拡販してくれるパートナーの営業担当の見つけ方(後編)
皆さんこんばんは。
パートナーセールスの葛西です。
先週は拡販してくれるパートナーの営業担当の見つけ方の前編を書かせていただきました。今週は先週の続きとなる後編について書かせていただきます。
拡販してくれるパートナーの営業担当の見つけ方(後編)
6. CRM配信の開封数が多い、添付資料のDL件数が多い営業
自社でMAツールを導入されている場合、MAツールを利用してパートナー様にキャンペーンのお知らせや新機能リリース等をCRM配信(メルマガ配信)されているSaaSベンダーさんも多いのでないでしょうか…?
配信された内容をよく開封されている方や(資料等を一緒に添付されている場合は)資料をダウンロードされている方は抑えるべき営業担当です。
もし関心がなければそもそも配信内容を開封すらしない(もしくは開封回数が1,2回のみ)ですし、添付されている資料をダウンロードすらされません。
「配信内容を毎回チェックされている」「とある配信内容を何度も開封されている」「資料をダウンロードされている」というのは、少しでも自社プロダクトに対しての関心がある印です。ですので、優先的にフォローすべきパートナーの営業担当と言えるでしょう。
7. パートナー向けのポータルサイトへのログイン頻度が高い営業
PRMシステムのポータル機能や自社開発のポータル、Notion等で制作したポータルなど、パートナー様向けに自社プロダクトの資料やコンテンツを格納するパートナーポータルを用意されているSaaSベンダーさんも多いのでないでしょうか…?
ポータルを持っている場合、おそらく各パートナーの営業担当ごとの最終ログイン日や資料ダウンロード履歴などの数字が取れるかと思います。パートナーポータルの「最終ログイン日が直近の営業担当」、「直近資料ダウンロードされた営業担当」については、必ず優先してフォローするようにしてください。
直近ポータルにログインしている=何かの情報が欲しくてログインされている=どこか提案したい企業がある可能性が高い、直近資料ダウンロードしている=どこか提案したい企業がある可能性が高い、ためです(もちろん、違うケースもありますが)。このサインをきっかけにその営業担当をこまめにフォローすることで、自社プロダクトを拡販いただける営業担当に成長するでしょう。
8. 提案可否・契約有り/無しの確認(問合せや質問)が多い営業
パートナーセールスの皆様はパートナーの営業担当の方々から「この企業に提案しても大丈夫ですかー?」「この企業は契約ありますか?ありませんか?」というような確認の問合せを受けることが多いのでないでしょうか…?
上述のような問い合わせですが、これは超重要なパートナーの営業担当からのサインです。提案可否・契約の有/無をを確認してくる=どこかに提案しようとされているサインであるためです。特に、まだパートナー様の中で自社プロダクトの存在感が皆無・パートナー様からの自社プロダクトの案件数・紹介数が少ないという時(まだパートナー様が稼働が活性化していない・パートナーイネーブルメントが実現できていない時)は、ただ提案可否・契約の有/無の回答をするだけではなく、問い合わせをくれた営業担当に「お客様がどのような課題ををお持ちなのか?」や「パートナーの営業担当の方がどのような提案をされようとしているのか?」等を個別ヒアリングを行い、「この課題であれば、●●というような提案がいいですよー」というようなアドバイスを行うことで、より提案しやすい(お客様に刺さりやすい)環境を整えてあげるようにしてあげてください(ある種、いい意味でのおせっかいがかなり重要です)。
また、もう1つ、提案可否・契約の有/無をよく確認してくる営業担当のうち、そこから案件創出・顧客紹介になかなかつながっていない営業担当をランキング形式にしてモニタリングされてますでしょうか…?
私がさまざまなSaaSベンダーのパートナーセールスの方々と情報交換をさせていただく中でも、この数字まで計測・モニタリングされているというパートナーセールスの方はほぼいらっしゃいませんでした。
提案可否・契約の有/無の確認件数が多いが案件創出・紹介に至ってない数が多い営業担当は、積極的に自社プロダクトを提案しようとしてくれているが何らかの要因があって案件創出・紹介に至っていない営業担当、つまりはめちゃくちゃやる気にはなってくれているけど結果に結びついていない営業担当の方です。結果に結びついていないとはいえ、積極的に自社プロダクトを提案してくれようとしている営業担当なので、ベンダー(メーカー)側からしたらこの営業担当は神様です!
だからこそ、営業担当の方が自社プロダクトを提案していただくにあたって「何が提案のボトルネックとなっているのか?」「どんな要因でお客様の興味関心・ニーズを引き出せていないのか?(断られ理由は何か?)」などこまめに親身になって確認し、その方が抱えている課題・お困りごとを1つずつ解決してあげていくとボトルネックが解消され、徐々にその営業担当からの案件数・紹介数が増加していきます。
そして「提案可否・契約の有/無の確認数が多い→案件数・紹介数が少ない」営業担当をランキング化することで、ランキングの上位の営業担当から優先してボトルネックを解消していけば、そのインパクトがより大きなものとなりやすいです。
改めてですが、
提案可否・契約の有/無の確認数の可視化
提案可否・契約の有/無の確認数:多い→案件創出・紹介に至っていない営業担当をランキング化
上位の営業担当から優先して課題解決(ボトルネックを解消)
という手順でのモニタリング数字の可視化、ランキング化、優先アプローチ順が重要となってきます。
9. 自社が展開しているスプレッドシートをよく閲覧している営業
パートナー様側とスプレッドシート(Googleドライブ)が共有できる環境を作られているSaaSベンダーさんも多いのでないでしょうか…?
私はパートナー様との共有スプレッドシートを現在進行中の案件の進捗共有やパートナー様の既存顧客リストへの提案可否の可視化(もしくは自社から提供するアプローチリストの共有)、さまざまなトークスクリプトや営業コンテンツの共有などで使用しています。
スプレッドシートには、「ツール」タブ内に「アクティビティダッシュボード」という機能があり、「直近の閲覧者と最終閲覧日」「閲覧者のトレンド(1週間あたりのユニーク閲覧者数)」といった情報・数字をモニタリングすることができます。この機能を活用し、「閲覧者のトレンド(1週間あたりのユニーク閲覧者数)」をモニタリングして各パートナー企業様の稼働率を見てさらに注力するか・それとももう引くかという取捨選択を検討したり、「直近の閲覧者と最終閲覧日」をモニタリングしてどの営業マンが最近このシートを見ているのかを確認することで、注力すべき営業担当が誰かを可視化したりしています。
特に「直近の閲覧者と最終閲覧日」のモニタリングが重要です。直近スプレッドシートを見ている=どこか提案しようとしている企業がある or 何かに困ってて情報を探しているというサインであるため、このサインをキャッチアップしてこまめにフォローするというのを継続的に実施すると、自社プロダクトを拡販いただける営業担当になっていただきやすいです。
10. 一緒に飲みに行く回数が多い営業
いわゆる寝技です(笑)
一緒に飲みに行く回数が多いでもいいですし、その他にも、一緒にゴルフに行った回数、一緒にサウナに行った回数、などでも良いでしょう。要は終業後の時間でも接点が持てている=コミュニケーションの密度が高くなるため、必然的にパートナーの営業担当の方と仲良くなり、親近感が生まれたことが1つの大きな要因となって自社プロダクトの拡販が進むというパターンです。
結局はビジネスは「ヒト対ヒト」の世界です。そうなると人間はより近しい方(親近感のある方)を応援したくなる生き物です。あるSaaSベンダーさんでは、KPIの1つに「パートナーさんと飲みに行った件数」というのが置かれているというお話も聞いたことがあるくらいです。なので、このような寝技、昭和的な営業方法も捨てたもんではありません。
ただし、やりすぎると自身のプライベート時間がかなり削られるため、時間とトレードオフの施策です。
※Time is Moneyの考えが強い人には向いてない施策ですね。
※お恥ずかしながら、私自身、他のSaaSベンダーのパートナーセールスの方々と比較したら、パートナー様と全然飲みに行っていない方かと思います。。(会社の経費が出ないってのが1番の要因ですが。。)
パートナーセールスとはファン作り活動
前編・後編の2段構えで、「拡販してくれるパートナーの営業担当の見つけ方」を10個ご紹介させていただきました。今回ご紹介させていただいた10個のうち、特に「8.提案可否・契約有り/無しの確認(問合せや質問)が多い営業」と「9.自社が展開しているスプレッドシートをよく閲覧している営業」で書かせていただいた内容は、さまざまなSaaSベンダーのパートナーセールスの方々と情報交換をさせていただく中でも、あまり実施されている方はいらっしゃらなかったので、是非参考にしてみてください。
前編・後編と読んでいただけた方にはわかっていただけるのではないかと思いますが、「パートナーセールスとは、ファン作り活動である」と言えるのではないかと私は考えています。パートナービジネスは突然売上が上がるような魔法ではありません。いかにパートナーの営業担当の皆様が出している小さなサイン・印をいち早く見つけ、そのサイン・印を出している方に対して早急にフォローを行う、かなり泥臭いですがこれをとにかく繰り返し、そうすることで「自社プロダクト」もしくは「自分自身」のファンになってもらうことがパートナーセールスという仕事なのだと思います。
まずは本当に小さなところからでも「自社プロダクトのファン」もしくは「自分自身のファン」になってもらえるような活動を泥臭く、継続的に、PDCAを回しながら行なっていくということが重要であるかと思います。
最後に、今回で挙げた10個以外にも、拡販してくれるパートナーの営業担当の見つけ方はさまざまな方法があるかと思っています。是非「他にもこんな見つけ方もあるよー」というパートナーセールスの方がいらっしゃいましたら、是非コメントやメッセンジャー・X(Twitter)のDMで教えていただけたら嬉しいです!
それでは来週もお楽しみに!