心を許せる唯一のネコ
嫌いじゃない、怖いんだ。
子供の頃、追い回されたトラウマから犬が怖い。
身近な動物である猫も同じ。
体の大小は関係ない。
リールにつながれていても、心の臓が騒ぎだす。
ただ唯一心を許せるのが、妻の実家で飼っている猫。
名前はチイ。
齢17で、人間だと84歳くらいだという。
出会った頃は目も合わせず、近づいてきたら距離をとるを繰り返していた。
だが出会ってから早11年、心の距離はいつの間にか消えていた。
今では、マッサージや抱っこもしてあげることができる。
妻と帰省した時、チイは駐車場まで必ず出迎えてくれる。
車から降りた私の右足に全身をこすりつけ、お帰りのあいさつをしてくれる。
このあいさつが、500キロ近い道のりの終着点。
無事に着いた安堵の瞬間である。
遠いと感じていても、時間をかけて縮めれば、その距離はいつか消えてなくなる。
道も心も、距離の原理は同じなのかもしれない。
コロナ禍で帰省をひかえて、もう1年半以上がたつ。
チイが恋しい。
今年のお正月は、コタツで一緒にお昼寝できるといいな。