なぜブランドコンセプトが侘び寂びの美意識なのか
ブランドコンセプトの侘び寂びについて
なぜブランドコンセプトに【侘び寂びの美意識と時代を超えるものづくり】を取り入れたかについて振り返る
ブランドを立ち上げるにあたり原点に立ち返る事が必要だと感じていた。
自分は何が心の底から美しいと感じ、どういったものに心を動かされるのか…
頭の中で考えていても答えは出ないので母校の文化服装学院の図書館に向かった。
ここから一ヶ月間毎日図書館に籠る日々が続く。
先ずは、自分が学生時代から好きだったサイケデリック、ヒッピー、モッズ等カウンターカルチャーについての本や写真集を片っ端から調べた。
調べていく中で服をデザインする上で自分が好きな音楽、カルチャーの要素は必要になるなと改めて実感した。
ただ、ブランドの軸にするにしては何か物足りなさを感じていた。昔の自分と今の自分の好みが変化しているからだ。
学生時代は古着やヴィンテージが好きで、アメカジやヒッピーみたいな格好をしていた。
しかし、今の自分はどちらかというとモードに近い服装。
普遍的なものが無いとブランドとして成立しない。どうしたものか。
いずれ海外にいきたいとは思っていたので、とりあえず日本の文化について調べておかなければという事で、着物、ボロ、金継ぎ、漆器、伝統工芸等様々な資料を読み漁った。
その中で出会ったのが十文字美信さんの「わび」という写真集。
経年劣化で生地破れて中綿が飛び出ている椅子、歪んだ器、落書きされては何度も塗り直した壁…
一般的に言うと決して美しいとは言えないものだけど、時の流れから来る経年劣化が唯一無二の色や風合いになる
「あっ、これ好きだ!」と直感的に感じた。
自分が好きな服は完璧に計算されて作られた物より、何処か野暮ったさを感じたり、経年劣化で独特の風合いが生まれている物。
教会よりも神社や寺が好き。
洋室よりも畳が好き。
自分が本当に好きな物には侘び寂びの美意識が含まれている。
この美意識を基に自分のルーツでもある音楽やカルチャーを組み合わせて唯一無二の世界観を作っていきたいと。
いずれは海外で勝負していきたいので自分が何者であるかの証明は必要になる。
そんな想いでブランドコンセプトを侘び寂びの美意識を通じて時代を超越するものを作るにしたのです