#226 マネージャーは人事・組織の情報共有の順番にケアする 24/8/7
みなさん、こんにちは。
今日は、組織情報の取り扱いの順番について考えます。
企業の情報は、基本的には機密情報として扱われます。最近では、退職した元社員が情報を持ち出す、転職先で活用するような事件・ニュースも報道される機会が多くなりました。とりわけ経営幹部や部長層、営業担当など分厚い情報や情報網を持つ人(そうでないと活用できる情報ではありませんが)が多いように見受けられます。
今日の本題はその機密情報の持ち出しではなく、社内・組織内の情報、おおくは人事に関する情報や、M&A・事業再編の組織情報に目を向けてみます。
(実例を基に編集しています)
わたしは人事部門に所属しているため、年度の組織編成やそれにまつわる幹部の人事に関する意思決定にも関わりますし、事業統合やM&A後のPMIを見据えた人事・組織の情報を早い段階で知ることが多くあります。
当然ながら、こうした機密情報は開示範囲を適切に限定して、情報アクセスをコントロールします。開示範囲を限定することは大前提として、その次にケアしておく留意点は、どのような順番で情報伝達をするか、と考えます。
たとえば、年度の組織編成に伴う人事情報、とくに取締役・役員から課長あたりのマネージメント体制や異動・昇進の情報も機密レベルも濃淡があります。株主総会の決議を経る取締役は少し外して、自社組織内で完結する権限に基づく人事決裁の範囲を想像してみます。
大抵の企業・人事部門では、組織階層の上位ポストから、交代(異動)や昇進・降格、組織の新設や各役職層の増設などを検討していくことと考えます。
話は少し遡りますが、新年度24年4月を迎えるにあたり、当社でも例年どおり組織編成とそのポスト人事について話し合って決定する場がありました。その中で1つちょっとしたミスコミュニケーションがあったことを取り上げてみます。
ある事業企画部門がA事業とB事業、C事業の3部門を担当していました。組織図的にいえば、ABC事業3つの兼務です。それをこの4月の組織編成で、A、B、Cそれぞれの事業部門に企画を配置し直すプランを検討していました。恥ずかしながら、事業企画・経営企画を任せられる人材が不足していました。
ですから、事業ごとにカスタマイズした機能が果たされることと、ある程度の期間、組織分割によるプロセスロスによる品質・パフォーマンス低下が起こることは蓋然性が高く、トレードオフの関係にありました。その論点は、脇におきます。
A、B、C事業部門の責任者間ではその機能分化をベースに検討していました。その中で、該当部門を管掌する責任者は、直接的に検討の場には参加していなかったようです。概ね事業責任者間の協議結果では、機能分化が既定路線の紺瀬素になると並行して、B、C事業部門では専任化して組織編成する事業企画部門の部門長の人選をあらかた決めて、その部門長それぞれとそのスタッフを選定する作業を進めます。
一方、現在3つの事業を担当している部門長には、これらの情報は公式にはもたらされていません。A事業の責任者を通じて機能分化がほぼ既定路線になりつつあることを情報共有されていました。
しかしながら、B事業、C事業の責任者が考えている今後の方針と現状の問題点は共有がされないままでした。そのステータスのままに、公式な組織編成を検討する場で、B事業、C事業から、それぞれの責任者が誰になり、そのメンバーリングも進んでいる進捗が共有されることになりました。
いわば、3事業を兼任している部門責任者は、面食らう状態になりました。人事情報やその周辺情報が、部門責任者に正式に共有されず、一方で、後任にはチーム編成の実作業が進んでいる、情報の錯誤が起こってしまいました。情報が逆流してしまったような状況です。
こうすると当事者は、感情的にも、論理的にも、折り合いをつけることには一定の時間を要します。悪い場合、不信感や不満を持つように、それが腹の中に滞留するようなことにもつながりかねない状態を生んでしまったのです。
このように、機密・機微な、とりわけ人事情報は、いつも以上に丁寧にケアする必要があると考えます。人は感情を持つ生き物ですから、形式的に納得することはできても、根本的に腹落ちすることには、難しい側面があると考えます。
人事に携わるわたしは、情報の取り扱いに一層ケアすることを学びました。
さて、みなさんは情報の取り扱いでケアしていることはどんなことですか。
それでは、また。