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ファイナンス(企業財務)の基本⑳:「リスクの定量化」について、まとめてみた その6

前回は「リスクの定量化」の続きで、「最適ポートフォリオ」について書いてみました。今回も、「リスクの定量化」の続きで、「ポートフォリオと個別株式のリスク」について書いてみたいと思います。

「リスクの定量化シリーズ」については、今回で最後にします。長ったらしくなってしまい、すみませんでした。

「結局、何をおさえれば良いのか?」といったことは、また改めて書きますので、ご安心ください。

まずは、前回のおさらいです。

最適ポートフォリオの選択(前回のおさらい)

前回は、リスクフリー資産や株式を組み合わせた「ポートフォリオ」という切り口で、投資家はどういった視点で考え、どうやって「リスクを極力低くして、期待リターンが高くなる選択を目指すのか」ということを書きました。
(その結果、ポートフォリオのリスクとリターンの関係は「資本市場線」という形で表せることが、ご理解いただけたかと思います)

今回は、「ポートフォリオ」ではなく「個別株式」という切り口で、「リスクとリターンの関係」をみていきたいと思います。

ポートフォリオと個別株式のリスク

前述のワイン株とビール株の例でも、ポートフォリオを組んで分散投資をすることによって、個別株式のリスクは軽減できることがわかります。

しかし、リスクをゼロにできるわけではなく、ポートフォリオによるリスク軽減には限界があります。

すなわち、ポートフォリオに含まれる資産の数を増やすことで、ポートフォリオ全体のリスクは軽減されていきますが、ある一定の値以下には下がらない、ということになります。

分散投資をしても軽減されずに残るリスクのことを、システマティック・リスクといいます。一方、分散投資によって低減可能なリスクのことは、アンシステマティック・リスクといいます

個別株式のリスク

システマティック・リスクの意味合いとしては、そのマーケットに属する資産全体に影響するリスクと考えることができます。

たとえば、海外の資本市場の動向、市場金利の上昇や下落、政府要人の発言、全国的な気候や災害などにより発生するリスクです。

上記のような意味あいから、システマティック・リスクはマーケットリスクともいいます。

一方、アンシステマティック・リスクとは、たとえば、個別企業の戦略の巧拙やヒット商品の有無など、個別資産に固有の原因で発生するものと考えらます。
アンシステマティック・リスクは、ユニーク・リスクともいいます。

余談ですが、(マーケットリスク、ユニーク・リスクの話を整理しながら)昔読んだ森岡毅さんの本で「物事が上手く進められていない人は、定数部分にばかり目が行きがち。変数部分と定数部分を瞬時に見抜いて、変数部分にアプローチする、といった思考が必要」と書いてあったことを思い出しました。

今回は、ここまでにします。
次回、CAPM理論という考え方をご紹介したいと思います。

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