#91 採用候補者の時価含めて現在価値を評価する【1/2】24/2/25
みなさん、こんにちは。
採用活動において年収条件を評価することについて考えてみます。
採用選考、従業員の人事考課、役職登用など様々な人事局面で「ポテンシャルを買って」「ポテンシャルも含めて」と評価する声が多数あります。
わたしは、ポテンシャルのような不確実な変数を評価したり見通すことがそもそもできるのか、と疑問を持っています。それに向き合ってみました。
採用活動を例に取り上げます。
とりわけ応募者の価値を評価することに絞って考えてみます。
書類選考であれ、1次面接、2次面接、最終面接どの選考フェーズであっても、評価者がその時点で、応募者の労働市場における現在価値を評価することが大前提です。
ここでいう評価は、労働市場における経済的価値、すなわち年収を指します。
現在価値の年収は、応募者の実績・経験から評価したスキル面の価値と、その業界や職種分野の時価に分解できます。
その年収をものさしとして、リクルーター、次の面接官、紹介会社の担当者ほか関係者が、評価の共通認識を持つことを可能にします。ですから、採用活動を円滑にするためにも、現在価値をその時点で都度、評価することがベターと考えています。
実はこの点を、採用担当者も、面接官も知らないことが大半です。知らないから都度、現在価値を、評価することに対する問題意識を持ちようがありません。
一方で、これが採用のスタンダードかどうか、教科書的な正解はありません。わたし自身が採用の仕事に携わる中で、こうしたほうがよりよいだろうと、その時点の最適解を自分で考えたにすぎません。それを、業務プロセス、業務フロー、業務手順、つまり仕組みに実装したに過ぎません。
さて、現在価値の評価ベースにするのは、経験・実績、それに基づくスキル・専門性、企業によってはマインドや人間性的な要素を入れているでしょう。
これらは概ね定性的な評価です。定性的な評価とは、粒度はともあれ概念です。ですから、その情報を受け取る相手によって、解釈の余地が生まれやすく、それゆえに認識のズレを起こしやすい性質を持ちます。
そのズレをできるだけ少なくし、共通理解を持てるように、その定性的評価である概念を「年収金額」の具象に変換します。
生々しい言い方をすれば、「値付け」です。
労働市場の市場価値に、採用企業の社内価値を加味した、値付けです。
ここまで見てきたように、「評価する」は、どうやっても本日現在時点を評価することしかできないと考えています。
たとえば実績は過去を評価しているのでは?と疑問を持たれると想像します。
実績自体は過去のものです。では何が現在なのか、です。
実績を通して、スキルがありそうかを見ています。
求人ポジションに期待される職務内容に応えてくれるスキルを「現在」持っているか、「現在」活用できる状態にあるかどうか、を過去の実績を通してみています。
同時にこの瞬間に、求人ポジションに期待される「近未来」を現在時点のビューから評価しています。
ですから、現在価値しか評価できない、と考えています。
逆を言えば、現在価値を評価している、と考えています。
M&Aなど企業価値分析の考え方に類似していると考えます。
その視点から言えば、現在価値に割り戻している、の言い方でしょうか。
少し長くなりましたので、2回に分けて次回もこのテーマで考えてみます。
みなさんは、ポテンシャル評価可能と思いますか?
それでは、また。