第75回 『オデュッセイア』10歌(前)
おしゃべりオデュの長い話はまだまだ続く。
キュクロプスの島から逃れたオデュ一行は、アイオロスの島に着く。
どこへ行っても歓待されるオデュ、ここでも厚遇を受け1ヶ月も休ませてもらった。
「やっぱ帰りたくなってきたんで、そろそろ帰ります」
というと、土産になんか布袋を渡され、
「この中にはありとあらゆる風が封じ込めてある。これであなたの筏は風に邪魔されることなくまっすぐに帰郷できるでしょう」だって。
オデュ一行は出発した。
しばらくすると故郷イタケーの島が見えてきた。
「やったぜ! ついに我が家だ…むにゃむにゃ」
安心感のせいか、急に眠気に襲われたオデュ。突然寝てしまう。
その間に…
「おい、この袋何が入ってるのかな?」「きっと船長だけなんか特別なプレゼントもらったんだよ」「ちぇ、おい、俺たちも少しもらおうぜ」「だな」
”プププッー!”
「アレェ〜!」
何も聞いてない部下が、風の詰まった袋を開けてしまった。袋から風が一気に噴き出す。
「なになにどうした⁉︎」
気づけば一行を乗せた筏は元いた場所、すなわちアイオロスの島にバック・トゥー。
これには流石のアイオロス王も呆れる。
しょんぼりオデュ一行だったが、あまりに居た堪れないんでさっさと海に逃げる。
そうして7日目、ライストリュゴネス族の住む島にたどり着いた。ライストリュゴネス族もまた人喰い巨人族だった。またもや偵察部隊を一人食べられる。その後も船上のオデュたちめがけて投石。次々沈む仲間の船。辛くも逃げるオデュが乗る一艘。
次に不時着したのはアイアイエという島。ここはキルケと呼ばれる魔女が住む島だった。
オデュはグループを二組に分け行動することにした。まずはエウリュロコスを含む22人の組に偵察に行かせた。
「やばいっす! すぐ逃げましょう!」
戻ってきたエウリュロコスが言うには、なんか知らんがとある一軒家から美しい歌声が聞こえて、なんか入ってみたら、そこの女に「えい!」つって部下がいきなり獣に替えられたと言うことだった。
で疑い深いエウリュロコスだけがその家に入らず難を逃れたらしい。
「いいや、俺は行く」
オデュは部下を助けるため、魔女の住む屋敷へ向かった。
途中一人の若者に出会う。
「たった一人、あの危険な屋敷に乗り込んで部下を助けようなんて、あなたも愚かな人ですね。でもそう言うの、あたし嫌いじゃないわよ」
その若者の正体はオデュの守護神ヘルメイアスだった。そして、
「あの魔女はあなたに飲食を振る舞うでしょう。それはアタが豚に返信してしまうことを意味します。その前にこの秘薬を飲みなさい」
そう言うと守護神は消えてしまった。
続く。
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