【序章】レイチェルと旅するヨーロッパ
気づいたら、私、ヨーロッパにいたんだよね。しかも3カ月も。
きっかけは、ほんとに些細なこと。NGOで働く友達が、スロバキアに赴任することになったこと。1年間、ウクライナ支援の活動をするって聞いて、最初は「すごいね!頑張って!」って感じで終わるはずだった。でも、ふと思ったんだ。
「これ、行けるやつじゃない?」
ちょうど大学院の秋学期、授業もほとんどなくて時間はたっぷり。観光ビザで90日まで滞在OK。友達の家を拠点にできるなら、長期で暮らす感覚を味わえるかも――そう思った瞬間、私の頭の中では、旅の地図がもう描かれてた。
で、スロバキアに降り立った瞬間から、旅が始まった。これが、私の人生をちょっとだけ変える冒険のスタートだった。
ただの旅じゃなかったんだよ
最初はスロバキアの小さな街で暮らすつもりだった。
でも、
じっとしてられなかった。
異国の風景、街並み、言葉――目の前にあるすべてが「次はどこに行く?」と私を誘う。
気づけばロンドンで1カ月、パリで1週間。モンサンミッシェルの荘厳さに鳥肌が立ち、プラハの石畳を歩きながら小躍りして、ヴェネツィアのカフェで景色ごと飲みこむコーヒーは、今までない味わいだった。
ただ、これだけは言いたい。
この旅で本当に心を動かされたのは、観光名所じゃなくて、意外な瞬間。
例えば、ロンドンのゲストハウスで不意に友達になったブラジル人のおばあちゃんとか、怖そうなのにパリで一緒に記念撮影してくれた警察官のお兄さん、国境超え夜行バスで警察が乗り込んできてパスポートをチェックされるイベント、パリで意気投合した陽気なブラジル人姉妹、急に「私、日本語勉強してるんですよー」と日本語で話し出すイタリアの陽気なアイス屋の売り子さん、ヴェルサイユ宮殿の入り口の係の人も急に日本語を話してくれて嬉しかった。ケルンで見つけたオシャレなカフェで素敵なオーナーさんとも友達にもなれたし、初めて教会で礼拝を体験した。今日会ったのに「もしブリュッセルに来るときは私の家に泊まればいいわ」と言ってくれたベルギー人、趣向を凝らした観光客向けのパフォーマンスに感心したこと。
本当に、思い返せばキリがない。
旅って、こういう「何気ない瞬間」が、実は一番心に残る。
このマガジンに込めたもの
「レイチェルと旅するヨーロッパ」は、そんな日常の中で見つけた小さな感動や、新しい価値観との出会いを共有したくて作ったマガジン。
派手な冒険じゃなくても、異国の空気に触れるだけで何かが変わる瞬間を感じられるはず。
だから、
このマガジンでは、華やかな旅行ガイドじゃなくて、もっとリアルで親しみやすいエピソードを届けていきたい。ロンドンの街角での小さな気づきや、パリで迷子になった時のハプニング。
それが、もしかしたらあなたの日常を少しだけ面白くしてくれるかもしれない。
いろんなエピソードを綴っていくけれど、旅の途中で「次は何が起きるんだろう。どこへ行くんだろう」ってドキドキした気持ちを、みんなにも感じてもらえたら本当に、嬉しい。
さあ、ページをめくろうぜ
次回は、スロバキアでの第一歩から始まるエピソード。NGOで働く友達の家で過ごした初日、現地のマーケットに行く途中で気づいた出来事――これが、私の旅の第一章。
を、書こうと思ったけど、それは飛ばす。
なぜか?最高に面白いとは言えないから。
せっかくなら、一番おもしろい話から聞きたいよね?
一番おもしろい、ロンドンの話からしていこう。
いいでしょ?
スターウォーズだって、4から始まるのだもの。
さぁ、一緒に歩いてみよう。
きっと、あなたもどこかで「旅したい」気持ちを思い出すはず。
レイチェル