HUNTER×HUNTER考察 ヒソカの強さについての考察
はじめに
雑魚狩り専門で弱いだの、逆にトランプの柄の隠し能力を保有した最強キャラだの、アホなことを抜かす連中が多いので、いかにヒソカ・モロウがナチュラルに強い天才であるかをここでは語りたい。
奇術師という通り名
奇術師ヒソカ。それが彼の通り名である。奇術師。つまりはマジシャンのことだ。
そして、プロのマジシャンはただマジックを見せるのではなく、心理操作術(いわゆるミスディレクションと呼ばれるもの)を駆使する心理学のプロでもある。
人を騙すために必要なことは、人の心を読むことから始まる。
念と心についての考察において、ヒソカは人の心の強さを読み取る能力が優れており、自己の基準があるのだろうと書いたが、まさにヒソカは卓越した観察力と洞察力、推理力を持つ心理術者(メンタリスト)なのだ。
念の源は心
念において心が大事であることは、念と心についての考察で書いた通りである。
そしてそれは心源流の開祖であるネテロが至った境地ともいえる。
この境地に対して、ヒソカは若くして独学で辿り着いていることからして、ヒソカがいかに天才であるかがわかるだろう。
相手の心を読む天才ということは、言い換えると相手の弱点を見抜く天才でもある。そして、それに繋がるよう心理誘導をすることができる心理操作術の天才でもある。
だからこそ、ヒソカは自分が最強だと理解しているのだ。
決してこの言葉は驕っているわけでもなければ、自分の念能力を過信しているわけでもない。
ただただ心理戦において、自分が負けるわけがないと確信していることからくる言葉なのである。
vsクロロ戦
クロロ相手に「十分条件で勝つのは難しい」という言葉があったが、これは相手の十分条件だと得意とする心理操作術を挟む隙がないため負けても致し方ないという意味であろう。
いうなれば、相手の用意した舞台での即興マジック大会だ。
それでもその条件でなければタイマンをしないとクロロが言って、自分が条件をのんだのだから、「致し方ない」のである。
だが、この戦いには最後の最後でケチがついた。それが、「戦う相手と場所を選ぶことだね」というマチの言葉だ。
個人のマジック対決かと思えば、クロロが用意したマジックはサクラを仕込んだ集団でのマジックだと気づいたのだ。
ヒソカの疑念が確信に変わった瞬間。条件をのんだにも関わらず、相手が約束を反故にして自分が騙されていたと知ったなら。
相手を騙すプロである自分が欺かれていたと知ったなら。
相手に死ぬ覚悟もなく、価値観を否定され、騙されていたと知ったのであれば、ヒソカが激怒した理由が理解できることだろう。
直後にマチの治療を拒んだほどである。
相手が手段を選ばないのであれば、ヒソカも手段を選ばないのである。
手段を選ばないのであれば、それこそヒソカは最強を自負するパフォーマンスを十全に発揮するだけの話なのだ。
死後ヒソカは強くなったのか
何度も書くが、念の源は心である。強い怨みや憎しみは怨念となって、死後強まる念となることが多い。だが、怨念だけが死後の念になるわけではないだろう。
それは、パームの能力についての考察でも語ったように、壺中卵の壺や人魚のミイラの水晶が子孫のために死後強まる念として残っていることからもわかる。
つまりは強い心で思いを残せば、死後強まる念は発動するものと思われる。
ヒソカは生に対して執着があったのだろうか。違うだろう。どうせ死ぬならと試してみたにすぎない。それでも死を前にして折れない心、自分ならばできるという揺らぐことのない自信。それらが強い思いとなって、死後の念が成功したのだと思われる。まさにヒソカらしい強さであり、ヒソカにとってはただの復活マジックショーではあっても、奇術師でない人間が真似しようとしてできるものではないのだ。
さて、死後の念によってヒソカの念能力が強くなったという話もあるが、死後強まる念はあくまでその能力単一を指すものと思われる。
そうでないと、カミーラは無限に強くなってしまうだろう。
なので、これによってヒソカがパワーアップしたとかいうことはないはずだ。だが、念能力は覚悟や誓約によって向上することは多い。
「より威力が出る気がするから」という理由で指を切り落とし、実際に念弾の威力が飛躍的に向上したフランクリンの例があるのだ。
死を覚悟し、復活まで遂げたヒソカの念能力が、大幅に向上していることは予想されて然るべきだろう。
おわりに
ヒソカの念能力が向上していたとして。よくあるトランプの絵柄で云々の新技はないでしょうよ。
ここまでも語ったように、ヒソカの強さの真価は念能力にあらず。
圧倒的なまでの心の強さ、ひいては相手の心を思いのままに操る心理操作術にあり、だからこそ彼は奇術師なのである。
決して奇術師っぽい能力があるから、奇術師なのではない。
そして念能力はヒソカにとって便利な道具であってそれ以上でもそれ以下でもないが、彼にとってはお気に入りの道具であり、自らの生み出したその道具には絶対の自信をもっているのである。
要するにヒソカは天才なので強いです。心技体そろっていて、十分な条件であればタイマンだろうが複数相手だろうが切り抜ける強さがあります。よく護衛軍と比較されるけれど、まあ少なくとも心理戦では負けないんじゃないかな。全員共通の弱点として王がいるから。
ただし、護衛軍は硬いし、念にとってガソリンでもあるオーラの量が桁違いなので、いかに自身のオーラを節約して相手にダメージを与えて削るかが勝負のポイントかと。
ヒソカのバンジーガムは本当によくできていて、少ない消費で運動エネルギーを使いつつダメージ量を底上げすることができるので、ときとか場所によればとしかいいようがない。