人生最後の日に、食べたいものは何かな。
何が食べたいか?
人生最後の日に。
高校2年の時、3人の友人といつも一緒に昼食をとっていた。
給食がなかったため、母が作った弁当を毎日持参していた。
ある日、私は体調が悪く食欲もなかった。
母親が作った弁当を残すのは気が引ける。
そう思っていると「食べないの?」友人の1人が聞いてくる。
食欲がないことを伝えた相手は、食べざかりの男子高校生。
「俺が食べてやる!」そう言うと、俺も俺もと他の2人も私の弁当に箸を入れ始める。
一口、二口、友人たちは無言で弁当に箸を入れ続け、三口、四口・・。
1分足らずで弁当箱は空っぽ。
そして3人の友人は、申し合わせたように言った。
「美味しかった。」
間違いなく腹の底から出た言葉だった。
ほんのり塩がきいた玉子焼き。
しょうゆと砂糖で炒めた牛肉タマネギ。
こんがりパリッと焼いたウインナー。
キュウリとカニカマのマヨネーズ和え。
これらおかずと、のり弁が定番だった。
弁当箱のフタを開けると、よだれが滴る匂いがいつも胃袋を刺激した。
あのお弁当を食べて、あの友人達のように腹の底から「美味しかった」そう言い、あの世にいけるなら本望だ。