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【エッセイ】狸の復讐:父の日の災い②
はぁはぁはぁ……
お腹と顔はまだ痛いけれど、何とか笑うのを止められた。
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サンディエゴ時間9pm(日本時間1pm)、私たちは何とかフェイスタイム通話を開始することができた。
私の両親は、久しぶりの私たちの通話をとても喜んでくれた。
元気そうな彼らを見てホッとした。
狸は練習の甲斐もあって、父の日のメッセージ間違えずに言い切ることがきた。
ふと脳裏に”ちちにち”がよぎったが、私も平静でいられた。
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会話は弾み、サンディエゴに引っ越した私と狸の話になった。
私がニートでだらしないくせに生意気なので、両親は狸を気の毒に思っているようだ。
確かに、両親は暴れん坊兎に手を焼いたと思う。
狸は横で”とても たのしい です”と言っている。
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よし、いいぞ狸。
余計なことは言うなよ!
私は心の中でそうつぶやいていた。
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すると何の会話からなのか、突然狸が”うさぎ は こわい です”と言い出したのだ。
狸の顔を一瞥し、すぐに画面の両親に顔を戻すと、両親が「やっぱりそうだよなぁー。わかるよ、苦労しているんだな、狸」と、うなずいているではないか。
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私は面食らい、何だかよく分からない言葉を発していたように思う。
画面上の両親は狸側につき、狸は隣りでとても嬉しそうにしている。
画面上からは、私の名前ではなく狸を呼ぶ声だけが聞こえてくる。
私はもはや通訳者でしかない。
何だか皆んな楽しそうだ……
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こうして狸の復讐は終わりを告げた。(いや、始まったばかりなのかもしれない……)