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最後のバイク旅

30代になってから急にバイクの免許を取ったので、いわゆるバイク友達がいません。そのおかげでソロツーリングで気ままに走らせるのが私スタイルです。

現在妊娠し、海外移住も決まり、愛鉄馬を売ってしまったので、昨年秋に行った本州横断が最後のツーリングになりました。

それは振り返れば最長の旅でした。東京・有明港からフェリーで徳島まで行き、瀬戸大橋を渡って広島、岡山、鳥取、兵庫、大阪と山々を抜けたら、今度は海沿いに紀伊半島をぐるっとまわり、三重からフェリーで愛知に入り、静岡、神奈川、東京へと戻ってくる旅です。

0-1日目:東京・有明~徳島港~広島・世羅

「オーシャン東九フェリー」で徳島を目指します。

徳島!の紙をもらい、バイクに貼っておく

18時間かかる船旅、実は2回目です。電波が届かないので暇で仕方がないこと、意外と船酔いすることは分かっていたので、無理やり寝る、起きてしまったらお風呂に行く、を繰り返して究極にのんびり過ごしました。もちろん個室です。絶対楽です。

3人まで寝られる船室。快適です。

食べ物はお弁当やカップ麺の自販機しかないことも分かっていたので、コロッケなどを持ち込みました。

昼過ぎに徳島港に到着し、すぐに高速道路に乗ります。ちょこちょことPAに寄り、トイレに行ったりお土産を買ったりしましたが、この日の目的地は広島の深い山の中の友人宅のため、日が暮れるまでに着きたく急ぎ気味です。

さっと一休み

なんとか18時前に到着し、一緒になぜかボルシチを作り、夕食にしました。

2日目:広島・西条「酒まつり」

今日はバイクはお休み。西条の酒まつりで牡蠣と酒三昧です。友人とともにかなりのノンベエなので、友人夫に運転を任せ、二人とも遠慮なく楽しみました。

西条酒まつり

京都の伏見もよかったけど西条も素敵。日本三大酒どころは残すところ兵庫・灘だけです。

3日目:広島・世羅~岡山・新見

この日は80kmくらいの軽い移動。親戚の住む岡山県まで行きます。広島県、岡山県と言ってもずっと山の中を行くルートで非常に気持ちがいいです。途中で帝釈峡の素敵な景色も拝めます。

コンビニで休憩

私、海があまり好きではなく、実際泳げないし潜れないし、DNAが山族だと思うんです。登山は好きだし、山の中にいるととても癒されるんです。なのでツーリングでも山のほうへ行きがちです。

4日目:新見市

午前中はのんびりし、午後からバイクで新見内の気になるスポットを回ってみました。まずは「Domaine Tetta」というワイナリー。行ってみるとおしゃれな建物と開けた畑が。素敵~と思ったもののこの日は休み!ショック!

Domaine Tetta休み

悲しいので「COLTRADA」というワイナリーにも行ってみました。なんとこちらも休み!というか建物は入れましたが、人が全然おらず、何もできませんでした。

景色最高だったColtrada

どちらのワイナリーも山の中にあるのでくねくねとした山道をのんびり走るのは気持ちよかったです。結局、新見市内の酒屋でTetta wineを手に入れました。ちなみに岡山県新見市は、キャビアやワイン、千屋牛、桃やピオーネなど、A級グルメを特産品にもつ街です。

5日目:岡山・新見~鳥取・三朝温泉~大阪・豊中

5日目からようやくソロ旅らしくなり、結構な移動が始まります。新見を出発し、まずはおすすめされた鳥取県の三朝(みささ)温泉を目指しました。面白いことに、ずっと目の前に山があります。行けども行けども、目の前が山。山の間を進みます。

乗り降りに気を使うほどの荷物

この日の敵は大量の荷物です。親戚からかぼちゃを預かり、さらに昨日買ったワイン2本とお醤油2本。私のバイクは小さいしシートが硬いので、尻の痛みと戦いながらの道です。

鳥取・三朝温泉

まずは観光案内所に行き、マップを参照して「ブランナールみささ」というホテル内のレストランでランチを食べ、「三朝館」の日帰り温泉を利用しました。とってもきれいな温泉で、飲泉もでき堪能しました。

三朝館

道の駅はっとう

次にトイレ休憩のためたまたま立ち寄ったのが「道の駅はっとう」。なぜかバイクグッズがたくさん置いてあります。近くに隼(はやぶさ)駅があるから隼乗りが集まるようになり、バイク仕様の駅になったそう。私のバイクは隼ではないけど、ステッカーなどをいただきました。

道の駅はっとう

大きな野菜やフルーツもたくさんあり惹かれましたが、シートバッグがパンパンの今は何も買えないのが残念でした。

その後、くねくねと山道を進み、途中の「天滝渓谷」に後ろ髪惹かれつつ、すでに日が落ちてきた中を大阪目指して走りました。途中から高速道路に乗り、丹波やら神戸やらは素通りです。

大阪に近づくにつれ、車間距離が妙に近くなります。全部の車に煽られてるような気分でしたが、たぶん単純に車間距離が近いだけだと思います。

ようやく大阪へ

親戚の住む大阪へ満身創痍で到着しました。満身というか、とにかくお尻だけ痛い状態です。

ピザを注文し、持ってきたワインを開け、ようやくほっとしました。

6日目:大阪・豊中~和歌山・白浜

昨日の尻の痛みに懲りたので、ワインもかぼちゃも醤油も大阪に置いてきました。身軽になって、本日は白浜を目指します!

朝は飛行機がよく見える素敵なカフェと紹介してもらった「ヒロコーヒー」でモーニングをとり、忘れかけてた優雅さをチャージ。

急におしゃれなヒロコーヒー

無理せず高速に乗り、まっすぐに和歌山を目指しました。いわゆる大阪市内という感じのところを抜けると「ここが荒れてるという情報しか入ってこない岸和田かぁ」「これが関空かぁ」、の後は知っている地名がなくなり、交通量もどんどん少なくなり、大阪じゃなくて和歌山、という気分になります。

和歌山「大幸亭」

和歌山と言えばまぐろらしいので、検索して人気のありそうだった「大幸亭」というところを目指しました。

お店は並んではいませんでしたが、提供に1時間かかるとのこと。ここまできて後には引けないので、待ちます!

結局45分くらいで着丼しました。

大幸亭のマグロ丼

うますぎてぶっとびました。思わず店員さんに笑顔でグーサイン。ナニコレ。私が今まで食べてたまぐろって何だったの?「和歌山と言えばまぐろ」を胸に刻みました。

ASA VILLAGE

さらにバイクを走らせ、南紀白浜に到着。宿は「ASA VILLAGE」というところを予約しました。古い旅館をおしゃれに改装しながら営業しており、未完成の部分もありながらも面白い造りになっています。一階は開放的なカフェで、源泉かけ流しの温泉もあり、言うことなしです。

ASA VILLAGEのロビー兼カフェ 

元々ヨーロッパ留学中にバックパッカーの旅をよくやっていたので、本当はこういう自由な素泊まり宿が好きなんです。ただ、私のパートナーはいわゆるちゃんとしたマリオット系列みたいなホテルが好きなので、ユースホステル的なところはソロ旅の時しか味わえません。

早速洗濯物を洗濯機に入れ、ひと風呂浴び、1階でカフェオレをいただき一休み。

まだ明るいので白浜のマップをいただき、周辺を散策してみることにしました。

魅力的な路地

白良浜

和歌山県自体はじめて来ましたが、「南紀白浜」というフレーズだけは知っていました。とりあえず近くの浜辺に行ってみます。これが白い浜!まじで砂が白い!暖かいけど少し砂がひんやりして最高です。

ちょうど夕陽の時間で日が沈んでいく贅沢な時間を過ごしました。

夕陽を静かに眺める贅沢な時間

ミルク&ビアホール九十九

行きに目星を付けていたお店で夕飯です。お店の人にメニューを選んでもらって、地元のビールと一緒に味わいます。最高でした。

肉とビールで優勝

帰りのASA VILLEGEまでの道中が暗すぎてビビりましたが、無事に部屋に着きました。

7日目:和歌山・白浜~潮岬~熊野那智大社~三重・鳥羽

翌日は少し早起きし、名所を欲張って周ります。

日本最古「崎の湯」

まずやってきたのは近くの崎の湯という露天風呂。女湯は先客2名ほどでしたが湯舟が三段あり、ほかの客は全く気になりません。一番下の湯は海のしぶきがバシャバシャと押し寄せ、迫力満点でした。ここは日焼けするので少しだけにし、屋根のあるところでゆっくりしました。

お風呂から出ると、番台さん(というのか?)が写真を撮ってくれるというので、バイクと一緒に、、とお願いしたら、こっちもこっちもといろんなところで撮られました。

崎の湯

潮岬(しおのみさき)

せっかく紀伊半島の端まで来たのに潮岬をスルーするわけにはいかない。バイク乗りって宗谷岬とか足摺岬とか、突端に行きたがるものですし。

途中のコンビニで軽食を買って出てくると、若い自転車乗りのお兄さんが私のバイクのところにいました。「このバイク、どこの?」と聞かれたので「ハスクバーナっていうスウェーデンのバイクです」と答えたら、「大阪で買ったの?」と言われました。ちょっと意味が分からなくて面食らいましたが、おそらくハスクバーナのバイクを取り扱っているディーラーが少ないから大阪みたいな都会で買ったのか、という意味だと思います。和歌山の人かどうか知りませんが、東京にいるとどこで買ったかなんてお土産でしか話題にならないので新鮮でした。

潮岬は灯台のほうは登らず、ベンチでジュースを飲み、少し行ったところのジオパークにバイクを停めて歩きました。特に何があるわけではないけど、海なし県育ちにとってはとてもスカッとする景色です。

本州最南端、潮岬

熊野那智大社

是非とも寄らなければいけない場所です。那智の滝を見て、上の那智大社まで歩いて登りました。バイクブーツなので石畳が結構辛いです。

那智の滝

旅の安全を八咫烏さまに願い、ご神木と思われるクスノキをくぐりました。木の中とは思えないほど広くてびっくりしました。

熊野古道というのも見てみたかったので、帰りに大門坂にも寄り、山を下りました。

お食事処「大和」

今日もマグロ一択でランチを探しました。那智勝浦にある「大和」に14時前に入店。店内には先客が一人しかおらず、なんだか申し訳なかったですが、ここでもマグロ丼を堪能しました。昨日心に刻んだ「和歌山と言えばまぐろ」は間違ってなかった。美味しすぎてもう東京でまぐろ食べたくない。

マグロ丼、再び

あとはもう本日の宿、鳥羽を目指すのみです。

道の駅「みかんパーク七里御浜」

ひたすら紀伊半島の東側を北上していくだけですが、右側に見える海がすがすがしくて気持ちがいい道です。途中の道の駅で休憩することにしました。

海を眺めるバイク、かっこいい

立ち寄った道の駅は「年中みかんのとれる町」とありました。和歌山県がこんなに暖かいなんて知りませんでした。いろいろな種類のみかんジュースがあり、「せとか」という品種のジュースを飲みましたが、これも美味しすぎてぶっとびました。持って帰りたいけど重い。気持ちのいいバイク旅の代償は、大きなお土産は無理、ということ。諦めました。

道沿いには「日本最古の神社 花の窟神社」や「ライオン岩」など、景勝地もありながら、みかんの無人販売もちらほらあり、ジブリの主人公張りに浮かれて走りました。

ロードイン鳥羽

夕暮れ時にたどり着いた今夜の宿です。ただのビジネスホテルですが、体を休めるだけなので清潔で快適なら文句なしです。レストランに行こうと思うと再びバイクに乗らなくてはいけないので、隣のローソンでお弁当とビールを買い、部屋で晩酌しました。もう運転しなくていいこの時間が最高です。

8日目:三重・鳥羽~東京

ここまで天気に恵まれていましたが、天気予報を見ると明日から雨。静岡のあたりに寄りたいところがいくつかあり、もう1-2泊したかったのですが、雨の中のバイクはただの拷問なのでまっすぐ東京へ帰ることにします。

伊勢湾フェリー

鳥羽からぐるっと伊勢湾をまわり名古屋から帰ると遠回りになるので、朝一のフェリーで鳥羽から渥美半島へと渡る作戦です。予約ができないので早起きしてフェリー乗り場へ行きました。

伊勢湾フェリー

あまりお客さんもおらず、バイクも私含めて3台だけだったので余裕でした。乗船を待つ間、真珠のネックレスを買ってしまいました。3000円ほどでしたが、一人でバイクに乗っているだけの日々を過ごしている私には、おしゃれ心や社交の場をつなぎとめてくれるラッキーチャームのように感じます。

真珠のネックレス購入

船内は伊勢湾の島の案内が流れており、席も自由で寝ている人がいたりボックス席やシアター席にパラパラと人がいる程度でのんびりした雰囲気でした。かまぼこ棒を売店で購入して朝ごはんの代わりにしました。

渥美半島

ここまでの道中、一人なので道路状況とガソリンの減り具合のことだけ考え、ひたすら頭が無の状態だったのですが、フェリー下船後、渥美半島の海沿いを走っているとき一人カラオケをはじめました。といっても歌謡曲に明るくないので、「赤とんぼ」とか「夏の思い出」とか、童謡・唱歌をあいまいな歌詞で好きなように歌いました。そのうち飽きてきたのでYOASOBIの「アイドル」を歌い始め、自分の音痴具合に萎えて終わりました。この「アイドルで自分の音痴っぷりに耐えられなくて終わる一人カラオケ」をやったことあるのは私だけじゃないはず・・

クシタニ清水店

豊川から高速にのり、東京を目指します。途中で何度かPAに寄りますが、どうも同じペースで進むバイク乗りが何人かいるようで、あ、このバイクさっきも見たなということが駐車場でしょっちゅう起こります。

新東名の清水PAにあるクシタニショップへ寄ったときも何台かいました。ここでバイクのグローブを新調しました。持っていた夏用グローブはいつの間にかボロボロで、この旅の途中で穴が開いていたんです。新しいグローブは若干硬くて運転しづらいです。

穴あきグローブ、今までありがとう

高速に乗ると本当にあっという間に東京まで帰ってこれました。三重県くらいまでなら1日で行けるんだなぁ。

バイク旅最高です

一人旅が好きな方はバイク旅、とてもおすすめです。山道でエンストしたり事故るかもという不安はありますが、バイク保険に入り、簡単な工具と替えの部品(とくに私のバイクは輸入車なのでブレーキなどの部品は通常のバイク店にはないためスペアがあると安心)を持っておけば多分大丈夫です。

風を感じると「ここにいる!」という実感が湧き、車では味わえない旅の臨場感があります。

道中はGoogle mapの音声とバイクのエンジン音が友達です。3人で旅している気分になります。(ナビのお姉さんとバイクと私)

無事に出産と海外勤務を終えて日本に戻ることがあれば、また新しい相棒を迎えて旅に出たいです。

#忘れられない旅

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