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人の名前を呼ぶ行為でわかること

大人になったのび太君。

彼は幼なじみのしずかちゃんを、なぜ「しずかさん」と呼ぶようになったのだろうか?


先日、スーパーの食料品売り場で、こんな一幕を見かけた。


「ねぇねぇねぇ、これ、この間の、美味しかったよね?ねぇ、ねぇ!」

声のする方に目をやると、年配の婦人が誰かに話しかけている。

婦人の視線の先に目をやると、年配の紳士がいる。

おそらく夫婦だろう。

しかし、紳士の視線は婦人ではなく、陳列された食料品に向いている。

婦人の声は大きめだが、少し距離があるから聞こえてないのか?

婦人がもう一度声を発する。

「ねぇねぇ、ちょっと、これこれ、この間の、ねぇ、美味しかったよね?ねぇ、ねぇ!」

紳士の視線は、かわらず陳列された食料品に向いている。

大人になったのび太君が「しずかさん」と呼ぶのは、『好きと馴染み』が『愛と尊敬』に変わったからだろう。

一方で、婦人はなぜ紳士を「ねぇ」と呼ぶのだろうか?

そして、紳士はなぜ婦人に視線を向けなかったのだろうか?

人の名前を呼ぶ当たり前の行為ひとつで、心の距離を測れることもあるのかもしれない。

そんなことを考えたたずんでいると、妻が『君付け』で私の名前を呼んだ。

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