パートナービジネス開始までに用意すると尚良い営業支援コンテンツ(歓迎編)
皆さんこんばんは。
パートナーセールスの葛西です。
パートナービジネスの立ち上げにおいて、パートナーがスムーズに営業活動を展開し、成果を出せるようにするためには、充実した営業支援コンテンツの準備が必要です。
前回の記事「パートナービジネス開始までに用意しておくべき営業支援コンテンツ6選(必須編)」では、必ず用意すべき営業支援コンテンツに絞って紹介をしました。
今週は、リソースや時間に余力があれば用意しておくと尚良い営業支援コンテンツ(歓迎編)についてピックアップさせていただきます。
用意すると尚良い営業支援コンテンツ6選
①実績事例
実績事例については、2種類の実績事例があります。
1つ目が、エンド顧客の導入実績事例集です。
これはたいてい直販側で導入事例集や導入事例ページなどが用意されていると思いますので、それをパートナーの営業担当へ展開することでどんな課題を解決するサービスなのか、どういった効果が見込めるのかをパートナーの営業担当が理解しやすくなります。
ただし、前回の記事でも書いていますが、パートナーさんはどこも自社以外の複数サービスを取り扱ってるケースが大半です。
そのため、導入事例を展開したところで全く読まれない可能性も非常に高いです。
おそらく、よほどトップダウンでの指示がない限りは、ほとんどの営業担当が読まないと思っておいた方が良いでしょう。だからこそ用意してあれば尚良しという位置付けとしています。
続いて2つ目が、特定の各パートナーの実績をまとめた事例集です。
パートナーの営業担当は顧客に対して自社が関わった実績事例はお話したいものです。
しかし、部署や拠点、チームが異なるだけでその受注実績を上げた営業担当がどのような課題に対して、どのような提案をしたのかという実態を知らないケースが大半です。
加えて、受注いただいた方にスポットを当てて、その方に自社サービスのファン(さらなる拡販をしてくれる方)になってもらうという観点でも用意すべき営業支援コンテンツです。
ただパートナー契約締結してからすぐの状況ではまだ受注実績が生まれていないという観点から、必須で用意すべきというよりは用意すると尚良い営業支援コンテンツと置いています。
また、受注実績が生まれた際に、ショート勉強会という形で10分〜15分くらいの受注事例勉強会を開くという手段も比較的有効な手段です。
②サービスの動画
視覚的にサービスの特徴やメリットを伝えるために、「サービスの動画」を用意することは重要です。
動画は、テキストや画像では伝えきれない感情や使用感を効果的に表現できるため、パートナーが顧客にサービスの利点を説明する際の強力なツールとなります。
サービス動画については、できれば1分程度のサービス動画と3分程度のサービス動画の2種類用意するとベターです。
1分動画の方はパートナーの営業担当が商談時に顧客へ案内する際に使用し、3分動画は1分動画よりも少し詳しい内容でメールでサービスを案内する時などに使用するといった形で、2種類用意しておくことをお勧めします。
※ただし、リソースや時間の兼ね合いもあると思いますので、その場合はまず1分動画を優先して用意しましょう
サービス動画については、最初から用意されていない場合は制作に一定の時間を要するため、用意すると尚良い営業支援コンテンツと置いています。
③サービスのCM動画
サービスのCM放映をしている場合はパートナー社内でのサービス認知度の向上という目的と、パートナーの営業担当から顧客への提案の際に「このCMのサービスです」と案内できるように、用意しておくと尚良い営業支援コンテンツです。
特に、よくTVで見かけてインパクトのあるCMを放映されている企業さんだとより効果的かと思います(例:ラクス様など)。
④FAQ集(よくある質問への回答集)
営業の現場では、顧客からの質問に素早く正確に答えることが求められます。そのため、「FAQ集」を用意しておくと便利です。
FAQ集はパートナーの営業担当が顧客対応を行う際に役立つだけでなく、パートナーの営業担当自身が事前に疑問点を解消するための自己学習ツール(質問と回答のインストール)としても機能します。
ただし、エンド顧客の導入実績事例集のところでも述べたように、FAQ集を展開したところで全く使われない可能性も非常に高いですし、FAQ集をお渡ししていてもパートナーの営業担当はわからないことがあったらすぐに直接質問してくるケースが多いです。
また、パートナーの営業担当の気持ちとしても質問をしたらすぐに回答をくれるパートナーセールスを圧倒的に好みます。
そのため、「FAQ集があるため、そちらに書いてあるので見といてください」というようなコミュニケーションにしてしまうと、ベンダー(メーカー)側は楽になりますが、パートナーの営業担当からは「コミュニケーションが取りづらい人だな」と思われてしまってなかなか相談が来なくなってしまうなんてことにもなったりします。
※パートナーさんとのコミュニケーションについては、下記noteもご参照ください。
ですので、楽をするために作成するという観点よりは、パートナーさん側だけで回答ができる状態にする用意だけしておいて徐々にゆっくり浸透させていくというやり方の方が望ましいかと思いますので、FAQ集は用意しておくと尚良い営業支援コンテンツと置かせていただいています。
⑤サービス選定ガイド
サービス選定ガイドは、サービス導入を検討している顧客がどのような基準で選定するかを支援する資料です。
サービスの特徴やメリットを分かりやすく整理し、他社製品との違いや選定時のポイントを提示することで、顧客の意思決定をサポートします。
このサービス選定ガイドは、初めてサービス導入を検討する企業を想定して、わかりやすくまとめましょう。
ただし、必須で用意すべき営業支援コンテンツである「サービス比較表」があればその比較表自体がサービス選定のガイドとなることも多いため、サービス選定ガイドは時間とリソースに余裕があれば作成するくらいで良いかと思います。
⑥ROIシート
前回の記事でピックアップした必須で用意すべき営業支援コンテンツである「ヒアリングシート」で顧客の課題・状況をヒアリングし、それとセットで定量的な効果を掲示するための簡単なROIシートも用意しておくと尚良いでしょう。
ただし、パートナーの営業担当側でヒアリング対応までが限界で、ROI算出シートについてはミスしそうだから、またはわからないからから使わないとなってしまうケースも多いです。
ですので、できる限り入力項目を簡素化し、まずはおおよそのROI(費用対効果)が出せるようなものを用意し、細かなROI算出はベンダー(メーカー)側の営業が同席した際により詳細なROIは算出するようにしましょう。
※細かな項目までヒアリングしていただいて、パートナーの営業担当にROI算出をしてもらうのはかなりハードルが高いです。
なお、ROIとして掲示する数字としては、「月間●時間の工数削減」や「月間●万円のコスト削減」、「月間●万円の売上向上」など、サービスによって掲示すべきROIは異なります。
自社サービスのパートナー企業への社内導入について
パートナー企業への自社サービスの社内導入については、元々導入されていたという場合を除き、初回提案から導入までの一定のリードタイムがかかるため上述の「用意すると尚良い営業支援コンテンツ6選」からは敢えて外しています。
しかし、自社サービスのパートナー企業への導入は絶対に進めたほうが良い取り組みです。
※もちろん、パートナーの属性とサービスの特性上、パートナー企業での導入がそもそもできないケースは除きます。
例えば、建設DXのSaaSをOA機器メーカーがパートナーとして販売している場合、OA機器メーカー社内でその建設DX SaaSが使われるということはないですよね。
パートナー企業への導入を進めた方が良い理由としては、パートナーの営業担当の皆様にサービスを直接触ってもらう機会が増えますので、機能や特徴の理解が深まりやすいためです。
また、「当社でも利用してます」という一言を提案先の顧客に伝え、自社が導入した背景や課題、導入後の効果などを事例におまとめしてお話いただくと、より説得力が増してお客様の検討が進みやすくなったりもします。
だからこそ、自社サービスのパートナー企業への導入は時間がかかってでも絶対に進めたほうが良い取り組みなのです。
ベンダー(メーカー)の中には、パートナー企業での自社導入については定価よりも割引して導入できるプランを用意しているベンダー(メーカー)もあったりします。
デモ環境の提供について
前回の記事でも少し触れましたが、デモ環境のパートナーさんへの提供についてはパートナービジネスを開始するタイミングでは時期尚早であると考えています。
デモ環境を提供したとしても、多数の商材を扱うパートナーさんが自社サービスの細かなところまで機能を覚えて使いこなすということがほぼできないためです。
ですので、まずはデモ環境の提供はせず「販売代理店」や「再販パートナー(卸モデル)」のパートナーさんの中で、案件の発掘からクロージングまでできるような方から限定して展開していくというような進め方が良いかと考えています。
もしくは、販売検定制度のようなものを設けて、その検定内でデモの使い方を学んでいただき、その検定に合格となったらデモ環境を付与するといった座組みで展開するのも良いかと考えています。
ただし、販売検定制度のような座組みは、「ベンダー(メーカー)≧パートナー(代理店)」といった力関係になってないとなかなか成立しづらいです。
といいますのも、ベンダー(メーカー)<パートナー(代理店)という力関係だと、ベンダー側が販売検定制度を用意しても誰もパートナー側が受けたいとならないためです。
以上のことから、パートナーさんへのデモ環境の提供はパートナービジネスを開始するタイミングでは時期尚早であると私は考えています。
まとめ
今回紹介した「実績事例」「サービスの動画」「サービスのCM動画」「FAQ集」「選び方ガイド」「ROIシート」の6つのコンテンツは、あくまでパートナービジネスを開始するタイミングで用意してあると尚良い営業支援コンテンツです。
営業支援コンテンツについては、前回の記事で紹介した用意すべき必須の営業支援コンテンツである「1枚ペラのサービスチラシ」「ポジショニングマップ」「サービス比較表」「提案用トークスクリプト」「ヒアリングシート」「メールでのサービス案内テンプレ」の6つの作成を最優先で進めてください。
その上で時間やリソース等に余裕があるようでしたら、上述の6つのあると尚良い営業支援コンテンツもご用意いただくと良いのではないかと思います。
営業支援コンテンツを何も用意していない=パートナーさんが売りづらい(提案しづらい)、つまりはパートナーさんが積極的に提案してくれない、となってしまいます!
しっかりとパートナーさんに売っていただきやすい環境を整え、パートナービジネスの成功を目指していきましょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?