『求道のマルメーレ』#13 第五編 砂城の亡霊(三)
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第五編 砂城の亡霊(三)
いかほどか時間が過ぎていた。やっとのことで、獣はガラス玉のような青い瞳をしばたいた。四肢を振るい、山のように背骨をしならせて上体を起こすと、辺り一面がもうもうと煙っている。手のひらを突く細かな石粒は、薄積もりの雪のように床を覆っていた。
獣は横たわっていた場から少し歩み、微かに光るトルマリンを見つけ出した。一つくしゃみをし、ブローチを摘まみ上げる。そして何とか外套の襟を留めると、曲がっていた背中が伸びてゆく。