第76回 『オデュッセイア』10歌(後その1)
心強い秘薬を女神ヘルメイヤスから受け取ったオデュッセウスは、魔女の屋敷に乗り込む。
「ごめんくださ〜い」
「あらお客さんだわ。どうぞお入りください」「失礼しま〜す」「ちょうどお夕飯作りすぎちゃって。良かったら」「いただきまぁ〜す」
躊躇なく貪り食うオデュ。
”しめしめ”
魔女は突然愛想を失せ「ほれこの醜い豚野郎いつまで食ってんだ。お前もお前の部下たちと一緒に向こうの小屋にお行き…。?」
オデュは腰の剣を抜いて魔女の喉元に。
「嘘ぉ⁉︎ お前確かにそれ食ったよなあ!」
「ばぁ〜か! その手は食わん。この飯には食うとたちまち獣に変わる薬が仕込まれていることは聞いておる。わしはその解毒剤を女神ヘルメイヤスから事前に頂戴していたのだ」
「もしやあなたはオデュッセウス様? 噂は聞いております。ならば降参です。部下も人間に戻します。どうか今度こそここでゆっくりして行ってください。これマジです」
「あそ」
で今度こそゆっくりお泊まりする。それも一年も。
そしてようやく腰を上げるオデュッセウス。
「やっぱうち帰るわ」
「ではまず冥府(死後の世界)に赴き、預言者テイレイシアスに会わねばなりません」
続く。
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