『求道のマルメーレ』#6 第三編 全神会議(一)
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第三編 全神会議(一)
目覚めは唐突に、海底から浮上する泡のように襲い来た。鋼は頭の奥がジーンと痛むのを感じながらしばらく寝そべっていたが、手のひらに書かれた「弁明」の文字を見るなり、その手で額をベチ、と叩いた。
ぐっと首を伸ばし仰ぎ見ると、壁に掛けられたネジ巻き時計の針が無情にも五時過ぎを指している。窓の外は朝日が差す少し前といった様子だった。群れの目覚めを促す野鳥たちの澄んだ鳴き声も、いったん聞こえ出すとうるさく思えてくる。
鋼