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パートナーセールスの外部採用と社内抜擢の最適化(第1部)

皆さん、こんばんは。
パートナーセールスの葛西です。

パートナーセールス研究会(コミュニティ)を運営している中で、こういったテーマのセミナー開催してほしいと言うようなさまざまなご要望をいただくことが多くなってきました。その中でもパートナーセールスの外部採用と社内抜擢に関するテーマのセミナーが聞きたいというご要望も多かったので、また改めて企画させていただこうと考えていますが、まずは私自身のパートナーセールスの外部採用と社内抜擢についての考えをnoteに書かせていただこうと思います。


イントロダクション

日本のパートナーセールスの外部採用と社内抜擢における課題

前提として、日本のSaaS企業の大半はまだ直販文化です。そのため、日本におけるパートナービジネスの正攻法というものがそもそもまだ確立されていません。それが故に、「SaaSのパートナーセールス経験者」という人材自体が日本にまだあまり存在せず、非常に稀有な存在となっています。

One Capital様のJapan SaaS Insights 2024より

国内SaaSの市場規模に目を向けてみると、2023年に1.4兆円に達したと言われており、2027年には2兆円を突破すると言われています。つまりは、「SaaSの市場規模がこれだけ拡大する=SaaS企業がどんどん増える=必然的にキャズム越えの際にパートナービジネスに足を踏み入れる」という構図であるのは間違いないのかと私は考えています。
そうなりますと、現在パートナーセールスに従事している人たちは転職市場において非常に希少価値の高い人材となるでしょう。

一方で、パートナーセールスを採用する側のSaaS企業からすると、そもそものSaaSのパートナーセールス経験者が採用市場に少ないことから、外部から経験者採用をするとなると非常に母集団が限られるため、難易度の高いポジションであると言えます。加えて、日本のパートナービジネスの正攻法がない以上、パートナーセールスの採用・抜擢においてもどのような人材を採用・抜擢したら良いのかという答えもまだ明確に出ていないと言っても過言ではないかと考えています。

目的

本noteでは、パートナーセールスとして外部採用すべき人材、社内抜擢すべき人材、そして外部採用と社内抜擢の最適化について解説します。HR領域の企業に属し、採用ノウハウも持つパートナーセールスである私だからこそ書けるnoteであるかと考えていますので、本noteがSaaS企業におけるパートナーセールスの外部採用と社内抜擢の参考になればと考えています。
まずはその第1部として、本日はこのイントロダクションに加え、外部採用にフォーカスを当ててnoteを書かせていただきます。第2部ではパートナーセールスの社内抜擢について、第3部ではパートナーセールスは外部採用か社内抜擢かどちらを優先すべきかについて、書かせていただこうと考えています。

パートナーセールスの外部採用のためのキーコンポーネント

パートナーセールスを外部採用する際のキーコンポーネントについて、大きくハードスキル面(具体的な知識や技能、経験、専門的なスキル・技術等)とソフトスキル面(個人の性格特性や行動特性等)で分かれますので、ハードスキル・ソフトスキルそれぞれについてかせていただきます。

パートナーセールスに最適なハードスキル

ハードスキルは求人票でいうと主に「必須応募資格」に入ってくる内容となります。パートナーセールスに最適なハードスキルは下記であると私は考えています。

  • 無形商材の営業経験3年以上

  • 顧客を長期に渡って深耕・ナーチャリングし、受注した経験のある方

    上記に加え、下記のいずれかを満たす方

  • エンタープライズセールスの経験

  • 様々なステークホルダーが関わるプロジェクトでのプロジェクトマネジメント経験

  • セールスイネーブルメントの経験

  • 5名以上のマネジメントの経験

※以前に、「パートナーセールス募集をする際の必須応募資格とは?」というnoteを書かせていただいていますので、なぜこのハードスキルが必要なのかは、上述のnoteをご参照ください。

なお、上記のnoteの内容は、「パートナーセールス経験はないが即戦力(マネージャー候補以上のレベル)となりそうな方」を外部採用する場合の採用要件となっています。そのため、例えばパートナーセールス組織内の人員も揃っていて育成体制も構築できている場合や即戦力とまではいかないがFSやCS等での実績はまずまずあるようなジュニアメンバーを採用する際は、上述の採用要件をもう少し緩めてください(例:「上記に加え下記のいずれかを満たす方」の4つの項目を全て「歓迎条件」にする、など)。

また、上記のnoteにも書かせていただいていますが、SaaSのパートナーセールスの経験者は転職市場においての経験者がまだまだ非常に少ないため、必須応募資格に「SaaS企業(IT企業)でのパートナーセールスの経験」を入れてしまうと母集団形成に苦戦されてしまう可能性が高まるので、最初は外しておいた方が賢明でしょう。

パートナーセールスに最適なソフトスキル

ソフトスキルは、求人票でいうと主に「求める人物像」や「その他」の欄に入ってくる内容となります(稀に「応募歓迎条件」にも入ってきます)。パートナーセールスに最適なソフトスキル(人物特性も含む)は下記であると私は考えています。

【必須条件のソフトスキル】

  • コミュニケーション能力
    →パートナーさんの窓口担当の方はもちろん、決裁者、営業現場の皆さんなどと接する機会が非常に多いため、コミュニケーション能力は必要不可欠です。

  • 観察力があり、マメな対応ができる方
    →パートナーさん先の小さな変化やニュースに気づく観察眼は必要不可欠。その小さな変化やニュースに気づきそれをきっかけにコミュニケーション総量を増やしたり、自社商材の提案における小さなGood Pointを褒めたりというようなマメな対応ができるかも重要な要素です。

  • 課題解決能力
    →パートナーセールスは、パートナー企業が抱える課題や困っていることを解決しまくり、信頼を掴んでいくという活動の繰り返しです。そうすることでパートナー企業さんの中での自社プロダクトのファンまたは自分のファンが増えていきます。だからこそ、誰よりも多く課題を発見し、それを解決しまくるという能力は必要不可欠です(時には自分で解決できない課題は人の力を借りるってこともできると尚良し)。

  • ペーシング能力の高い方
    →パートナーセールスは、営業現場のさまざまな営業マンと相対するため、相手のタイプ・行動特性等に合わせて、相手に共感したり小さな成功を褒め称えたりといったことができるペーシング能力(相手に合わせる能力)が高い方のほうが活躍すると考えています。このペーシングについてはパートナーセールス個人の性格タイプや行動特性として天然でできる方もいれば頭で考えて相手に合わせて演じ分けることができるタイプもいますが、どちらのタイプであってもパートナーセールスとしては向いています。

最低限、パートナーセールスの即戦力であってもジュニアメンバーであっても、前提としてこの4つのソフトスキルは必須であると私は考えています。

【歓迎条件のソフトスキル】

  • 柔軟性と適応力、調整力
    →パートナービジネスにおいてさまざまなルールメイクは最初に設計するものの、パートナーさんからの要望や関係上、さまざまなイレギュラーな事象が発生しやすいです。そのため、社内の状況も鑑みた上での柔軟な対応ができるか、さまざまなイレギュラーに対する適応力や調整力があるかは、重要なソフトスキルであると言えます。

  • 戦略的思考能力
    →パートナーセールスはパートナーのビジネスやマーケット環境の理解などを踏まえ、どのように中長期的に提携していくのか、中長期的に提携していくためにどのようなメリットをパートナーへ提供できて、自社はどのようなメリットが得られるのか、お互いは協業することでどのように事業が伸びていくのかなど、大きな戦略絵図を描いていく必要がありますので、戦略的思考能力も必要なソフトスキルであると言えます。

  • 巻き込み力・推進力
    →パートナーさんの営業現場や決裁者、場合によってはマーケティング部門やサポート部門なども巻き込む必要が出てくることもあるため、圧倒的な巻き込み力・推進力も必要不可欠です。加えて、対社内においてもパートナービジネス部門単体で完結することが少なく、マーケティング部門やIS、FS、時にはCSなど巻き込む部署が多くなりますので、対社内という視点においてもこのソフトスキルは必要であると言えます。

  • マルチタスク能力
    →パートナーセールスはざっくりでまとめても「マーケティング」「Bizdev」「セールス」の3つの経験が必要となる場面が多いです(こまかく分解したら、もっとたくさんありますが)。そのため、さまざまな職種・業務の経験があり、どの職種においても実績が上がっている方が向いているかと思います。逆に言えば、これからパートナーセールスにチャレンジされる方は一気に自分自身のスキルタグを増やすチャンスが得られます。

  • 出張が可能な方
    →これはソフトスキルではないですが、パートナーセールスは職種柄、現地のパートナーさんに訪問したりすることが多いため、出張が付き物です。そのため、出張ができる方のが望ましいため、求人票の歓迎条件には入れておいた方が良い項目です。

上述のソフトスキルについては、採用するパートナーセールスのレイヤーに応じて、歓迎条件のソフトスキルから必須条件のソフトスキルに移動させてください。上述の歓迎条件のソフトスキルも全て満たすという方はパートナーセールスとして即戦力、部長レイヤーでも活躍できる人材であるかと思います。

まとめ→次回noteは社内抜擢について

今回はパートナーセールスの外部採用における採用要件についてまとめさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
前提として、パートナービジネスに成功している日本のSaaS企業がまだまだ少なくパートナービジネスの正攻法もない状況であるため、これが「絶対に正解だ!」とまでは言い切れないですが、これが私のパートナーセールスの外部採用における考えです。

今後、パートナーセールス研究会内でパートナーセールスの外部採用に関するセミナーを開催したり、パートナーセールス研究会参加者の皆様でパートナーセールスの外部採用に関するディスカッション会を開いたりできたらいいなーとも考えています。

来週は、パートナーセールスの社内抜擢についてのnoteを書かせていただこうと思います!
また来週のnoteもお楽しみに!

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