<Vol.31>セラピストが行う”ボディケア”の歴史〜マッサージと言ってはいけない理由〜

「手を使い、他者の体をほぐす」

普段、僕たちセラピストが何気なく行っている”身体をほぐす行為”には、とても深い歴史があります。

古くは古代エジプトの壁画の中に↓

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一説では、ピラミッド建造で石を運ぶ作業員をほぐしていたとかいないとか…。

5GやらAI化やら世の中はどんどん変わっていきますが、体をほぐす行為自体はきっと未来にもおいても変わらず受け継がれていく気がします。

今回は近現代の日本に注目して、ボディケアの歴史をまとめてみようと思います。


<按摩の話>

現在、日本のセラピストが行っている「ボディケア」の原点は『按摩(あんま)』という行為にあります。

按摩の”按:あん”は「押さえる」「圧する」という意味があり、”摩:ま”は「さする」「なでる」という意味があります。

古くは中国で生まれた手技療法の1つであり、衣服の上から遠心性(中心から末端に向かって)に施術を行うことが基本です。

*ちなみによく耳にする「マッサージ」の起源は西洋であり、原則としては肌に対して直接触れ求心性(末端から中心に向かって)に施術を行っていきます。つまり按摩とマッサージは正反対の概念を持つ行為なんですね。

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話は「江戸」時代へと飛びます。

1700年後期から1800年にかけて、按摩は多くの先人によって体系化づけられて世に広まりました。

視力を必要としない盲人の職業として発展し、町には多くの”あんまさん”がいたそうです。

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続いて話は「昭和」の時代へと飛んでいきます。

戦争が終わり、日本国をGHQが統治していた頃、

「按摩、鍼灸は非科学的であり、不潔な行為である」

として、禁止をされた時代がありました。

どこからどこまでがセーフで、どこからがアウトなのか…?

その線引きを行うためのルール作りが着手されました。


<国家資格のスタート>

そうして身体をほぐすという行為には、国の定めるルールができました。

1947年には

「あん摩マツサージ師、はり師、きゆう師、柔道整復師等に関する法律」

が成立し、免許制度がスタートされました。

1964年に「指圧」が追加、1970年には「柔道整復師」が独立資格となったために排除、そして1988年から現在の

「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」

がスタートしています。

これは業務独占の国家資格であるため、この資格を持たない人が按摩やマッサージ行為をすることは許されません。

「マッサージをしますね」「当店はマッサージ店です」という表現は、国家資格を有したこれらの人しか謳うことは許されていないんですね。

ただし。

ここが非常にグレーゾーンでもあるのですが、、

按摩やマッサージにおける手技の定義は、未だに法的に明文化されていません。

また日本には「職業選択の自由」があるため、

「患者に対して明らかな害のある行為だと立証されない限り、その行為自体は法的に禁止できない」

という最高裁の判例も存在しています。

それによって、現在では国家資格を有していない各種民間療法も(手技自体は)禁止対象となっていないわけです。

要するに、、

資格を持っていない人が「按摩をやります」「マッサージができます」と発言することはNGですが、

行為を行うことだけであれば問題ないと言わざるをえない…という現状があるということです。

ちなみにこの行為において、厚生労働省の見解は以下の通りとなっています↓↓

『施術者の体重をかけて対象者が痛みを感じるほどの相当程度の強さをもって行うなど、あん摩マッサージ指圧師が行わなければ、人体に危害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある行為については、同条のあん摩マッサージ指圧に該当するので、無資格者がこれを業として行っている場合には、厳正な対応を行う』

…ちょっと複雑な表現ですよね。。

つまり、

「”体重をかけて痛みが伴う強さ”での行為は、有資格者でなければやってはいけませんよ」
(=痛みが伴なわない範囲であれば、民間療法も問題ありませんよ)

ということです。


<セラピストが守るべきルール>

したがってセラピストが守らなければならないルールは、大きく分けると2つあります。

①マッサージという言葉を使用してはならない(口頭、記載、広告含め)
②痛みの伴う強さで施術を行ってはならない

ボディケアはあくまで”サービス業”の範疇であり、医療ではないということです。

「より快適に過ごす」「健康を維持増進する」という目的での使用は問題ありませんが「治す」という目的はNGです。

皆さんのお店は、このルールをきちんと守れていますか?

ぜひ今一度確認してみてくださいね^^

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