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初めてのオンラインマラソンは孤独との戦いだった

第10回高橋尚子杯ぎふ清流ハーフマラソンが4月末に行われる予定でした。私はこの大会に出場予定でしたが、昨今の事情により大会は中止となり、代わりにオンラインマラソンとしての開催となりました。本大会に限らず、昨年からマラソン大会の代替としてオンラインマラソンとして開催されることは多々あります。私としては全く気が進まなかったのでスルーしていたのですが、ついに参加する機会が訪れてしまいました。初めてのオンラインマラソン参加だったので、所感を書き留めておこうと思います。

オンラインマラソンはスマホアプリを利用します。GPSを利用したトラッキングの機能を用いて、約21kmを何分かけて移動したかを測定します。今回指定されたアプリはアシックスの「ランキーパー」ランニング測定アプリでした。オンラインマラソンにエントリーすると、ランキーパー内のバーチャルレース機能に、今回であれば「ぎふ清流ハーフマラソン」の項目が追加されます。その項目を選択すると、計測を開始できます。主催者からコースの指定はありません。所定の距離を走り終えて計測を終了すると、記録が送信されます。機能としてはかなり単純でした。

想像した通りではあるのですが、オンラインマラソンは通常のマラソン大会とは別物でした。通常のマラソン大会で有るものが、オンラインマラソンではありません。この普段は有るものが無いという状況が非常に厄介でした。

最も難しかったのはモチベーションの維持です。今回、私が選んだコースは国立スポーツ科学センターと西が丘サッカー場のブロックを周回するコースです。1周で1・1kmとわかりやすく、平坦で信号も無いので最適だろうと思ったのですが、これが仇となりました。10kmくらいまでであれば普段のランニングと変わらずモチベーションを維持できたのですが、その時点で集中力が完全に途絶えてしまいました。自分が何故走っているのかなどの禅問答が脳内をぐるぐると回ってしまったのです。一時はリタイアも考えました。

私がモチベーションを維持しきれなかった原因は2つあると分析します。ひとつは景色が変わらなかったこと、もうひとつは給水ポイントが無かったことです。

同じ景色が淡々と続くのは想像以上に絶望的でした。私が普段参加するレースは荒川の河川敷を走る単調なコースなので、1・1kmの周回コースであればさほど影響は無いと考えていました。しかしながら、景色が変わることにより如何にモチベーションが維持されていたのかを知る機会となってしまいました。体感で進捗が分かりにくいというのもあります。今年の1月に開催された大阪国際女子マラソンが長居公園の周回コースへと変更になった際に、競技関係者から「今回は仕方がないが、あってはならない」というような反感を買っていたのを思い出しました。その理由を何となく理解できました。

給水ポイントが無かったのが個人的には最も痛かったです。給水ポイントは水分補給する機会であると同時に、マイルストーンでもありました。大きなゴールを目指すにあたって小さなゴールを設定するのはマラソンに限らず常套手段です。私にとっての給水ポイントは小さなゴールでもあるのです。それに加えて、気分転換の場所でもありました。終盤になると走り続けるのが難しくなるので、割と大胆に給水ポイントで立ち止まって時間を過ごします。その際に大会スタッフの方と会話を交わすのがモチベーション維持に不可欠でした。

完走したところでそれを迎えてくれる人もおらず、最初から最後まで孤独との戦いでした。今回の経験を活かすとなれば、信号が合っても景色が変わるような場所を選ぶなどの工夫はできそうです。今後もオンラインマラソンに参加するか否かは回復してから考えようと思います。ともかく、早く普通にマラソン大会が開催される日が来るのを強く願います。

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