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#62 言っていることではなく、やっていることを観察する 24/1/27

みなさん、こんにちは。
人の実績の確からしさ、経験やスキルの程度感を的確に推し量り、判断する方法論を考えてみます。

採用候補者や従業員を評価する際、かなり多くの人がその判断に迷うのではないでしょうか。
わたしは、人事と採用の分野を担当しています。キャリアの大半もこの分野です。
その少しばかりの経験から、人事評価や面接官(決裁権はたいてい役職者)が誤ったモノサシを判断に使っている、と考えます。なお、唯一の正解はないため、わたしの考えです。

ではまず、何が誤っていると考えるのか、です。
それは、言っていること、で判断している点です。

たとえば、
面接官「営業目標を毎期達成できたのは何が良かったのでしょうか?」
応募者「お客様が本当に困っていることが何か考え抜いて提案してきたからだと思います」
この質疑応答で終えて判断する人が6割です。

面接官「どうやって本当の困りごとにあたり(仮説)をつけるのですか?」
応募者「商談の際に、足元の課題を聞いた後、もう少し先に実現したい目標と背景、そこへの課題感を聞くことにしています」
ここまで一段掘り下げて判断する人が2割です。

面接官「では営業担当の成果目標は売上、粗利、成長率、利益率など、どんな指標ですか?」
応募者「売上と粗利です。私は大手クライアントも担当していたので、顧客内シェアもありました」
面接官「売上と粗利はどんなロジックで金額目標が設定されるのですか?それから、営業担当あるいは課長の決裁金額や決裁事項の裁量は何を、どこまででしょうか?」
応募者「マーケットの成長率に、自社の前年成長率を加味していました。メンバー層は決裁権はなく、見積もり額は◯円までは課長決裁で、◯円以上は受注にあたっての審議決裁もあります。話は飛びますが、チーム、部門単位で達成率に応じだインセンティブもあります(略)」
ここまで一段掘り下げて判断する人が1割です。

面接官「ちょっと戻りますが、中期的な時間軸の話も聞くようにしているのは、どんな意図や、何かきっかけがあったのですか?足元のことを聞くだけの場合と、提案をつくる際にどんなことが違いますか?」
応募者「営業1年目に、仕事が取れず失注続きでした。お客様にヒアリングした課題に対して提案しているはずなのに。先輩に相談してみたら、『お客さんは見えている事象を捉えて、課題と言っているように見えるね』とひとことだけ言ってくれました。はじめは理解できなかったのですが、こうかな?と仮説を持ってお客様に提案してみました。すると、お客様との会話が深くなって、わかってきたのです(略)」
このあたりまで掘り下げて判断している人は1割いるかいないか、です。

3段階に単純化してみました。
6割の第一段階は、相手が言ったことを鵜呑みにしています。
2割の第二段階は、実際にどんな行動をしているか、第一段階の検証をしています。
1割の第三段階は、どんな仕事環境で職務遂行しているか、前提条件の確認をしています。
1割の第四段階は、行動の理由が何か、習慣性があるか、第二段階の動機の裏付けを検証しています。
言っていること、行動していることの両者は、ネステッドストラクチャー(入れ子構造)の関係です。ですから、どこで切り取るかによって、どちらとも言えてしまいます。しかし、できれば半分の人が第三段階まで、掘り下げられると、判断の質は、組織全体で大きく向上すると考えます。

これは実は、いわゆる再現可能か、行動の再現性を検証しています。さらに言えば、その行動パターンに成功の合理性や汎用性が伴っていると考えられれば、成果創出の再現性があると見通せます。つまり確からしい成果の再現性を検証しているのが、第三段階の質疑応答だと考えます。

では、次になぜ、言っていることで判断することがよくないのか、です。
それは、事実に基づいて判断していないからです。
具体的には、
大喜利一本!と、質問に上手く答えられるか、瞬発力や機転が効く、反応や頭の良さを判断しているからです。
それから、あるべき理想的な行動や考え方は、面接用につくり込むができてしまうからです。
また、チームやプロジェクトの成果・実績を、自分の功績と置き換えてしまうからです。
同様に、上長や他者が主体者であった成果や実績を、自分の実績と置き換えてしまうからです。

ですから、例の第三段階レベルまでに再現性の根拠までに掘り下げ、分解することが求められます。そこまでしてようやく確からしさが確保できると考えます。それでもなお、外れることは避けられないません。最後は、自分たちの納得度にある種の保険をかけておくことかもしれません。

さて、みなさんは、言っていることを基準に判断されていませんか?
それでは、また。

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