パートナービジネス(代理店販売)向きの商材とは?
皆さんこんばんは。
パートナーセールスの葛西です。
先々週・先週と「パートナー契約書に記載すべき内容」と「既得権は設定すべきか」について書かせていただきました。
今週は、じゃあそもそもパートナービジネスに向いてる商材ってどんな商材なの?ってお話を書かせていただこうと思います。
パートナー企業に稼働してもらうための大前提
大前提、当たり前ではありますが「パートナー側に大したメリットが示せない商材」は全くパートナービジネスでは売れません。
パートナー側の経営陣は自社の事業をいかに成長させるかを常に考えていますし、現場の営業マンは毎月予算(もしくはクウォーターごとや半期ごと)があるためその予算をいかに達成するかを常に考えています。
そのためパートナー企業に自社の商材を拡販していただくためには、パートナーの経営陣に刺さるメリット、現場の営業マンに刺さるメリットをそれぞれ用意しなければなりません。
※もう少し細かくいうと、事業部長や拠点長、現場の営業マネージャーなど、役割ごとに応じたメリットを用意する必要があります。
パートナー側からすると取り扱っている商材のうちの「ただの1商材」にすぎませんので、自分たちにメリットがなければ人間はそう簡単には動きません。
そのため、まずは「自社の商材をパートナーへ展開したら勝手に売ってきてくれるという幻想」は捨てましょう。
ではこの前提において、どういう商材(プロダクト)であると比較的パートナーさんが売ろうと思ってくれるのか、ここから解説します。
(1)提案難易度が低く売りやすい商材
基本的にはパートナーの営業マンにその商材を提案いただくことになるため、必然的に提案難易度が低く売りやすい商材がまずは好まれます。
そのため、
サービスの内容がわかりやすく、説明が簡単な商材
販売価格が安い商材(低単価の商材)
知名度の高い商材
法改正や社会情勢等の時代の後押しがある商材
などがパートナーの営業マン側からすると基本的には重宝されます。
なお、「法改正や社会情勢等の時代の後押しがある商材」については少しわかりづらいため、下記に例を挙げておきます。
コロナ禍におけるzoom
→オンラインMTG・商談、リモートワークをせざるを得ない環境下になり、一気に普及インボイス制度、電子帳簿保存法の開始における販売管理システムや請求書管理システム
→法律の改正に伴い、法律に遵守したシステムが必要とな理、一気に普及
逆に複雑なサービスや高度な業界知識が必要な商材は学習コストが高くなるため、パートナー側も積極的には提案・販売しない傾向にあります。
(2)パートナーにとって儲かる商材
パートナーの経営陣〜営業マンまで、どの階層においても必ず売上や粗利などは追っています。
そのため、手数料(マージン)が高い商材ほどパートナー側は儲かりますので、優先順位が上がりやすいです。
ただし、ショット型で1発の手数料(マージン)が大きい商材が好まれるのか、それとも長期的なサブスクリプション契約で収益が安定している商材が好まれるのかは、パートナー企業によって異なります。
ストック型 vs ショット型のマージンモデルの選び方については、下記のnoteをご参照ください。
また、手数料だけの勝負になってしまうと必然的に大企業が有利になりますし、ベンダー(メーカー)側の利益率も当然下がってしまいます。
そのため、パートナー側から「儲かる商材だ」と思っていただけるような工夫さえできればこの問題は解決が可能です。
例えばですが、
パートナーが1番販売している商材とのセット販売プランを用意
→単価が上がり、粗利がUPするので儲かるその商材を活用したオプションプランを策定する
→(商材にもよりますが)その商材を活用した独自のコンサルプラン、データ分析プラン、初期設定代行プラン、などの有料オプションプランを用意する
などのような、商材の販売による手数料に加えて単価UPに繋げられるような座組みが作れれば、手数料は低くとも「パートナーにとって儲かる商材」に様変わりさせることができます。
(3)本業(メイン事業)とのシナジーが見込める商材
パートナーの本業(メイン事業)とのシナジーが見込めれば、パートナー側の販売優先順位が上がりやすいです。
例えばですが、その商材を販売すると、
パートナーの本業(メイン事業)のリピート率向上にもつながる
パートナーの本業(メイン事業)の新規開拓にもつながる
パートナーの本業(メイン事業)においても重要な顧客側の見えなかったデータがモニタリングできるようになる
などのように、本業(メイン事業)にとってプラスになるよーというシナジーをうまく描くことがができれば、パートナーにとっての価値が高くなるため提案頻度が上がる可能性が高いです。
ただし、実際にその商材を使うのはエンドの顧客です。
そのためパートナー側だけではなく、パートナー・エンド顧客・自社が三方良しのWin-Win-Winとなる大きな絵を描くことが重要です(けっこうパートナービジネスをやっていると、パートナーを優先しすぎてエンド顧客の視点が削れてしまうこともあるため要注意です)。
また、少し事業への直接的なシナジーからは派生してしまいますが、パートナー企業がその該当プロダクトを導入できる先である場合、パートナー企業自身のそのプロダクトを導入していただくというのも1つの手段です。
パートナーへの自社導入で効果が出たようであれば、社内での自社での活用事例セミナーを営業マン向けに開催してインプットを増やしたり、SaaSベンダー(メーカー)側の導入事例ページに出ていただいたりするといった施策も有効的でしょう。
まとめ
自社の商材がそもそもパートナービジネスに向いている商材なのかどうかを理解しておくことはベンダー(メーカー)側にとっては重要です。
基本的には、
提案難易度が低く売りやすい商材
パートナーにとって儲かる商材
本業(メイン事業)とのシナジーが見込める商材
の3つを全部満たすことができる商材が最もパートナービジネス向きの商材であるといえます。
しかし一方で、多くのSaaS企業がこの1.〜3.の全てに当てはまるのかというと、そういうわけでもありません。
そのため、パートナーセールスがこの1.〜3.の状態にいかに近づける工夫ができるかが鍵を握ります。
要は、パートナー側にとってその商材を販売するメリットをいかに増やすかが重要なのです。
つまりは、「パートナーセールスの仕事=パートナーさんが販売しようと思ってくれるメリットをたくさん作る仕事」であるとも言えるのかなと最近はよく考えています。
ただ、言うは易く行うは難し。
それがパートナービジネスの世界であって、だからこそパートナービジネスの領域はおもしろい!
是非まずはパートナーさん側の立場に立って、何がメリットとなり得るのかを考えてみるところからスタートすると良いのではないでしょうか。
是非他にもパートナービジネス(代理店販売)向きの商材の要素として、こんな要素があるよ〜というご意見がありましたら是非教えてください…!
それではまた来週の更新をお楽しみに!
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