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日本は、「スモールビジネス大国」を目指すべきなのかもしれない

今週からNewsPicksで始まった中国ユニコーンの特集を毎朝楽しみにチェックしています。

小売の視点からも、中国はもはやシリコンバレーやNYを軽々と追い抜いて世界の最前線に躍り出たといっても過言ではない存在。

特集に出てくる企業の話も、どれもダイナミックでスケールが大きくて、改めて中国の勢いを感じています。

そしてちょうど今週はラグジュアリーECの巨人・Farfetch上場のニュースも飛び込んできました。

私は日々小売について考えたことやニュースも発信しているのでよく「日本で面白い企業ないですか?」と聞かれるのですが、こうした海外の動きに比べると、正直小粒な話が多いのが現実です。

そしてその流れは今後も大きく変わることはないだろうと個人的には思っています。

以前「私たちがこれから、中国に勝てなくなっていく理由」という記事にも書いたのですが、企業の成長はその企業の努力だけではなく、消費者の特性も重要なポイントになります。

というのも、企業の商品やサービスがマネタイズできるようになるためには消費者に買ってもらう必要があり、そのためにはマーケットのレベルや好みに合わせざるを得ないからです。

一番わかりやすいのが決済サービスで、日本ではQR決済どころかクレジットカードの導入すらいまだに拒否している店舗が複数あるのは、日本人の多くが現金決済に不便を感じていないからです。

どんなに企業側がキャッシュレス社会を実現したいと思っても、消費者側が求めていなければ国策として補助金や税制優遇によって推進しない限りはこの状況が大きく変わることはないでしょう。

同じことはあらゆるサービスや商品に当てはまります。
どれだけスマホを使いこなし、ECに抵抗感がなく、新しいテクノロジーを受容できるか。

その1点だけでも、私たちはすでに中国に大きな差をつけられています。

ではこのまま負け続けるしかないのかというと、私はむしろスケールの大きな事業を追うのではなく、あえてスモールビジネスに振り切った戦略の方が日本にあっているのかもしれないと思っています。

実際、今でも日本にはユニークなビジネスが複数生まれています。D2Cブランドしかり、ホテルやショップ、レストランといった空間しかり、そのひとつひとつのクオリティは他国に引けをとらないレベルだと思います。

ただ、ユニークさとスケールは相反することが多いためどうしても小粒になってしまい、世界的に見ると埋もれてしまうという難点があります。

しかし、それは裏を返せば均一化されていない唯一無二の価値を作っているということもできます。

わざわざ日本まで足を運んででも訪れたくなる場所や、買い物したくなるブランドになるほど磨き込み、日本全体を『小さな魅力が集結した巨大なデパート』に仕立て上げる方が、下手にひとつひとつがスケールを追うよりも日本らしい戦い方なのではないか?と思うのです。

日本は海外に比べてもものすごい数の雑誌があり、オタク的に突き詰めてニッチなジャンルを確立するという性質が昔からあります。

そうした消費性向を鑑みても、スモールビジネス大国として世界のライフスタイルを牽引する存在になる方が、現実的な路線なのではないでしょうか。

もちろんプラットフォームを握られるということ、ひいてはそこで発生するデータまで握られてしまう危険性もありますが、強いコンテンツさえあればプラットフォームの隆盛にあわせて乗り換えていくことも可能です。

無理にスケールを目指さず、日本的な感性で今後のライフスタイルの見本となること。

それもまたひとつの戦略のあり方なのかもしれません。

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今日のおまけは、ジュエリーブランド・Kendra Scottが百貨店ブランドから脱皮してD2Cに力を入れ始めている軌跡が面白かったのでその解説です。

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