<Vol.95>「変えたいから変わる」〜時代を読んで先手を打つお店の話〜

いつもお世話になっている美容室の「営業時間」が変更となりました。

・火〜金=10:00~19:00(変わらず)
・土日祝=9:00~19:00(変わらず)
・月=10:00~17:00(*2時間の営業をカット)
・第2/4火曜は定休日(*月2で定休日を設定)

この変更は非常によく考えられていて、オーナーさんの手腕を感じました。

今日はこのことを深掘りしてみようと思います。


<サービス業の課題>

美容室やリラクゼーション、フィットネスクラブといったサービス業は、基本的にユーザーの直接利用に基づく業種です。

特に美容室やリラクゼーションは「労働集約型」とも呼ばれる対時間ビジネスです。

時間とスタッフ数の掛け算によって売上が決まってくるため、スタッフ数の減少・営業時間の短縮は売上低下に直結してしまいます。

そのため、たいていの店舗は売上確保のために、

・営業時間を長くしたり
・営業日数を増やしたり
・スタッフ数を多くしたり

して、なるべく機会損失が出ないように幅を広げる選択肢をとってしまいがちです。

しかしながら、こういった営業方針は現場スタッフの疲弊を招き、結果として離職率を高めてしまう要因になりかねません。


<現状の問題から時代の先を読む>

そこで紹介したいのが前述した美容室のオーナーです。

現在はまだ37歳とお若いのですが、その若さゆえに柔軟性があります。

そもそも美容業界には、根強くはびこる様々な問題点があるそうです。

・営業時間が長い割に分業が進んでいない(オープン-ラストのスタッフが多い)
・新人スタッフは営業時間終了後から個人練習がスタートする
・店舗に配属されてもサポート業務ばかりで、実際に髪を切れない
・集客のために延々とチラシ配りを行う文化がある
・年末年始も休めない

ご自身が経験して違和感を感じた部分をオーナーとして、1つ1つ改革を起こしたそうです。

その1つが「営業時間の短縮」です。

慢性的に残業時間が増えてしまうのであれば、早番や遅番という考え方をなくして全員が1本の時間帯で動けるようにしたとのことでした。

平日は10:00~19:00の1本シフトにし、土日は朝のお客様が多いので9:00~19:00に設定(全員同シフト)。

土日連続で働いたスタッフは2時間分の残業時間が生じてしまうので、月曜をその分短縮して10:00~17:00とする、、

という方針に大きく切り替えたそうです(火〜金までの間で交代休)。

結果として勤務時間の管理も円滑になり、スタッフのモチベーションも向上したと仰っていました。

さらにすごいのは、第2・4火曜日を店舗休業とし、店舗内研修を実施しているとのことでした。

ここでは先輩スタッフと新人スタッフがペアになって練習をしたり、よりお客様を喜ばせるためのMTGを実施したりしているそうです。

内側を固めるための時間をしっかりと確保しているので、結果として

「営業時間は短くなっているが売上は上がっている(残業も減っているので利益も上がっている)」

とのことでした。

もちろんチラシ配りはやめてネット集客1本に絞り、サービス業では珍しい夏休みや冬休み、年末年始休みも確保しています。

すごいですよね。

業界に蔓延していた固定概念を1つ1つ壊していくことで優秀なスタッフが集まり(なおかつ辞めない環境)、今では3店舗のオーナーとして日々活躍されています。


<変えたいから変わる>

このオーナーは常々、

「これからの社会は人材確保が一番の課題、だからこそ魅力的な制度設計の確立が最優先事項なんだ」

と仰っています。

この柔軟な思考からは、僕たちが学ぶべきことがたくさんあります。

これから先、人材確保が難しくなるにつれて多くのお店が営業時間の短縮や集客方法の改善、新人スタッフの受け入れ等に変化をもたらすことでしょう。

しかし、その時になってから動き出しては遅いです。

「変えたい」という思いから生まれる変化と「変えなければならない」という思いから生まれる変化には雲泥の差があります。

そしてどちらが魅力的に見えるか・どちらの店舗で働きたいか、も言わずもがなだと思います。

サービス業はこうあるべき、自分も若い時にこんな苦労をしたから今のスタッフも同じ様に頑張るべき、という思考は早々に捨て去りましょう。

時代を読んで先手を打つ店舗こそが生き残る時代です。

ぜひ参考にしてみてください^^

ここから先は

29字

*一度購読すれば過去記事も含め全記事をご覧いただけます。 『ランチ1食分の自己投資』と思ってぜひご活用ください。

セラピスト特化型の人気コラムです。普段セラピストを教育する立場にある筆者が、セラピストとして大切なことをギュギュッとまとめてお届けします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?