<Vol.69>自分のスキルに値段をつけているか
『この優しさは時に罪だなあ。。』
そんなことを思う瞬間があります。
60分の施術の中で「〇〇をやってもらえる?あと△も」と言われた時に「はい、わかりました」と受け入れてしまうセラピストさん。
ちょっと待って!あなたのそのスキル、ちゃんと値段をつけて!
お節介かもしれないですが、そう言いたくなってしまいます。
今日はそんなお話です。
<トレードオフの関係性>
例えば、ラーメン屋さんに行ったとき。
とんこつラーメンを注文したとします。
その際に「ちょっと煮卵も食べたい気分なんだよねぇ」と言ったらマスターが「はいよ」と手渡してくれる。。
「チャーシューももっと分厚くしてほしいなぁ」と言ったらマスターが「はいよ」ともう一枚くれる。。
そんなことはない…ですよね?
基本となるメニューがあって、もしそこに好みでトッピングしたければ、追加料金を支払ってカスタマイズする必要があります。
仕事である以上、商品と代金は常にトレードオフ(等価交換)の関係性なので、これはあたりまえの話です。
しかし、これが「手技の世界」になると、そうはいかなくなってしまうことがあります。
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手技というのは、いわば無形のものなので「定義付け」が難しいです。
要するに、セラピストの裁量次第で調整が簡単にできてしまいます。
だからこそ、メニュー体系は”部位”や”体勢”などで(事前に)きちんと差別化しておく必要があります。
「ちょっと頭もやってよ」と言われたら「わかりました」ですぐにやってあげるのではなく「そこはオプションの〜コースがあるんですよ」と伝える。。
「お腹もほぐされていたいなぁ」となったら「もう少し追加でお時間をいただければ対応できますよ」と伝える。。
これは出し惜しみやケチではなく(もちろんセラピストの冷たさでもなく)、仕事において必要な差別化であり体系化の1つです。
お客様を満足させよう!という意識はもちろん大切ですし、与えられた時間の中で完結させよう!というプロ意識も素晴らしいことです。
ただその意識と自分がもっているスキルの安売りとは、イコールであってはなりません。
<スキルと収入>
スキルというのは、原則として不可逆的なものです(徐々に上手くなっていき、急に下手になることはない)。
だからこそ、キャリアを重ねるほどにできることは増えていき、お客様のニーズにはより応えられるようになっていきます。
しかしながら、これが本当に難しいところで「できるようになる=やってあげる」のループにハマってしまうと、自分の能力は高まっているのにそれに見合う収入を得ることができない…というジレンマに陥ってしまいます。
それによって、不安や不満を感じているセラピストも(実は)多いのではないでしょうか…?
提供する価値が高まっているのであれば、恐れることなく施術単価は上げていきましょう。
新人の頃と今とでは、置かれている環境そのものも違うはず。
にもかかわらず、サービス提供価格が全く同じであったとしたら、その部分に疑問を感じなければいけません。
割引なんていらないですし、スキルに応じたオプションやコース設定はきちんと導入したほうがいいです(そもそも割引なんてものはお客様のためという仮面をかぶった、セラピスト自身の劣等感の体現であることに気づいたほうがいいです)。
時にシビアに”線引き”を行うことが、自分とお店を守ることにつながります。
60分の施術で10,000円をいただくにはどんなサービスを提供すべきか、をとことん考えてみましょう。
すべての話はそこからです。
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