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今となっては美しい、ただの思い出

うつくしい思い出になる10年を不安に歩く私でしたね

木下竜也 (2023). あなたのための短歌集 より

10年前に想いを馳せる。
たったの13歳。
中学に入学して間もない私。

思えばずっと、心もとなかった。
自分に自信があったかと言われれば、そんなことはなかった。
ただひたすらに、信じたい、と、そう願って一歩を踏み出していたように思う。

教育は、10年先を見据えてするものだ。
という、今は亡き恩師の言葉が正しければ、私は、その恩師の授業を受けて、10年目ということになる。
恩師が私の姿を見ることはないだろう、いや、どこかの空から、私を見ているかもしれない。
どう、感じるのかな。

他者を救うこと、他者に手を差し伸べることは、徳ではなく得である。
その教えは、ことあるごとに私の心にズズズッと迫ってきて、そうだなあ、本当にそうだなあ、と、うなずかずにはいられない。

あの日の慟哭を忘れずにいたい。
それでも、囚われずにいたい。
青空が、今となっては美しいただの思い出、それでよいのだ。
なんて、短歌を作ってみたりする、余裕もある、それだけで、浮かばれるだろう、と想いを馳せて、私はまた今日も、酒を飲む。

いつか一緒に
あの時こんなことを考えて教育したよと
そんな話をしながら
酌み交わせたらいいのにな、その日まで。

次の10年に、乾杯!

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