#291 利益相反する責任者兼務の耳の痛い話 25/1/20
こんにちは。
今日は、耳の痛い指摘をする、について考えます。
(実例を基に編集しています)
少し前に、半期間の評価キャリブレーション会議がありました。その中で、とある事業部門責任者と人事課長の間で、ちょっとした出来事がありました。この事業責任者は、プロフィット部門の責任者と人事機能を含む管理部門の管掌を兼務していました。組織図上、その管掌部門の長ではあるものの、各バックオフィス機能は、その課長ないし部長に執行を任せているような構図です。
評価による給与改定の昇給原資には、当然ながら予算上限があります。お財布が存在します。そのお財布管理は、企業によって様々ですが、およそ部と言われるような部門単位、あるいはP/Lの収益管理単位でなされる場合が多いのではないでしょうか。もしくは、会社や事業単位の大括りにお財布を設け、一律にその昇給原資額や昇給率を順守するルールによって統制するのがセオリーでしょう。
当社も、部門単位で予算を設計し、それに基づき運営する運用を行なっています。そのお財布管理において、割と起こり得る事象の1つとして、部門単位ではその時々の業績パフォーマンスの凸凹があり、凸の部門は評価自体が上振れる傾向にあります。よって、予算を超過してしまうことが起こります。一方、凹の部門は計画した予算を使い切らないため、凸の部門と凹の部門を合計したら、事業部門で捉えれば予算の帳尻が合うことが間々あります。これは程度の問題なので、良しとするケースもあれば、原則論に立ち戻り、部門単位の予算執行を守ってもらうこともあります。
前置きが長くなりました。
冒頭のある事業部門の責任者かつ管理部門責任者が、プロフィット部門の評価キャリブレーション会議において、予算を超過する状況になり、発言をされました。
「事業全体で予算が収まればいいでしょ」の一言でした。これに対して、人事課長は、「部門単位で予算管理をしてもらうことが必要です」と返しました。その運用ルールであるからこそ、評価プロセスも、事前にキャリブレーション会議を行ない、本人との面談で着地見込みの評価を見据えて期待値をあわせ、そして最終評価を確定する、と一連のプロセスが確立されています。
その運用原則の認識が薄かったかもしれないため、改めて人事課長が解説を加えたそうです。
「予算策定、PL管理は、部門単位で行なっています。ですから、昇給原資の執行も同様です。何かどうしてもやむに已まれぬ理由や背景がある際には、例外的に事業全体のお財布を見て判断に余白を持たせることはあります」
今回の結果自体は、事業部門責任者の権限で予算超過を通すことになりました。一方、人事課長がくぎを刺したように、定期的にルールの啓もう活動、エラー行動への指摘をすることは、長期的に良いルーティンを生む行動だと考えます。
それから、プロフィット部門と間接コスト部門(人事部門含む)の利害が相反する組織を見ている責任者であるからこそ、人事部門も組織図上見ているからこそ、その責任者が運用原則を破ることに対する指摘をわたしからも添え加えました。
複数の帽子をかぶるのであれば、その利益相反や立場の矛盾を乗り越えるインテグリティな姿勢が求められるのだと考えます。
それでは、また。