パートナーセールスへ異動後の悲劇と最初の3ヶ月間〜パートナー戦略の立て直し記録〜
皆さんこんばんは。
パートナーセールスの葛西です。
私がパートナーセールス部門に異動してきたのが2021年8月。
現職のパートナー制度が始まって1年〜1年半程度経過したくらいのフェーズから携わっておりますが、当時は全くパートナー企業のセグメント分けや重点支援すべきパートナーのターゲティング(絞り込み)も全くできていない状態でした。
ですので今回は、私が現職でパートナーセールスに異動した当初の状況と最初の3ヶ月間で行ったこと、そしてどのように何百社あるパートナー企業から重点支援すべきパートナーを絞り込んでいったのかを、当時を振り返りながら生々しく書かせていただこうと思います。
当時のパートナー領域の状況と大きな失敗
社長室(旧:企画推進室)から異動して初めてパートナーセールスという役割についたのが2021年8月。
この時点で幸いにもパートナー契約社数が150〜200社程度ありました。
パートナー契約社数を増やすことに苦労されているSaaSベンダー様からすると、非常に羨ましいような状況かもしれません。
ですので、大前提、ここまでのパートナー契約社数を集めてくれていたという点では非常に素晴らしいの一言です。
一方で、私が異動で入った初月、パートナー様経由での商談数がなんと月間3〜5件くらいしかないという、いきなり大惨事な状況からスタートしました・・・。。。
ここまで、とにかくパートナー契約社数を伸ばすというところに注力した結果、運が良いことにちょこちょことパートナー企業様からの案件紹介も上がり、受注数もちょこちょことは生まれていた状況でした。
しかし、既存の契約済みのパートナー企業様への支援をほぼ何もしておらず(本当に営業資料渡したりするとかその程度)、何の計画性・戦略性もないまま進めてきてしまったことから、私が異動してきて早々このような非常事態に陥ってしまいました。。。
この「何も考えず、とにかくパートナー契約社数を伸ばす」という戦略は本当に大きな失敗であったかと考えています。
パートナー契約を締結しただけで、パートナー企業様が勝手に動いてくれるってのは完全に夢物語です。
ほとんどのパートナー企業様が1つの商材のみではなく、多数の商材を取り扱っているケースがほとんどであり、「パートナー契約締結=パートナー様が売ってくれる」という方程式は滅多に成り立ちません。
※ここ、けっこう勘違いしている経営陣や部長陣もいたりします(もちろん大多数とは言いません)。
最初の3ヶ月間の動き
1.営業人員数:10名以上のパートナー企業へ全社打ち合わせ実施
既存のパートナー企業の引き継ぎに当たって、まずは「営業人員数=10名以上」のパートナー企業様にターゲットを絞り、引き継ぎの打ち合わせをとにかく実施しまくりました。
営業人員数=10名以上に絞った理由は、営業人員数が多い=取引社数が多いというケースが多いと考えたためです(パートナー各社の取引社数が何社あるのかって情報も手元になかったため)。
打ち合わせをさせていただくにあたり、下記の事前準備を行いました(これは直販の営業時代に作成した事前準備シートをカスタムマイズしてパートナー用の事前準備シートを作成しました)。
事業内容
ビジネスモデル
売上/経常利益(ただし、情報がネット上に載ってないケースも多い)
決算期
従業員数
(上場企業の場合)決算説明資料や有価証券報告書
(想定)組織図
打ち合わせ相手のプロフィール
→ネット上でプロフィール情報がないか探し、セミナー登壇やLinkedInの情報などを事前に確認しました。そのパートナー企業のプレスリリース情報
→「プレスリリース=知ってほしい情報」なので、どんなプレスリリースを過去に出しているのかは事前に確認しました。
これらの事前準備をすることで、このパートナー様は何屋さんで、どうしたら儲かって、1年の通信簿である決算が何月で、最近は何に力を入れているのか(困っているのか)がおおよそわかり、顧客のことをある程度は理解した上で臨めますし、打ち合わせ時の余計な質問も減らせます。
また、事前に調べられるような情報も調べずして顧客に質問するってのは個人的には大変失礼な行為であると考えています(せっかく貴重なお時間を頂戴している中で、その人の時間を無駄にしている訳なので・・・)。
これらの事前準備をした上で、当日の打ち合わせでは、上述の準備で自分が既に理解している情報を最初に伝えた上で、調べてもわからない情報を教えていただくようにしています。当日の打ち合わせで、下記の情報については必ず確認するようにしています。
全社および事業部の売上規模 ※売上については開示していただけないケースもあり
その事業部の(正確な)営業人員数
その事業部の平均年齢
事業部長(決裁者)は誰か
毎週の出社頻度(フルリモート or 完全出社 or 週2,3日出社のハイブリット型)
社内で利用しているコミュニケーションツール(slackやChatwork、Teams等)
取引社数(常時稼働している社数)※これは開示いただけないケースもあり
既存顧客で多い業種
既存顧客で多い従業員規模
新規でターゲットとしている企業属性
事業部門(各チーム)で追っている主要KGI・KPI
他に扱っている競合商材
営業メンバー、営業リーダー、営業マネージャーそれぞれの単月予算
自社の展開している商材を販売した場合のマージンは、営業担当の成績に反映されるのか?
┗反映される場合、そのマージンは営業担当にとってのインパクト(影響度)は大きいのか?
┗反映されない場合、なぜ反映されないのかを確認。加えて、反映させることはできないのか相談。
これらの情報を当日の打ち合わせで教えていただき、まずは各パートナー様ごとの「パートナーカルテ」を作成しました。
※要はパートナー様ごとのただの情報の可視化です。恥ずかしながら、異動当初は部内でそんなことすらできておりませんでした。。
2.パートナーの営業支援ツールの制作
私が異動してきた当初、パートナー様へ展開していた営業支援ツールはなんと営業資料と見開き1枚のパンフレットの2種類のみという状況でした。
上記のパートナー様へのヒアリングを経て、「サービスについてはなんとなくはどんなものかわかっている」、ただ「提案方法がわからない」「他サービスとの違いがわからない」というような意見・課題が大多数であったため、まずはこの課題を解決するために、以下のような営業支援ツールを制作しました。
提案用のトークスクリプト
課題に対してのソリューショントーク集
1枚ペラのサービスチラシ
導入事例資料
プロダクトのCM動画
プロダクトの機能詳細資料
商談時のヒアリングシート
メールでのサービス案内テンプレ
このようなツールを社内から取り寄せて用意したり、爆速で制作したりして、パートナー企業様へ展開しました。
パートナー企業の営業担当が入っているチャットのチャンネルやメーリスがあるパートナー様については、大容量ファイル転送サービスのHENNGE Secure Transferを使って用意した営業支援コンテンツを展開し、どこのパートナー様でのダウンロードが多いのかを計測し、どこのパートナー企業様が動いていただけそうなのかという目星を付けるための指標としました。
本来であればMAツールを入れて、誰がダウンロードしているのか、誰がメールを開封しているのか、などの指標まで追うべきです。
が、残念ながら当時の環境下ではMAツールはマーケ部門のみでしかアカウントが付与されておらず、利用できなかったという背景があってこのような送り方をしておりました。
3.事業部長以上(決裁者)との接点が取りやすいかどうか
営業人員数=10名以上のパートナー企業様のうち、そもそもカウンターパートが社長や役員、事業部長の方である(要は決裁者)、もしくはカウンターパートの方を通じて社長や役員、事業部長等の決裁者にコンタクトが取りやすい環境かどうか、というのも重点フォローする上での重要なポイントと置きました。
理由としては、私自身のこれまでの経験上、営業の強い会社であればあるほど、効果を発揮するのにトップダウンに勝る手段はないためです。
ですので、上述の1. に書いたように絞りこんだ対象パートナー様と打ち合わせをさせていただく際に、決裁者(トップ)が誰なのか確認するとともに、決裁者に繋いでいただける可能性は高そうなのか、というポイントを常に探っておりました。
そして社長や役員、事業部長(決裁者)にコンタクトが取りやすい企業様については支援の優先順位を上げ、自社のサービスに関すること以外も含め、決裁者が抱えているであろう課題とソリューションをとにかく提案しまくりました(感謝いただける数をとにかく増やし続けました)。
まとめと次回記事の予告
数字が大きくへこんだ状態から3ヶ月間、何から取り組むべきかを考えながら走り続け、まずは
パートナー企業様の解像度を上げる(カルテ化)
最低限の営業支援ツールを爆速で制作・展開
決裁者にアプローチが取りやすい先の選定と(自社のサービスに限らず)そのパートナー企業の決裁者が抱えているであろう課題とソリューションを考えて提案しまくる
という3つをとにかく最初の3ヶ月間で行い続けました。
ただ残念ながら、この3点を実施したからといって、すぐにパートナー企業様が動いてくれる訳ではありませんでした。
これはあくまでまだ「最低限のあるべき姿」っていうレベルです。
ただ、この①〜③を継続し、PDCAを高速で回しながら、より効果的な施策・提案を続けていくことで、ようやく半年後に復調の兆しが見え始めました。
次回は、上記のような経験をした私が考える、重点的に支援すべきパートナーの選び方とどういう観点でその軸・条件が必要なのか、についてまとめさせていただきたいと考えています。
また次回の更新をお楽しみに!
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