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金魚電話ボックスの発想は誰のもの?誰もが思いつきそうな組み合わせも、真似しすぎるとダメらしい

「金魚電話ボックス」が話題となっています。金魚電話ボックスと呼ばれる作品は、廃墟と化した電話ボックスを水槽に改修し、そこに金魚を入れて展示するというものです。電話ボックスを水槽にしてしまうのは思いつきそうで思いつかない発想であり、そこに金魚を入れて作品としてしまうのも面白いです。

この度に話題となった金魚電話ボックスの焦点は著作権です。奈良県大和郡山市の柳町商店街が設置した「金魚電話ボックス」が福島県いわき市の作家である山本伸樹さんの著作権を侵害したというものです。金魚電話ボックスの発想としては独特ですが、例えば1千万人が頭を捻れば何人かは着想しそうであり、著作権を認められるのは難しいと思っていました。

結果として第1審は山本さんの訴えは退けられました。しかし第2審は受話器から泡を発生させる点において発想が似すぎており、同一性が維持されるとして山本さんの著作権を認めています。裏を返せば「電話ボックスを水槽に見立てて金魚を入れる」という部分には著作権が認められないと判決されたようにも捉えられます。

「この発想はなかった」という物は世の中に数多存在します。オリジナルは何も基礎研究のようなゼロからイチを発見するものだけではありません。イチとイチを組み合わせるだけでも全く新しい物は誕生します。例えば「アイフォーン」は元々音楽プレイヤーと電話を組み合わせた製品でした。昨年のヒット商品の1つでもある「リングフィットアドベンチャー」も、テレビゲームとフィットネスを融合させた物でした。組み合わせの元となった製品ないしサービスは誰もが知っているものですが、組み合わせ方によっては発明品として昇華されます。金魚電話ボックス訴訟は「組み合わせ」から生まれる発明において、独自性をどこに線引きされるかという点で非常に意義深いものです。

以前に友人が居酒屋で「俺達のチームはTTP」を大事にしているんだと語っていたのを思い出しました。TTPは「徹底的にパクる」の頭文字をとった洒落です。その後「TTP」自体が受け売りだったと分かったのですが、えらく共感したものです。この時の話は仕事の進め方やプロモーションの手法において成功例は積極的に取り入れるという文脈でした。手法を真似するのは結構だと思います。一方で真似していい領域と真似してはいけない領域があるのはよく頭に入れておくと良さそうです。

「99%の努力と1%のひらめき」とはよく言ったものです。金魚電話ボックスの発想も、おそらく数々の努力と試行があってのものでしょう。それでも独自性は目の前に転がっているかもしれないと思うと、少しだけ勇気をもらえた気もします。


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