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映画館の価値と中島みゆき

映画館の価値とは何だろうか。

わざわざ映画館に赴き、1800円を払って2時間のコンテンツを消費する。

迫力の大スクリーンか?

今や自宅でも大型テレビで見ることができる。

見たことがない映画が見られることか?

いいや。

未だ見たことがない作品を見られるという価値は、もはや地に落ちた。

なぜなら、コンテンツが多すぎて1人が消費できるコンテンツ量は限界を明らかに超えてる。すべての時間をコンテンツに費やしても追いつけない量のコンテンツが、巷に溢れている。

もはや、

人は自分が面白いと感じるコンテンツを選択しなければ、正しく楽しめなくなる世界観になってしまった。

そうやって選択できなかったコンテンツたちが、ネットフリックスやアマゾンプライムにはウヨウヨうごめいている。

そう、

わざわざ映画館に行かなくても、自分にとって未知なコンテンツは、いくらでも安価で手に入れることができるのだ。

そうなれば。

そうなれば、映画館の価値は一体何になるのだろう?

その価値とはおそらく"空間"であろう。

もっといえば、"閉じ込められた不自由な空間"。

これが今、最も映画館が提供する高い価値である。

2時間もの間、閉じ込められて、一つのコンテンツに集中せざるを得ない状況。

この状況は、自宅のアマゾンプライムでは提供ができない。そこに自分の自由があるからだ。

自由に休止したり、止めたり。いつでも見られるという安心感が集中力を落とす要因となる。

不自由だからこそ感じる価値。それが、今、映画館が持つ価値になる。

閉じ込められると、人はすることがなくなるので、勝手にいろんなことを考え始める。目に映るコンテンツからは逃げることができなくても頭の中の自由は確保されているからだ。映画の時間は、考えを巡らせる時間となりえるのだ。

拘束されることは一見ネガティブに見えるが、拘束が生む価値は高い。

「いま、ここ」を感じるマインドフルネスに、似ていると思う。

たまには、映画館で映画をみて、その風景や人間やストーリーと自分との思考を交わらせる体験をするのもいい。

久しぶりに映画館で映画を観て、こんなことを感じた。

まとまった時間があって、映画でもみようかと探したときに、一番時間がぴったりだったのが、この映画であった。

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