
親だから言えないけど
世の中に対する価値観が
子供っぽい
とても表面的な事しか言わない
奥行きが感じられない
そんな偉そうに言っている僕も
その血が流れ
その家で生まれ育ったものだから
友達と上手くコミュニケーションが取れない
他の連中は誰かが困ってる時
悲しんでる時
喜んでる時
その時々において
クラスメイトとして
友達として
どういう立ち居振る舞いをすれば良いか心得ている
僕には分からない
だからしばひば空気が読めず
デリカシーの無い事を口走る
そして後悔する
後悔できる時はまだ良い方だが
それすらも気付かず人が離れて行ったりする時もある
お願いだ
大人になったけど
理解できるようになりたいんだ
分からないんだよ
人を傷付けたく無いんだよ
一緒に喜び感謝し
誤った事をしたら反省して
皆んなと感情を分かち合いたいんだ
分からないんだよ
ある日
僕はちょっとした事で飲みの席で
友人と口論になった
それは僕を心配しての事だったんだけど
僕はダイレクトにダメ出しされている
皆んなの前で恥をかかされている
そう思って
目の前のフォークでその友人の腹を刺した
あんな先っちょが丸いフォークでも
思いっきりぶっ刺したら刺さるもんなんだな
友人はうずくまり
それでも僕の感情は止まらず
殴る蹴るを繰り返し
周りの友人や店の人に歯がいじめされてそれは止まった
警察官と救急隊が来て
友人は救急車で運ばれ
僕は警察官と共に警察へ連行された
友人は命に別状は無く意外と軽症で済んだ
僕も初犯という事もあって不起訴処分となった
友人に合わせる顔がない
でもきっとお詫びに行かないと
もう二度とその機会は無いような気がした
流石の僕もそれは分かった
僕は菓子折りを持って彼の家へと行った
チャイムを鳴らすとお母さんが出てきた
露骨に嫌な顔をされた
僕は頭を下げるしか無かった
そしたら2階の窓が開いて
友人はおいでおいでしてくれた
それを見てお母さんは渋々僕を家に上がらせた
「シンちゃん
この間はホンマごめん
自分でもなんであんな事してもうたんか分からへんねん
ホンマごめんなさい」
そう言って僕は土下座して謝った
友人は顔中ガーゼやら包帯であまり表情は分からなかったけど
「もうええよ
オマエんとこの家の環境も知ってるから
これで学んだやろ
他の奴にも言うとくさかい
オレらはこの一件で親友になったから
ヤスをハブくなって」
僕は情けなかったのと
嬉しかったので涙が溢れ出し
止まらなくなった
こんな事してしまったのに親友だなんて
僕は思った
コイツについて行こうって
コレが僕たち漫才コンビが誕生したきっかけだった
シンとはこの後ホントに親友となり
二人でアホな事ばっかりやってて
そしたはシンからお笑いの養成所誘われて二人で行ってお笑い勉強して
コンビ組んで10年目の節目で大きな賞も頂きテレビにもバンバン出られるようになった
今の自分があるのは全部コイツのお陰だ
親から感謝や反省や喜びや悲しみが学べなかったけど
シンが全部教えてくれた
さぁ今日もこれから二人の冠番組の収録が始まる
ほな!
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