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うつ病で休職し、退職した話【後編】


 こんにちは。り んと申します。

 今回はうつ病で休職し、退職するまでの話をここに綴っていこうと思います。

 前編はこちら。 

1度目の休職


 社会人2年目の9月から私は休職することになりました。診断名は「うつ病」。2ヶ月の休職を要するとの主治医の判断でした。

 ひと息つけると思ったのも束の間、強い焦燥感が押し寄せてきました。

 いつになったら復帰できるんだろうか。
 復帰して今まで通りに働けるのだろうか。
 そしてこの病は治るのだろうか。

 そんなことばかりが頭の中を駆け巡り、まったく休めない日々が続きました。

 どんなに休めど休めど病の回復は見えず、むしろ精神的には辛くなっていくばかりでした。

 そうしてあっという間に2ヶ月は経ち、主治医の判断で休職期間を1ヶ月延長することとなりました。

 計3ヶ月の休職期間、毎日が不安で休めたものではありませんでした。

 その頃から復職について上司と相談をし始めており、まずは産業医面談をしてみてはどうかと勧められました。

 迎えた1度目の産業医面談。

 「今回、うつ病との診断ですが、このような結果になったきっかけに心当たりはありますか?」と尋ねられました。

 元々配属された部署にメンタル不調での病気休暇を取る人が多かったこともあり、仕事内容が原因なのではないかとの産業医の見立てでした。

 私は職場で誰も頼ることができず、そして職場の雰囲気も自分には合わず、上司や先輩職員と仕事の方向性が異なることが原因なのではないかとやんわり考えていましたが、その思いを初対面の産業医に素直に伝えることができませんでした。

 同時にその頃から復職に向けての自主訓練が課されていました。毎日、1時間程度散歩をしたり、生活リズムを整えたり、食事をしっかり3食摂ったり、空いた時間には外出や読書をしたりするよう心掛けていました。

 自分なりに努力していたつもりでしたが、精神状態はなかなか上向きにはならず、休職期間は気が付けば6ヶ月にもなっていました。

 計6ヶ月の休職期間を経て、主治医と産業医ともに復職にチャレンジしてみましょうとの判断がなされました。

 気が付けば季節は夏から冬へと変わり、辛くて長い休職期間から開放されるのだと気持ちは晴れ晴れしていました。

 しかし、私にとっての本当の試練はここからでした。

復職訓練

 半年の休職を経て、私は同じ職場に復帰をしました。初めは復職訓練。時短勤務で、業務内容も軽作業からのスタート。これが私にとってはかなりの苦行でした。

 私が休職をしていた半年の間に、後輩たちはメキメキと成長し、気が付けば休職明けの私よりも仕事をテキパキとこなしていました。

 一方の私は、上司の配慮もあり、コピー室に籠ってひたすら印刷をするだけ。上司は「本当に助かる」「ゆっくり仕事に慣れていければいいからね」と温かい声を掛けてくれましたが、私は自分の無能さを実感するばかり。

 他の職員の仕事をしている様子と自分のしている仕事を比べては、私にはもう以前と同じように仕事をすることはできないのだなと現実を突きつけられた気分でした。

 同時に周囲の配慮が窮屈に感じ、次第に腫れ物扱いをされている気分になっていきました。

 復職後も確かに物理的には私のデスクは変わらずそのままでしたが、実際のところ、一度メンタルの調子を崩した私には元通りの仕事はできず、精神的にも追い詰められ、もう自分の居場所がここにはないことに気付かされました。

 そのように感じてしまった私は、復職後も体調不良を理由に当日欠勤を繰り返してしまいました。

 ついに復職訓練は中止せざるを得なくなりました。

2度目の休職

 そして、2度目の休職に突入。
 職場復帰したのはわずか2週間程度でした。

 この休職で私はあることを決意します。

 そう、転職活動を始めることです。

 第一志望で入社した会社。
 福利厚生も充実し、安定した会社。
 内定が出たとき、両親も喜んでくれた会社。

 辞めるのはもちろん心苦しかったです。
 仕事内容には強いやりがいを感じていたので、辞めざるを得ない状況にまで追い込まれたことを今でも悔しく思っています。

 だけれども、復職したときの居場所の無さ、そして2度の休職。もうこれ以上、この職場に固執する必要はないと判断しました。

 転職活動を進めていくにつれて、さらなる心境の変化が生まれてきました。

 「会社に所属している」「復職の見込みもないまま休職している」という事実が私を強く縛り付け、息苦しささえ感じるようになりました。

 そして、私は、転職活動の真っ只中でしたが、会社に所属しているというしがらみから一刻も早く抜け出したく、退職することを決意しました。

退職するまで

 2度目の休職期間も4ヶ月程経った頃、上司に退職の意向を伝えました。上司は私が考えていたことを全て見透かしたような表情で「辛かったよね」と受け入れてくれました。

 強いて言えば、「福祉職だから今後さらに需要は高まるだろうし、り んさんは引く手あまただね」と上司が励ましとして掛けてくれたその言葉が、本当は退職せず、仕事を続けたかった私にとっては非常にショックで心に痛く痛く刺さったことを今でも鮮明に覚えています。

 その後の手続きは至ってスムーズでした。

 上司に許可を得て、勤務時間外に職場の荷物を取りに行きました。今後のためにとメモを取った資料を全て跡形もなくシュレッダーにかけたときは、少し目頭が熱くなりました。

 そうして職場を後にし、2度とそこへ戻ることはなくなるのでした。

 もちろん職場の同僚、誰からも見送られることもありませんでした。

おわりに

 2度の休職、復職、そして退職を経験した私が、似たような経験をしてらっしゃる方に伝えたいことがあります。

 それは、休職や復職をしても(特に精神的に)居場所がある、そして必要としてくれる人がいる職場にお勤めの方は、その職場を大切にしてほしいということです。

 反対に、休職や復職をして(特に精神的に)居場所がなかったという職場の方もいらっしゃると思います。そのような場合は、自身が働きやすい環境を整えていただくよう交渉したうえで、それでもそこに自分の居場所を見い出すことができない状態にあるときは、部署異動や転職を考えてみても良いのではないかというのが私の一個人としての意見です。

 この私の経験が同じように悩むどこかの誰かの一助となることを願っています。

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