ナンバMG5の伍代くんの軌跡 吟子入学~広島編
前回の記事はこちら!
どうも、太刀川です。前回の記事に引き続き、今日も伍代くんの軌跡について語っていこうと思います。
前回の記事を書いた後に気がついたんですが、伍代くんって作中で凄い面白いポジションに居るんですよね。伍代くんヒロイン説なんてのもありますが、少女漫画的に考えると、むしろヒロインは剛のほうかもしれません。
元気なヒロインに影響されて、文句をいいつつも段々と心をひらいていくイケメン……って考えると、完全にその文脈ですからね。まあ、距離の詰め方がバグってるとしか思えないんですが。(順序がおかしくない!?)
それはさておきーの、早速デッドエンド編での伍代くんの軌跡を見ていきましょう。あっ!本題に入る前に言っておきますが、この記事はネタバレありなので、ぜひ原作を読んでからにしていただきたいと思います。そっちのほうが生の伍代くんをダイレクトで感じられて良いですぞ!
なお、この記事はドラマ版の広島編を見てから書かれています。この記事はドラマの広島編を見てからアップロードしたんですが、ちょうど一週間TVerで見られるそうなので、こちらもぜひ。
吟子入学編~最上級生になった伍代~
デッドエンドに入ってから、すぐに剛達は三年生に進級します。三年になった伍代くんは、名実ともに市松のアタマになっています。めんどくせぇが口癖の伍代くんですが、後輩の面倒見は良いらしく(知ってた)
後輩にジュースを奢ってあげたりしています。ここででてくるキャラは、原作にいるキャラクター、駿河鉄人といいます。彼はもともと剛にあこがれていた剛の強火ファンですが、伍代ともわりかし関係はいい感じ。というか、関係が良すぎて、クールな一匹狼みたいなキャラはどこいった?って感じです。ただの世話焼き兄貴じゃん……。
それはさておき、デッドエンド序盤の山場は、何と言っても吟子の入学です。剛が生徒会長になった白百合に、なんと妹の吟子が入ってくる!このピンチに伍代くんは剛のために色々と動いてくれます。
ここの、剛の正体がバレないように、吟子や牧野の追求を交わしつつ右往左往する献身的なシーンはドラマで見るとめちゃくちゃ面白いので、ぜひ確認して欲しいんですが、真面目な顔も見せて
これは、牧野の態度から何かを察知したときの伍代くんです。ちょっとした違いから、状況が変わったことを見抜く勘の良さ。彼一人でこの作品の平均IQを大きく上げています。マジで伍代くん抜けたら話が成り立ちませんね。残り大丸と鉄だし。
剛の二重生活を知ってしまい、混乱する吟子に真実を告げる伍代。なんでお前、妹より剛に詳しいの???いや、詳しいんだけどさ……。
なんだかんだで(ここらへんはドラマとか原作を見てくれ!)、吟子は兄の違った一面を受け入れ、無事にこの話は終わるんですが、この次に来る広島編がまたアツい!!ということで見ていきましょう。
広島編~伍代と大丸の友情~
さて、問題の広島編です。このシリーズは本当に伍代と大丸のコンビがマジでいいんですね。両者ともにキャラを立てて、そこに剛が絡んでくる。特に、修学旅行の楽しい高校生活のパートと、借金を背負わされて働かされる女の子という暗いパートが交互に来る構成といい、非常に出来の良いパートです。
発端は、大丸の恋バナから。ふとしたことから大丸が中学時代の切ない恋の思い出を話します。それを聞いた五代くん
見て下さい。この満足そうな顔。なんだかんだで大丸のことも結構気に入ってるんですよね伍代くん。その後「あーだからお前藤田さんにチョッカイかけてたのか」「チョッカイとか言うな!」などという大丸と剛のやり取りを聞きながらなんとも言えない表情を浮かべます。
休日のお父さんか? なんだ、この子供の成長を喜んでいるような顔はよ!お前ら……大好きだぜ……みたいなオーラをさらっと描かれたコマで滲み出すのマジで面白すぎるんですよね。
さて、そんな話をしていた矢先、大丸は偶然、先程の切ない恋物語の相手であった水野友美と再開します。しかし、水野は事情があるようで夜の店で働いている様子……。大丸は水野のために店に乗り込もうとします。
伍代もついてきてくれます。いい人すぎるだろ。
友達の恋を応援するのは分かるんですが、一緒にキャバクラについてきてくれたりするのはレベルが違う。てか君、初期はめんどくせぇな……みたいなキャラじゃなかった?
そんなに大丸のこと好きになったのか。伍代トラマン。
このあと、手持ちの現金が3500円しかない大丸に向ける「マジか……」って表情も必見ですのでぜひ単行本で確認してみて下さい。
ちなみに伍代くん、大丸にこういう店に来たことあるのか?と聞かれるとドヤ顔でこう答えます。
ゲームかよ!!!
なんか、イケてる感じだしてたけど、駄目っぽいぞ!!!やはり伍代くん、おもしれーやつです。
このお店での大丸の立ち回りは、めっちゃかっこいいんですよね。ここで引用した大丸の指摘通り、未成年を働かせる店はブラックもブラックです。つーか犯罪です。皆さんも現実世界でこういう店を見つけた時はしっかり対処しましょう。容赦はいらないぞ!!
伍代くんDV被害者説
そんなこんなで、店のゴロツキとバトルになり、なんとか水野を店から連れ出すことに成功した二人、水野の身の上話を聞きます。
母親の再婚で九州に行ったこと、再婚相手がクズで、酒を飲むと家族に暴力を振るうこと。そこから逃げ出すも、悪い人間に騙され借金を背負ってしまったこと……。
この話を聞いた時、伍代くんはマジな顔になります。この顔、今回記事を書いていて気がついたんですが、何か過去にあったのかもしれません。もしかして、伍代くんの両親の離婚の原因って……
……いや、確証はないんですよ。このシーンのこのセリフだけなので。おまけにこのシーン自体は、伍代くんがかなり酔っ払って(キャバクラで怪しまれないように水割りを頼んだら酔ってしまった)醜態を晒したシーンの直後なので、「お前が言うな!!」みたいなツッコミ待ちのシーンではあるんですが……それにしてもギャグで流すには顔がマジすぎる。
あくまでも仮定の話なので、本当の所は作者である小沢としお先生の頭の中にかないとは思うんですが、「伍代DV被害者説」を採用すると、色々と辻褄が合うことが多すぎる。
例えば、伍代くんの暴力性。殴られて育った子供はそれが当たり前なので、他人に対しても暴力を振るうようになる。という話があります。もし、伍代くんの離婚した父親が酒によって母と伍代くんに暴力を振るっていたとしたら……それに立ち向かうために強くなりたいと思っていたとしたら……。なんとなくですが、伍代くんの異常な強さにも理由があるように思えるんですよね。
母親も酒癖は悪いですけど、伍代くんも酒癖はめちゃくちゃ悪い。これが父親譲りだとすると……。
更にヨコハマ編での一幕。自分をヨコハマに連れて行って欲しい。と頼む剛に対して、最初は渋っていた伍代くんですが、「頼むよ…女がブン殴られるのなんて、オレ、見たくねーんだ!」
という剛の真剣な訴えを聞いた後、
こんな顔で協力してくれるんですが、この表情にも意味が通ってしまう。
それから、レディース魔苦須のメンバーが殴られている現場に駆けつけた時も
このように怒りを顕にしています。最初は騎士道的な精神なのかなとか思ってましたが、伍代くんの中で、母親が殴られていた姿がトラウマになっていると全部辻褄が合うんですね。
以上の話は考察でもないし、勝手な想像です。しかし、つい伍代くんの幼少期を想像したくなってしまうんですよね……。父親はある程度の資産家のエリートで、慰謝料がそれなりに入ったので、母親はそれを元手に料理研究家を始めて……みたいな流れをつい想像してしまいます。
引率、伍代くん
話がだいぶ飛びました。戻りましょう。大丸の想い人、水野の話を聞いた五代くんは、すごく真っ当なアドバイスをしてくれます。
この漫画でこういうアドバイスできるやつ、貴重なんですよね。猛とか、難波家の両親は無理だろうし(多分暴力で解決する)なんなら剛もちょっと危ない。伍代、お前が居て本当によかったよ……お前が居なかったらこの漫画どうなっちまうんだ???まあ、そんなアドバイスも、相手が西日本最強の高校生であるということが発覚し結局無駄に。警察に相談しても刑務所から
すぐに出てきてしまうとのこと。
んで、大丸が「オレが…広島に行ってそいつとナシつけてやるよ…」と宣言した時の伍代がですね、
これがね、もうこの顔がね。これが伍代ですよ。好きな子の為に行動する大丸を見てのこの表情。「大丸、おめーはそういうやつだと思ってたぜ!」とでも言いたげな満足げな表情がね。セリフ一切ないのに分かるからすごいですよ。後方彼氏面か??
ちなみにドラマでもちゃんとこんな感じの顔してくれるので嬉しかったですね。(確認してみて下さい)
んで、広島までついてきてくれます。凄いなお前。大丸推しになってしまったことは分かるんですが、ここまでしてくれるのか。あと旅費も伍代が出してくれています(あとで返せよとは言っているものの)。人が良すぎる。
クラブでのタイマン
その後、二人は広島で水野に借金を負わせた、西日本最強の高校生、安藤鋼一と対決します。「ワシが買ったら借金を帳消しにしてやってもええで!」の条件に乗り、タイマンする大丸に向かってこの表情。
頑張れ!大丸!!でも口に出さないで心のなかでつぶやいて後方彼氏面するのが伍代流。しかし、大丸は卑怯な手によって破れ、約束も反故にされます。
当然キレる。人数差なんて気にしねぇ!大丸をコケにしたお前だけは許さねぇ!伍代くん、最高にアツい男です。
しかし、戦力差は大きく、チンピラに阻まれて伍代の拳は届かない。「明日夜9時に広島城に来いや。そこで殺したる」と言い渡されます。ドラマだとここは広島城でなくクラブのままでした。広島城、撮影許可下りなかったんでしょうね……。
踏みつけられる子どもたち
ボロボロになった大丸を病院につれていった伍代くん。大丸のダメージはめちゃくちゃデカい。ボロボロの状態で大丸はつぶやきます。
「オレさ…水野の口から人の悪口 聞いたことねーんだよな… どんなダメな奴でも アイツはバカにしなかったし つーかむしろ バカをかばって先公と喧嘩するよーなやさしい奴なんだ…」「あんないい奴が…」
このシーンは凄い好きなんです。ボロボロの姿のまま淡々と語る大丸の痛ましい姿が。そして、世の中の不条理に憤る大丸の優しさが。大丸はバカだけど、マジで優しいやつなんです。
このセリフに、広島編のエッセンスが詰まっていると私は思うんです。剛たち普通の高校生が青春を謳歌している中で、親に虐待され、借金を背負わされ、働かされる水野のような存在がいる。
作中で意図的に対比されてるんですよね。この2つの世界が。
水野の兄、幸男くんは、明確にボンクラとして描かれています。
受け答えも変だし、表情もとぼけている。もしかして……なんですが、軽度の知的障害があるのかもしれないなと思わせる描かれ方をしています。同時に母親の再婚相手から日常的に暴力を受けていたことも語られ、虐待によってこうなってしまったと見ることも出来ます。学習された無力感というか……いずれにせよ、何かを感じて辛くなってしまうキャラクターです。
そんな幸男くんですが、
自分が殴られることで、水野を虐待から守っていたんですよね。伍代や大丸が殴られるのを、震えながらもこうして止めようとしてくれる。本当に優しいやつなんですよ。変なだけで……。ただ殴られることしかできなかっただけで……。
そして、そういう人間が容赦なく搾取されてしまう残酷さ。
安藤が幸男くんを踏みつけながら「踏みつけられるのには慣れてるじゃろうが!!」っていうシーンにそれは象徴されていると思うんですよ。
そして、大丸はそこに怒りを燃やせる人間なんですよ。おかしくねーか?って。そしてそのために行動できる男なんですよね。(そりゃ伍代もついてくるわ!)
ドラマ版だと、幸男くんの役者さんの演技がマジで上手くてびっくりすると同時に「ああ、製作者サイドは、このテーマをちゃんと描くことに決めたんだな」と感服しました。
この病院で、伍代は偶然広島に修学旅行に来ていた剛と鉢合わせするんですけど、二人は剛の修学旅行を守るため、事情を説明せず誤魔化します。その優しさもいいんだ。
喧嘩に向けて、伍代は装備を整えます。これ、不良漫画に詳しくない人はよくわからないセリフかもしれませんが、安全靴(エンジニアブーツ)っていうつま先に鉄板が入った靴があるんですね。工事現場なんかでつま先を保護するために履くんですけど、これを履いて蹴るとダメージが大きいことから不良漫画ではよく出てくる武器です。
とはいいつつ、これは漫画の中の話で、実際の喧嘩に効果あるのかはわかりません。喧嘩したことないし……(試す気もないです)
以上、ヤンキー漫画豆知識でした。
一人で死地に赴きすぎ
そんなこんなで準備を整えた伍代くんですが、「俺は散々コケにされたお前の敵を取りたいんだ……」などと語り
なんと満身創痍の大丸を置いて一人で死地に赴きます。
伍代はすぐそういうことする。こいつ、好きになった人間のためには命かける男なんすよ!!
自分の気持ちに気がつくの、ここで?
広島城に乗り込んだ伍代くんですが、多勢に無勢、結局負けて凄惨なリンチを食らってしまいます。これ、マジで辛いんだ。連載で読んでた時も相当辛かったもん。結局ついてきた大丸もボロボロで立ち上がれない。そんな時、彼が来るんですね。
剛です。このシーンはめちゃくちゃアツくなりました。チンピラを次から次へなぎ倒して安藤に迫る剛。「一体誰なの!?あの人は?」と驚く水野に大丸は答えます。
満点回答ですね。これ以上の言葉はない。えっ?っていう伍代くんの顔もいい。伍代くん、このセリフを聞いて「親友って!キモチ悪ィだろオメー…」と笑った後、
気がついたよね、自分の気持に。そうだよ!剛はお前の親友だよ!一年の時からずっとだったよ!!むしろ今まで親友って認識なしで行動してたの??そっちのほうがスゲェよ!!!
まあその後剛が大立ち回りを演じて、めちゃくちゃアツい戦いがあるんですけど、それは実際に読んでいただくこととして……(必読!)
安藤を倒した後のこの二人の表情が良いんですよね。伍代くん、無言で全幅の信頼を寄せがち。
戦いが終わって、大丸にお礼を言われ、照れる伍代。照れてるけど、大丸のために旅費まで全部だして、一緒に広島についていって、コケにされた大丸のために一人で敵地に乗り込んでいって、親友でないは無理があるだろ!立派な親友です!!自分に正直になれよ!
あと、松撫でるのが絵になりすぎ。
ということで、広島編での伍代くんの活躍、いかがでしたでしょうか。いや~すごいキャラですね。もうツンデレとかそういうレベルじゃないですからね。ここまでやっておきながら、今更「そっか、親友だったんだ」みたいに気がつく伍代くんが衝撃すぎてびっくりです。今??今なの???
理解した。こいつは人を狂わせる……!ということで、今回はここまで。次回、家出編でお会いしましょう。