傷ツケノ詩
子供のころは
水鉄砲を発射させて
細く出る水を 誰かに命中させ
まるでヒーローになったような気持ちで
正義を空想した
プラスチックの鉄砲には
水がたっぷり入って
濡れるたびに お互い
笑い合って ふざけあう
水は勝手に落ちて
勝手に消えていった
そして 大人になった 今
鉄砲は手元に残った
禍々しい概念のように
得体の知れないものとなって
それは いつも 勝手に動き出す
相手を貫くためのものとして
相手を打ちのめすものとして
見えない何かが 狙いを定め
まるで
誰かを 自分を
憎んでいるみたいに
水はもう 入っていない