なぜ『ISM製造業景況指数』が重要なのか?【ゆるい用語解説】
ISM製造業景況指数は、毎月第一営業日に前月の調査結果が発表されます。そのため、アメリカの主要経済指標の中で最も早く、速報性に優れているとされています。
第一営業日に前月分が発表されるんです!最速!
アメリカの5月ISM製造業景気指数(前月比)は48.7(↓0.5)予想49.6でした。前月比から0.5ポイントの低下で、市場予想も下回りました。
以下はこれまでのISM製造業景況指数のチャートです。
好況と不況の分かれ目となる「50」がポイントとなります。
2024年3月に50.3と50にタッチしてますが、それ以前は2022年10月に50.2を記録してからずっと50を下回っている状況です。(すみません、図は9月に〇がついてますが、10月も50を超えています)
金利が高い環境(政策金利は約5%)が続いていて、製造業では「不況」の水準が長引いてます。
景気後退の懸念を抱きつつ、利下げへの期待は高まるという環境。
さあ、さて今回は、この「ISM製造業景況指数」が、なぜ重要になってくるのか。少し話したいと思います。
なぜ、「ISM製造業景況指数」が重要なのか?それは、
製造業の景気がリアルタイムで把握ができるからです。そしてそれは経済全体の先行指標とされるからです。
じゃあ、なぜ、製造業なのか?
製造業はすそ野がものっすごい広いからです。
製造業は人手が必要なので、そもそも雇用をたくさん生み出しますし、他の産業への影響も大きいので、経済全体への波及効果があります。
例えばトヨタをイメージしてください。
トヨタの経済動向の影響は大きいです。
トヨタだけでは自動車は作れないので、トヨタの動向は、部品メーカーや素材メーカーに直接影響を与えます。また、自動車輸送やリース、駐車場などにも影響があります。さらに、自動車産業で働く人たちの収入が増えるとその地域の商店やレストランの売上にも影響を与えることになります。
製造業が与える影響は大きいのです。
ここ10年、20年でいえばGAFAMをはじめとするデジタルサービスの産業が大きくなっていますが、デジタルサービスにおいてもパソコン、スマートフォン、サーバーなど基盤となるデバイスは製造業です。また製造業はグローバルのサプライチェーンをつくっているので影響範囲は広く、その影響力は健在です。
そういった理由で、製造業の景気がリアルタイムで把握ができる「ISM製造業景況指数」は今後の景気全体を把握する上で重要な指標となるのです。
では、「ISM製造業景況指数」はどうなったらどんな判断ができるか?
シンプルに好況と不況の分かれ目となるのが「50」。それを上回るか、下回るかでみられます。
50以上:製造業が拡大していることを示します。経済が良好で、企業が製品をたくさん生産している状態。景気のポジティブなシグナルです。
50以下:製造業が縮小していることを示します。経済が減速している可能性があり、警戒が必要。
※株価は金利にも影響されるので、株価にとっては50を超えると必ずプラスで、50を下回ると必ずマイナスというわけではありません。
50を下回り、景気減速シグナルが点灯すれば、政策金利が下げられ、株価にもプラスに影響する可能性があるからです。
と、いうことで、
ISM製造業景況指数は「製造業の健康診断結果」みたいなものです。この結果を見て、経済の調子が良いかどうかを判断することができるということです。
ご清聴、ありがとうございました。
レイチェル
ISM製造業景況感指数(アイエスエムせいぞうぎょうけいきょうかんしすう)
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