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まさに今、第3次AIブーム! 1次、2次との違いは?

どうも、大学院でAI作ってる人です。ここではAIの発展の歴史を、めちゃくちゃ簡潔に分かりやすく解説します。

1. 第1次AIブーム ~探索してパズルを解こう~

最初のAIブームは1950~1960年代。この時代のAIにできることはズバリ、「探索」「推論」。(推論の処理は探索とほぼ同じなので、ここでは本質的な「探索」について深く説明します)

では、ある問いに対する答えを探索する例として、下の迷路を解くことを考えてみましょう。


人間の私たちならどうやって解くでしょうか? おそらく指で道をたどるなりして、分かれ道の度にどっちへ進もうか考え、行き止まりに当たったら戻ろう、といった作業を繰り返してゴールを目指すでしょう。

対してAIは、迷路を下図のようにノードの繋がりで表して探索します。ノードは「頂点」という意味で、アルファベットで示された分かれ道や行き止まりの点を指します。


STARTから出発すると、まず右へ行きAを目指すか、下へ行きBを目指すかの二択があります。Aは行き止まりなのでそこで終わり。Bは分かれ道なので、また二択になり……。

このように繰り返される選択のパターンを並べると、下図のように表すことができます。この樹形図を探索木といいます。


この図は、上の迷路と実質同じ

STARTから出発して探索エリアをどんどん広げていき、GOALにたどりついた時点でクリアですから、START→B→F→GOALという道順が答えだと分かりますね。

これが探索です。同様にしてハノイの塔などの簡単なパズルも解くことができます。

そしてこの探索木を広げていくと、オセロやチェス、将棋といったゲームをすることが可能になります。その場合に求めるべき答えは「最良の手」となるわけですが、自分の指した手に対して、相手が指す手が何十通りもあり、その次に自分が指す手は相手の手それぞれに対してさらに何十通り……となると、膨大な探索木になるのは分かりますよね。
そういった探索をなるべく小さい計算量で、素早く行う方法はいくつも開発されてきました。しかし決定的な欠点があります。それは

現実の問題に応用できないという点です。

前述した迷路やゲームのようなトイ・プロブレム(おもちゃの問題)には使えるのですが、例えば医療現場で治療法を考える、マーケティングにおいて顧客情報を分析する、といった現実の問題には使えなかったのです。

このような壁にぶつかったあたりで、第1次AIブームは終わりました。

2. 第2次AIブーム ~知識量でなんとかしよう~

第2次は1980~1990年代。キーワードは「知識」です。

AIに専門知識をたくさん入れておけば、現実の問題解決にも役立つだろうという考えの下、研究が進みました。こういった、知識をたくさん持ち専門家の代わりとなるようなAIをエキスパートシステムと呼びます。

例えば、「のどが腫れていて、胃が痛くて、熱が38度以上あれば○○病」のような知識を入れていきます。そうすると、例えばこんな風に診察できます。

「頭が痛い?」ー「いいえ」
「のどが腫れている?」ー「はい」
「胃が痛い?」ー「はい」
「体温は?」ー「38.4度」

→「のどが腫れている且つ、胃が痛い且つ、熱が38度以上あるので〇〇病です」

樹形図でも表せるのが何となく分かりますか?

しかし、実際にはこんなスムーズにはいきませんよね。こういった全ての質問にはい・いいえで答えられるほど、人間の身体は単純ではありません。
例えば「おなかのこの辺がムズムズする」といった曖昧な症状もありますし、患者が胃や腸の位置を正確に把握しているとも限りません。37.9度は38度と見なすのか、などの問題もあります。

そしてもっと根本的な問題として、そんなにたくさんの知識を専門家から聞いて入力していくのはとても大変です。さらに知識が何千、何万と増えていけば、知識どうしが矛盾・衝突することだってあり得ます。

こういった問題を解決するために、AIに人間界の常識を覚えさせるような研究もおこなわれています。そこで登場するのがフレーム問題、オントロジー、シンボルグラウンディング問題などなど……詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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結局、AIに知識をたくさん覚えさせるのはあまりに大変だということが分かり、またブームは終焉を迎えました。第1次ブームよりも期待が多かったために人々の落胆は大きく、AIはSF映画のような単なる幻想にすぎないのでは? という意見も多かったそうです。

3. 第3次AIブーム(自ら学習するAI)

そして今(2022年現在)は、三回目のAIブームの真っ最中です。
過去の二度のAIブームと決定的に違うのは、自分で学習して精度を高めていくという点です。この仕組みを機械学習(Machine Learning、略してML)といいます。

実は第2次ブームからここまでの間に、ウェブページやブラウザ、検索エンジンといった重要なものがことごとく登場しています。そのおかげでウェブ上には無数のテキストが存在し、これが学習の材料、つまりAIの教材となっているわけです。

機械学習にも様々な手法がありますが、その中でも最強といわれるのが、人間の脳を模したニューラルネットワークと呼ばれる仕組みです。詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
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まとめ

過去三度にわたるAIブームの歴史を知ることで、AIに何ができるのかを何となく掴めたのではないでしょうか?

これからも役立つ情報を分かりやすくお伝えしていきますので、ハートマークとフォローよろしくお願いします!
以上、ラケットでした!

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