エレファントインザルーム
停車する駅の間隔がまだらな電車に揺られながら、夢と現の境界がはっきりしないまま、かろうじてこちら側に意識をとどめている。昨日同僚と飲んだ酒が残っていて、電車の揺れが強くなると、首の後ろからウィスキーのにおいがする気がした。夢心地から急にはっとここが電車の中であるのを意識したところで、灯が視線の端を手元の本から少しこちらに渡したのが分かった。
車内の空調に当たって冷たくなった左手が四角い景色からさす光にさらされている。指の付け根をなでると、少しゆとりのあるプラチナの台に楚々と並