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【ウィキペディア】2024/9/12 都内図書館でのウィキペディアタウン開催に向けた研修

対外的活動

対外的にウィキペディアのことを説明して、理解していただくという活動は、私の場合は2010年の朝日新聞の取材を受けたところから始まっている。同じ年にNHKのテレビ番組で「ITホワイトボックス」でウィキペディアのことを特集するとき、個別に取材を受けた後、私は別に依頼され、ひとりNHKまで行って内容の表現などの確認的なことを行った。

ウィキペディアタウンは日本では2013年からスタートしており、世界最初のウィキペディアタウンは2012年である。
私の対外的な活動はウィキペディアタウンの講師から始まっているわけではなく、あくまでもウィキペディアを良く知っていただく、あるいは活用していただくための活動のひとつである。


図書館とウィキペディアの親和性

図書館とウィキペディアは親和性が高い。
図書館が持つ豊富な資料は、ウィキペディアの記事執筆には欠かせない。

時代が変わるにつれて、ネットで文献を探す・参照する選択は増えていくが、大きく言えば人類の叡智のほとんどはまだまだ紙の形態をしており、図書館はその知識の門戸を広く開いている。

私は図書館関係者ではなく、ただのユーザー、それも若くはないユーザーである。ウィキペディアの編集に使う目的以外で図書館を利用することはほとんどない。だから私にとっての良い図書館は、多機能でなくても、居心地がよくなくても、立派な建物や内装でなくてもいい。自分が調べたい資料がそこにあるかどうである。

ただ言えるのは、その地域の資料を一番持っているのは、地元の図書館であろう、ということである。

2021年に「谷中生姜」という記事をウィキペディアに新規作成した。
昭和の東京ではよく耳にした「谷中生姜」は、平成に入って「谷根千」と呼ばれる、谷中、根津、千駄木、界隈の再評価とブームにより注目された台東区の谷中商店街にルーツを持つのだろうと勝手に思い込んでいた。
しかし、いざ谷中生姜のことを調べてみると谷中生姜の谷中とは、日暮里駅西側の台東区の谷中商店街の「谷中」ではなく、日暮里駅の東側、現在の荒川区内にかつてあった「谷中本村」に由来することに気づいた。

だから私は谷中生姜の記事を執筆するために、台東区の図書館ではなく、荒川区のゆいの森あらかわ(中央図書館)で資料を集めた。

私は食いしん坊でもあるため、なぜか食べ物関連の記事を力を入れて書くことが多い。
アジフライの記事を書こうと思ったときは、東京・高輪の味の素食の文化センター内にある「食の文化ライブラリー」にお邪魔した。ここは食分野に特化した食の専門図書館で、約40,000冊の食に関する蔵書がある。

見方を変えれば、そこに図書館があれば、そこの図書館の特色を生かしてウィキペディアの編集イベントをすることが可能だということだ。

ウィキペディアタウンの定義は:

ウィキペディアタウンとは、その地域にある文化財や観光名所などの情報をインターネット上の百科事典「ウィキペディア」に掲載し、さらに掲載記事へのアクセスの容易さを実現した街(町)のことである]。

https://w.wiki/csK

とウィキペディアに書いてある通りで、実際にはその現地で開催されるものとは限らない。
また、「こういう風に開催する」という決まった形はなく、むしろこういうものだというイメージが固定化されないほうが、ウィキペディアと図書館の親和性の高さを生かせる。

やっと本題

そういうわけなので、「ウィキペディアタウンをやりたいんです」というお話を伺ったときは、主催者の目的・課題を知るために打ち合わせをし、図書館ならば事前に全体研修を行うのがいいですよと進言する。

図書館の研修を行う理由は、昨今聞きかじりで知る限りの図書館の現状からイメージするに「なんかまた新しいイベントが増えて業務が増える」とスタッフの方が思ってしまうのは極力避けたいということと、図書館を可能性を生かすイベントであることを理解していただきたいからである。

ウィキペディアタウンには定型がないと書いたが、今までの開催からは以下のような要素が含まれる。

  • ウィキペディアに関する説明

  • 編集対象関連場所への街歩き

  • ウィキペディアの編集に関する説明

  • 資料探し(あらかじめ資料が用意されている場合もある)

  • 編集

  • 成果発表・振り返り

このうち必須なのは編集だけであり、参加者が準備をしていればイベントとしては会場とネット環境だけでも成立する。

なので、参加者、目的、ロケーションに合わせて、自由に設定ができるということである。

研修

今回の研修では「長谷川町子」「大宅壮一」「徳富蘆花」「ボロ市」などについて、実際に書籍を使って出典追加などの編集をしていただいた。

イベントの意義を感じていただきつつ、イベント参加者がこれをやったときにどの様な体験となるのか、なども考えていただいた。

その他、タウン、図書館関係者のフォーラム、WikiGap、就労支援施設でのレクチャー、絵本をテーマにしたイベントなどを紹介し、結び付ける対象は地域情報だけではないという例を説明した。

実際のイベントは11月。充実したイベントになるよう、図書館のご担当者との連絡を密にしながら進めていく。

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