人事の業務経験は必須?ベンチャー企業で人事を採用するための「虎の巻」
「売り手市場でエンジニア採用力を上げていきたいので、まずは採用担当を採用したい。」「組織の急拡大に耐えられるよう、制度に秀でた人事を採用したい。」
上記のようなニーズをお持ちの企業様は多いのではないでしょうか。
ですが、売り手市場であるがゆえ、「優秀な方を採用するための人事を採用」することが非常に難しくなっていると感じています。※ややこしくてすみません。
そこで今回は、ベンチャー企業の人事の採用に必要な前提情報や施策、手法について本noteで説明します。ゼロから採用を始める方にも、本noteを読んで全体感を理解していただければと思います。
1. 人事の採用を進める前に把握しておいたほうが良いこと
人事を採用するための手法を公開する前に、よりスムーズに採用活動を進めるために事前に把握した方が良いことをお伝えします。
1-1. 人事にお任せしたい業務範囲が明瞭になっているか?
まずは、業務範囲についてです。
「人事担当」とひとえに言っても、業務内容は幅広いです。実際に各企業ではどのような業務内容を求人票に記載しているかを10社ほど取りまとめましたので、下記をご覧ください。
上記のように、人事の業務内容は多岐に渡りますが、言わずもがな1人目の人事を採用するのか、3人目の人事を採用するかによって求人票に記載するべき業務内容は異なります。
また、ベンチャー企業だと社内のリソースが足りていないという背景から、正社員に任せたい業務と外部に委託したい業務があると思いますので、その観点を考慮しながら人事にどこまでの業務内容を求めたいかは先に社内でディスカッションしておくことをおすすめします。
より人事の業務内容をイメージしていただくため、採用活動の流れに関するスライドを下記に貼りました。
採用活動は上流(採用戦略)から下流(面談・面接や組織について)まで一連の動きになっているので、上記のスライドを参考にしながら、お任せしたい業務範囲を明瞭にしていただければと思います。
1-2. 人事の必須要件をどこまで求めるか?
続いて、必須要件をどこまで求めるか?についてです。
「必須要件をどこまで求めるか?って、RA/CA or 人事経験が3年くらいあれば良いのでは?」と思っていらっしゃる方も多いかもしれません。
ただ、業務内容同様、実際に各企業ではどのような必須要件を求人票に記載しているかを10社ほど取りまとめたところ、意外な結果がわかりました。
それがこちら👇
何が意外だったかというと、人事経験を必須にしていない企業が複数存在したことです。
人事経験の代わりに、地頭やビジネスでの課題解決経験を求められているようでした。つまり、「人事経験がある=即戦力」として捉えているわけではなく、「ビジネスでの何かしらの成功体験を持っている=即戦力(キャッチアップが早い)」と捉えている方も一定数いらっしゃるということです。
ちなみに、こちらの記事でも、「スタートアップの一人目人事として採用を勧めたいのは、未経験ながらビジネススキルの高い人事ジュニアタイプ」と記載されていました。(前提として、人事の責任者経験を持つ人を採用することは簡単ではないのも一つの理由ですが)もちろん、人事が未経験だと最初に人事ノウハウをレクチャーする必要が出てきますが、ノウハウのキャッチアップは早くできる前提のため、そこまで問題にはならないかと思います。
整理すると、人事を採用したいとなった際に、「では、人事経験は必須ですね!」となるのではなく、一度、本当に人事経験は必須なのだろうか?と考え、どのような人材を採用したいのかを定義した上で、必須要件の設定をしていただけるとスムーズな採用活動につながりますので、ご参考頂ければ幸いです。
2. 人事の採用の全施策をまとめてみる
さあ、ここからが本題です。一体、人事の採用において取り組むべき施策・取り組んだほうが良い施策はいくつあるのか。まずは人事の採用において出来ることを項目別で洗い出してみました。
それがこちら👇
これをレベル別にまとめてみると・・・👇
レベル5に近づけば近づくほど人事に採用において「強者(レベル高)」になるイメージです。(個人的な所感ですが、レベル5まで到達している企業はほとんどないかと思います。)
採用ターゲットによりますが、人事の場合、レベル4〜5を行うまでもなく、うまくいけばレベル2〜3の項目を網羅していただくだけでも採用につながることが多いと感じています。一方、エンジニア等の有効求人倍率が高い職種はレベル4〜5まで行う必要が出てくる場合も多いです。
3. 人事の魅力設計
ここまで人事の採用の大枠について、触れてきました。大枠がわかっても、具体的な採用戦術や手法を理解しなければ、採用成功は難しいです。ということで、採用成功の鍵を握る魅力設計についてお伝えします。
魅力設計をする際に重要なことは、「ターゲットから逆算したインサイト/メッセージング設計」です。インサイトとメッセージングとは何かを下記にて紹介します。(詳細を知りたい方はこちらのブログをご覧ください。)
それでは詳細を見ていきましょう。
3-1. 魅力設計例①
まずは中規模〜大手企業に在籍している人事に訴求する魅力設計例をお伝えします。イメージとしては、人事グループやチームがあり、3〜5名程度メンバーがいる規模感です。
3〜5名ほど人事が在籍していると(ビジネス職採用/エンジニア職採用/制度企画/教育)などが分業されているケースがほとんどです。
また、経営陣と直接のコミュニケーションを取る機会も減っていく傾向があります。
そのため上記のように、現在の組織で比較的賄えていること、緊急で困っていることを赤裸々に書き出すのも方法としておすすめです。
3-2. 魅力設計例②
続いて、アーリーフェーズに所属している、一人人事に訴求する魅力設計例です。
一人人事は孤独である。と当社のお客様からいただくことも少なくありません。会社によってはHRへ無関心な方が多く、全社的に巻き込み辛いことも多いです。
そのため上記のように「ここまではリファラルを中心に仲間を増やしてきた≒採用に協力的」「現場のメンバーを巻き込みながら採用を推進≒人事だけで採用をやっていかないことが前提」というような訴求が効果的ではないかと考えています。
3-3. 魅力設計例③
最後に、人事経験は無い、RA(Recruiting Advisor)経験者へ向けた魅力設計例です。
「人材紹介はマラソンである」と当社代表の山根はよく言っています。悪い意味ではなく、継続することが何よりも大事な仕事なのかと思います。
そのため、今は業務が楽しくやりがいがあるが、この先を考えるとどうだろうか?という点で不安を感じられている方も多いのではと思います。
一方、自分たちの環境はその真逆である。ということが伝えられれば、魅力に感じていただけるのでは無いかと思います。
4. 人事の採用の落とし穴
最後に、人事の採用における落とし穴を紹介しますので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。
4-1. 採用・制度・育成など、全領域の経験者に固執し、採用に至らない
一つ目は「 採用・制度・育成など、全領域の経験者に固執し、採用に至らない」という点です。
大項目1でもお伝えいたしましたが、人事の業務は多岐に渡ります。
もちろん、近しいフェーズで事業会社の人事をご経験されている方が第一優先かと思いますが、売り手市場においてはそこに固執してしまうと採用が難しくなります。
アーリーフェーズの企業様であれば1人人事で全領域を見ていらっしゃることもあるかと思いますが、一定以上の規模感になると複数人で分担するケースがほとんどかと思います。
そのため、セールスやエンジニアなど、他職種と比較をすると「全領域の経験者」の絶対数が少ないのです。
特に一人目人事を募集するのであれば幅広い領域での即戦力を期待したいところですが、「今絶対に必要なスキル」と「走りながら身につけていただければ問題無いスキル」、そして「一定期間であれば外注できるスキル」などを整理し、優先順位をつけた上で採用活動がスタートできると良いかと思います。
また、「エンジニア採用のスキル」に固執し、採用に至らないというケースもあります。特にWeb系エンジニアの採用ノウハウが確立されはじめてから日が浅く、エキスパートは市場に多くはありません。
そのため、「ビジネスサイドの採用経験者に入社後キャッチアップしていただく」「エンジニア経験者を採用し、人事のスキルを入社後キャッチアップしていただく」など広い選択肢をご検討いただけると良いかと思います。
4-2. 代表の思想に共感できず、採用に至らない
人事と会社の代表は大きく関わります。そのため代表の思想に共感できず、なかなか採用できないケースがあります。下記にて詳細を説明します。
人事は当然のことながら「ヒト・モノ・カネ」の「ヒト」を司ります。
ベンチャーに限らずではありますが、社員数が少ないほど、経営の関心ごととして「ヒト」が上がりやすいです。経営陣と週次で採用計画や戦略をディスカッションすることも多いでしょう。
また、MVVCの達成や事業計画の達成から逆算をした時に「理想の組織コンセプトやペルソナ像」が代表の頭の中にあることも多いです。代表と人事が入社時にそれらを共有できるかは大きな鍵になります。
そこで思想に共感できなければ、採用に至らないということです。この点は忘れてはならないポイントであり、重要なポイントであるため、2つ目の落とし穴として記載しました。
4-3. 経験しているフェーズを採用基準に含め、採用に至らない
最後に1点目と矛盾するようですが「経験しているフェーズを採用基準に含めない」ことも落とし穴になりえます。
特に人事において「0→1 / 1→10 / 10→100」それぞれで求められる素養は大きく異なります。例えるなら「更地にスピード感を持って小さな一軒家を建てるのか」「一軒家をビルにするのか」「ビルが老朽化しないように維持しつつリノベーションをするのか」のような違いでしょうか。
こちらも同じく全てのフェーズを等しく経験されている方はほぼいらっしゃいません。そのため、「今はどんなフェーズなのか」「次はどのフェーズを迎えるのか」を把握した上で、最適なフェーズの経験者を採用できるように動いていきましょう。
5. 最後に
いかがでしたしょうか。
ここまでベンチャー企業の人事の採用に必要な前提情報や魅力設計、採用手法に触れてきました。人事の採用をこれから始めようとしている方や、悩んでいる方に読んでいただけましたら幸いです。
長文でしたが、最後までご覧いただき、ありがとうございました!
🔽 その他職種の採用の教科書 (参考までにご覧ください。)
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