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父、意固地になる(ならないで)

父が今年仕事を引退した。そのせいか分からないが、最近父の性格が頑なになってきたのが気がかりだ。

父は引退後、趣味のゴルフに毎週欠かさず通っており、そこにいろいろなゴルフ仲間のグループができているようだ。それを〇〇会、XX会、などと呼び名を付け、グループごとに飲み会なども行っている。ところが、〇〇会のAさんとXX会のBさんは仲が悪いから一緒にできないとか、AさんはBさんが何か言ってなかったかCさんに探りと入れていたとか、DさんはBさんと仲が良すぎてお互い既婚者なのに夫婦みたいに思われてるとか、噂やゴシップの飛び交う中学生みたいなコミュニティと化しているようなのだ。

私は、大人なんだから派閥みたいなのを作らないで、毎回新しく飲み会を企画して参加したい人が来る、AさんとBさんが仲悪いのなんて周りは知ったことじゃないんだから参加は当人たちに任せればいい、と意見した。

私の意見を父は「派閥じゃない」「あなたも子供ができたらママ友同士でどうせこうなる」などと言い返すか私を攻撃するばかりで、自分たちの状況を顧みるようなことはしなかった。

ほかにも、父は聞き役に回ることがほとんどなくなってしまったように思う。

例えば、これから生まれてくる私の子供(父にとっての孫)の話題に入ってこない。母と私、パートナーの3人で、チャイルドシートはどうしようかとか、次の健診は付いていこうかなどと話し始めると、父はテーブルを離れてリビングのほうへ行ってしまったりする。

彼はいわゆるモーレツ社員だったので、子育てにはあまり参加してこなかった。そのこと自体は時代や家庭内の役割分担があるので別にいいのだが、赤ちゃんの世話や子育てに意見できないことが居心地が悪いのではないか。普段はかなり饒舌で、話している内容も興味深いことが多いのだが、自分が語れない話題のときに聞き役に回ることがこれまでよりも出来ていない気がする。

原因のひとつは引退してゴルフばかりやっているせいではないか。会社の場合は若手からベテランまで、さまざまな世代とスキル、性格の人が集まっているので、なかなか意固地な性格を貫くことは難しい。一方、ゴルフ仲間は皆引退した方々で、父はどちらかといえば若手になる。ゴルフという共通項のあるおじいさん、おばあさんとばかり付き合っているので中学生みたいに視野も狭くなっていくのではないか。

もうひとつは引退してプライドの置き場がないのではないか。仕事をしていれば父の知見を頼られたりすることも多かっただろう。しかし、今は頼られることや語る機会がめっきり減ってしまったのではないか。

私は父とはよく話すし、かなり仲の良い親子だと思う。しかし、人の意見を受け入れない、知らない話題を興味を持って聞いてくれない、というのは寂しいことだ。歳をとっても意固地にならず、にこにこと若者の話に耳を傾けるおじいさんになってもらいたいものだ。

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